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上海新天地における石庫門型里弄住宅の保存と再生に関する研究

上海新天地における石庫門型里弄住宅の保存と再生に関する研究

B4の丁佳蓉です。春学期の研究内容を発表させていただきす。 序章 1−1.研究の背景と目的 特殊な地理的・歴史的要因によって、上海には西洋の文化と中国の伝統文化が混在し、共生している。1843年開港以来、租界時代に欧米各国の様々な建築様式の建物が建てられ、西洋建築と中国伝統建築が融和した「中洋折衷の建築」の景観が形成した。社会状況の元に上海における都市の主要な構成要素となる「里弄」が発生していった。2010年に「石庫門“里弄”建築の建造技術」は中国政府から国の無形文化遺産に認定された。 1990年代に入り、都市基盤の整備や都心部不良住宅の更新が新しい段階に入り、里弄住宅が一時大量に取り壊され、面積は下降傾向にある。しかし、里弄住宅は旧市街地の各行政区においてその比率が依然高く、如何に里弄住宅のストックを合理的に再生するかがますます重要な課題になっている。 旧市街地再生一つの事例として、新天...

素材から見たアルヴァ・アアルト ~夏の家のレンガに着目して~

素材から見たアルヴァ・アアルト ~夏の家のレンガに着目して~

B4の布施です。春期の研究内容を発表させていただきます。 序章 0-1 研究の背景、目的 Alvar Aalto(1898-1976)はフィンランドのモダニズム建築家である。アアルトの作品では戦前は白スタッコ、1950年代はレンガ、1960年代以降は大理石が多く用いられている。 1953年に建てられた夏の家はレンガ時代の始まりの作品である。また、フィンランドではこの時期セメントや鋼材の資源に乏しかったためレンガを主体構造に用いなければならなかった背景もあるが、MITベーカーハウスの設計の際に工業化された均質なレンガではなくあえて手作業でレンガを焼く工場からレンガを仕入れていたという話からもアアルトが素材にこだわりを持っていたことがわかる。アアルトの夏の家からレンガに着目し、素材と建築の関係について分析、考察を深めたい。 研究目的は大きく二つに分けられる。 第1にアアルトの用いる素材から建築...

利用者の分布調査に基づく神奈川工科大学KAIT工房の空間特性に関する研究

利用者の分布調査に基づく神奈川工科大学KAIT工房の空間特性に関する研究

B4の山田です。春学期の研究を発表させていただきます。   「利用者の分布調査に基づく神奈川工科大学KAIT工房の空間特性に関する研究」 序章 1−1 研究の背景 建築を設計する際に、設計者はその建築がどのように利用されるのか考えなければならない。特に商業施設や美術館、公共施設などでは、利用者の動線や分布というものを意識する必要がある。しかし、実際に設計者の意図通りに建築が利用されるかは分からない。 近年、壁などの仕切りで空間を明確に分節しない平面構成をした建築が多く見られる。代表的な事例として、神奈川工科大学KAIT工房があげられる。この建築内における利用者のアクティビティーは家具や内装、柱の位置などにより大きく影響され、個人が自ら場所を探求することにより確立される。そのような空間の境界があいまいな建築内で、設計者の意図する人々の分布は実現されているのだろうか。 図1 神奈川...

江ノ島電鉄沿線地域における線路敷きに隣接する住宅とその成り立ちに関する研究―和田塚駅、由比ヶ浜駅、長谷駅、腰越駅界隈を対象として―

江ノ島電鉄沿線地域における線路敷きに隣接する住宅とその成り立ちに関する研究―和田塚駅、由比ヶ浜駅、長谷駅、腰越駅界隈を対象として―

B4氏家です。春季研究発表の内容を投稿致します。 序章 研究の概要 0-1 研究の背景と目的 一般的に、建築物が線路に対して表側のファサードを見せることはほとんどない。人や車が行きかう道路が都市の表側であると考えられているからだろう。一方で、人が見る側が建築物のファサードであると考えられるならば、多くの人々が乗り、その車窓から建築物を見る、鉄道側に対しても建築物の表側を見せるべきだと言えるだろう。 江ノ島電鉄沿線地域では、一般的な街並みでは見られない、私的横断場、線路敷きに玄関を向ける住宅、線路わきの狭隘な歩行者通路、線路敷きに溢れ出す植栽など特有の風景が見られる。江ノ島電鉄は開業当時、路面電車であった。つまり、開業当時は線路も道路とみなされ、線路にのみ接道する敷地も当時は接道義務を果たしていたと考えられる。しかし、戦後江ノ島電鉄は鉄道として認可されることになった。それにより、路面電車であ...

建築家ルイス・バラガンにおける庭と建築の空間構成手法に関する研究

建築家ルイス・バラガンにおける庭と建築の空間構成手法に関する研究

研究の途中経過を報告します。   1.序章 1.1-3.研究の背景・目的・位置付け  建築家ルイス・バラガンは水面や光を大胆に取り入れた明るい色の壁面が特徴的な住宅を多く設計したことで知られる。バラガンは初期に画家であり造園家であるフェルディナン・バックから強い影響を受けたと言われおり、この点からもバラガンが庭を強く意識していたことがわかる。しかしバラガンはバックの作品のどういった点から影響を受け、自身の作品にどう展開させていったかは明らかにされていない。また、これまで木村の論文ではバラガンの絵画的な空間を、写真をもとに理論的に分析し、矢田の論文では空間が複数の層により構成されていることを明らかにしたが、これらは対象を建築に絞っており、庭を含めた空間構成について分析を行うには至っていない。これらの背景から本研究の目的を ①バラガンがバックから受けた具体的な影響とバラガンによる作品への展開を...

マーク・フィッシャーのステージ・デザインに関する研究

マーク・フィッシャーのステージ・デザインに関する研究

修士2年の野田です。研究の途中経過を報告します。   序章 0-1. 研究の背景 ステージ・デザインの歴史は、様々なエンターテインメントとともにその空間が創り出されてきた。 現代を代表するステージ・デザインの一つに、大規模なスタジアムコンサートが挙げられる。スタジアムでのコンサートが事業として生まれたのが、1965年のニューヨーク、シェア・スタジアムで行われたビートルズのコンサート。スタジアムでコンサートをすることのメリットは、一度に何万人のも観客とともに、音楽やパフォーマンスを共有することが出来るということ。人々の音楽の楽しみ方が多様化したことで、音だけでなく、視覚にも訴えるような演出が必要となった。 大規模なスタジアムにおけるステージ・デザインの先駆者である、マーク・フィッシャー(1947-2013)は、英国を代表する舞台美術家・建築家。ザ・ローリングストーンズ、ピンク・フロ...

ポルトガルにおける改修デザインにおける歴史的共作と作家性の相克 ―新旧区分の接合部に発生するディテールに着目して―

ポルトガルにおける改修デザインにおける歴史的共作と作家性の相克 ―新旧区分の接合部に発生するディテールに着目して―

研究の途中経過を報告します。本研究のフレームワークは壮大に「辺境からみたモダニズムの受容と展開」、「建築の時間論」、「デザインとテクトニクス」と考えています。これまで建築の時間に関して深く関心を持ってきました。そこで私が今回着目したのはポルトガルのリノベーション、リノベーションにおけるディテールです。この夏に大河内先生と布施さんとポルトガルで現地調査を行い、興味深い事例に多く恵まれたので研究を通して面白さを伝えられればと思います。 序章 1-1.研究の背景、目的、対象、方法 1. 近年、保存対象となる建造物は多種多様なものへと拡大している。一方で未だに保存か解体かの二者択一的な解決、改修段階においての設計手法は画一的なものが多い。そもそも文化財や保存という概念は19世紀、近代化の過程で再開発に反発して生まれたと言われている。現在ではヴェニス憲章という国際的文化財保存の基本ルールが半世紀もの...

東京都中央区月島三丁目再開発計画 -路地空間の継承と発展-

東京都中央区月島三丁目再開発計画 -路地空間の継承と発展-

修士2年の小林です。遅くなりましたが修士設計の成果を報告致します。   【研究編】 0.序 0-1.研究の背景と目的 日本には数多くの木造住宅密集地域(以下、木密地域)が存在する。木密地域の特徴として、狭い路地が挙げられる。路地は私道であるが、周辺住民達の交流の場であった。しかし、近年、建物の老朽化や火災等の災害時に緊急車両が通れないといった安全面においての問題が浮き彫りとなった。その際に路地の狭い幅員が問題視され、建て替えの際に、道路が拡幅されたり、高層マンションが建設されたりと路地空間は徐々に消滅している。以上を踏まえ本研究では、研究編において、1)月島の路地の成り立ち及び現在の利用実態を明らかにすること、2)集合住宅の「路地的空間」を対象にコミュニティを醸成させる工夫やそれを実現するための設計手法を明確にすることの2点を目的とする。さらに、研究編で得られた知見をもとに、設計...

イギリスの教会から集合住宅へのコンバージョンに見るスケルトンとの融和・対立・乖離

イギリスの教会から集合住宅へのコンバージョンに見るスケルトンとの融和・対立・乖離

修士2年の山本です。修士論文の成果を報告します。   背景と目的 イギリスでは、教会を住宅にコンバージョンした教会転用物件が不動産市場で扱われている。 教会から住宅へのコンバージョンが起こる背景 ①歴史的な建造物を保護する景観規制により古い建物が解体できない。 ②住宅の供給戸数の限定・住宅価格の高騰による慢性的な住宅不足。 ③1900 年代の都市部への人口流入により建設された教会が、脱宗教等で未使用になったが、簡単に壊せない。 ④教会のコンバージョン後の用途は、採算をとるために集合住宅や事務所が一般的である。 ⑤使用材料、構造、デザイン等が質が高いため、教会のコンバージョンへの投資が盛んである。 コンバージョンには主に以下の図の2つの手法がある。 図 主なコンバージョン手法 教会のコンバージョンはこれらの延長なのか。他のコンバージョンと何が違うのか。 ⇨これを明らかにすることが、...

geography of the scene

geography of the scene

1.背景-漂白されていく都市に対するアンチテーゼ 現在都市は様々な人口物により埋め尽くされている。道路はきれいに舗装され、都市の中の植栽は整備され、元々は大きな力を持っていた地形でさえ隠蔽され人の手により飼いならされている。純粋な意味での原っぱなど東京という都市にはもう存在しないのではないか。また、“2020年”というスローガンを掲げ、現在都内では多くの再開発が進んでいる。新宿区四ツ谷はその名の通り4つの谷が存在する場所である。しかし、ここも例外ではなく再開発という名の都市の漂白が場所の個性を消そうとしている。   2.分析-スリバチ地形の時代的推移 かつては豊富な緑と大きな池があり景勝地として知られていた。時代推移と共に花街、住宅街へと変化していった。そのことにより、土地は造成され地形は密集する建物により隠蔽されている。 図2-1 時代的推移   3.提案-大都市...

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