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余白が彩られ“まち”となる-小売事業化と異種用途誘致による問屋街の活性化-

1,背景
従来の製造メーカー→卸売り問屋→小売業者→消費者の形にとらわれず小売業者自身がプライベートブランドを所有し製造から販売までを行なう仕組みが主流となりつつある。利用の減少に伴い、将来への不安を抱える問屋は少なくない。また、当日仕入れられるというメリットを持つ現金問屋は、物流の発達によって当日配送が可能となったため来訪者の減少が著しい。
2,敷地
日本最大級の現金問屋街である東京都中央区の横山町馬喰町新道通りを敷地とした。この通りの周辺には3つの駅があり、交通の弁がよく住宅としての需要も高い。地下道の発達により乗り換えの際にこの道を利用する人はほとんどおらず、物流の変化によって買い付けに来る小売商が減少。9割以上の店舗が小売を行なっていないこともあり、かつての活気は感じられない。上階は倉庫としてしか用いられておらず、敷地内の空きテナント率は約10%となっている。
3,マスタープランの作成
現在、問屋”街”とは名ばかりで、実際にこの通りを歩く人は”道”としてしか認識していない。日本橋地区という好立地を活かし、近年新たに流入している要素と組み合わさることで、そこに住む人、働く人、訪れる人によって賑わいの生まれるような”まち”としての機能を取り戻していく。そこで、敷地のリサーチを元に制度・都市計画・建築計画の3つの軸でマスタープランを作成した。
4,制度
4-1小売の事業化
小売を事業化するためには、下請けである小売店への影響を抑える制度づくりが必要となる。利用頻度が高い周辺住民やオフィスに通うサラリーマンは年会費を、頻度の低い観光客などは1日券を東京問屋連盟(現在大江戸問屋祭りの運営を行ないっている)から購入することで新道道りにある問屋全てが利用できる仕組みとする。ある程度消費者に負担がかかることで小売業者への影響を抑え、問屋は連盟から問屋を経営しやすくなる様々なサポートを受けることができる。
4-2異種用途誘致制度
小売の事業化によって得られた収益を誘致するテナントの選定といった異種用途の誘致サポートや物流機能の整備に当てる。
5都市計画
5-1路地の形成
路地を形成して、街区を細分化することで人々の流入を促していく。路地を作ることによって人々の目に触れる面積が増加し、集客の向上が見込まれる。
5-2ホコ天化
今までは狭い道に車が通るため危険が伴い人通りが少なかったが、搬入拠点を設けたことにより新道道りを歩行者専用道路とすることができる。歩行者が多く流入することで問屋街全体として活気が生まれるだけでなく、異用途誘致の際にテナントが決まりやすくなる。
6建築計画
6-1マテリアルの転用
問屋街を被覆するマテリアルは問屋街の上階部分をブラックボックス化している。店舗用テントは幕を外してスケルトン化し、スラブを入れてステージへ、壁面広告は広告面を裏返してスクリーンに転用し街の機能へと変えていく。
6-2アトリエの誘致
階数の少ない3階建て以下の問屋は余白が多くないため1フロア単位での貸し出しが不可能である。そこで、小さな余白の部分のみをアトリエとして開放し服飾系の学生やアーティストを流入させる。問屋街には数多くの服飾問屋があり、様々な店舗で比較検討できるためアーティストらにとってのメリットも大きい。
6-3-0異種用途の誘致
外に商品が広がり外部との接触を図っているものを「開放」、外に商品はなく、中に入らないと様子のわからない建物は「閉鎖」と名付け2つに分類を行なった。「開放」は気軽に立ち寄りやすく、「閉鎖」は一歩踏み出さないと中に入りにくいというポテンシャルを持っている。それらの特徴を活かした用途の誘致を行っていく。
6-3-1問屋×カフェ
上階に倉庫の余白がある問屋。気軽に立ち寄りやすいカフェを誘致していくことで問屋をもっと身近に感じられるようになり、客数の増加をはかる。
6-3-2問屋×本屋
問屋街を俯瞰できる位置にある問屋。階層が高く上階に足を運びづらい問屋の上階部分を本屋にすることで人々の流入を促していく。
6-3-3問屋×コワーキングスペース
路地の横に建つ問屋。外に対して開こうとしておらず閉鎖的な空間の誘致が効果的であるためコワーキングスペースとしての機能を付加していく。
6-3-4問屋×食堂×ホステル
様々な方向に出入り口のある問屋。人々の流入拠点としてホステルを設ける。ドミトリータイプにしていくことで多くの人が安価で宿泊でき、1つ下のフロアには問屋食堂を誘致してコミュニティーの形成をはかる。

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