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森の墓地の設計案におけるシークエンスの変遷過程に関する研究

B4の渡邊です。春期研究発表の内容を投稿致します。

1.序章
1-1 研究の背景
1914年、南ストックホルム墓地のコンペティションにエリック・グンナール・アスプルンドとシーグルド・レヴェレンツが勝利し、森の墓地の設計が2人に依頼された。この墓地はコンペから完成まで25年の長い月日を費やしており、その間にコンペ案からの変更点が多く見られる。

1-2 研究の目的
森の墓地のコンペ案から実施案までの空間構成の変遷を分析し、さらにシークエンスの変化を汲み取り、アスプルンドの案変更の意図、アスプルンドの目指したランドスケープを明らかにする。
1-3 研究の位置づけ
残されたスケッチや図面等から、火葬場や礼拝堂、アプローチの構成の変遷やそのアスプルンドの意図について検討している研究は見受けられるが、シークエンス構成の変遷に関する研究は不十分である。本研究では、3Dモデルを作成することで、シークエンス構成の変遷について実証的に評価するものとする。

1-4 研究の対象と方法
スケッチ、図面等からわかる空間構成の変遷と、3Dモデルからシークエンス構成の変遷を分析する。

2.森の墓地の概要
アスプルンドの設計により、1920年に森の礼拝堂、1940年に森の火葬場が完成した。1935年からはアスプルンド1人で設計することとなり、森の火葬場は彼の最期の作品となった。この森の墓地は1994年ユネスコ世 界遺産に登録された。

3.設計案(1-4案)の変遷の分析
3-1 配置図
1915年のコンペ案の配置図(第1案)では、もともとある森林の中に曲がりくねった上り坂があり、道の入り口に傾いた十字架、森林の中には墓石と大理石の石棺がある。この道は礼拝堂まで続き、葬儀後礼拝堂の西向きのホールに向かい、そこから初めて周囲の景観を見渡す事が出来る。実施案の配置図(第4案)では、なだらかな斜面の上り坂はまっすぐ森へと向かっている。応募案に比べ視界が開けており、先には十字架と軸からはずれた火葬場が見える。

3-2 スケッチ
曲がりくねった道の入り口に配置された十字架が、1930年頃(第2案)ではオベリスクへ変更され、道もまっすぐになる。その後、1935年頃(第3案)ではオベリスクの位置、デザインが検討され、第4案では十字架に変わり、火葬場のすぐ手前に配置された。

3-3 火葬場
初め火葬場はアプローチから正面を向いていたが、そこから90度向きを変え道に正面を向け、徐々に道から後退した位置に配置が変わっていった。

3-4 写真、3Dモデル
第1案では、アプローチ軸上にある礼拝堂がアイストップとなっていたが、徐々にアイストップがオベリスクや十字架、森へ変更されている事が分かる。

3-5 まとめ、考察
大きな変更点として、曲がっていた道がまっすぐになった事、アイストップが礼拝堂から十字架、森へとなった事、アプローチの軸上が礼拝堂からポーチ、奥の森へ徐々に変更された事が分かる。これらから、アスプルンドが建物ではなく自然や十字架に視線を  向けられるよう意識して案を変更していったのではないかと考えられる。

4.3Dモデルからみるシークエンスの変遷
4-1 分析方法
第1,4案の3Dモデルを作成し、アイレベルで写真を  撮り、並べて変更された点を比較する定性的分析、3D  モデルの写真のデータをグラフ化し実証的に比較する定量的分析を行う。

4-2 定性的分析
第1案では、単調な曲線の道が続き、先が見えない事で軸線が強化され、奥へ誘うような空間になっている。第4案では視界は開かれていて明確で、上り坂を進むにつれエントランスでは見えなかった森が見えるようにシークエンスに変化がもたらされた。

4-3 定量的分析

4-4 まとめ、考察
単調であったシークエンスが改善された事が分かる。暗い森の中の道が、まっすぐな道で視界も明瞭になった事で第1案で感じられる不安感が取り除かれたと考えられる。

5. 結章
5-1 総括
訪れる人の意識を森に向けることで、「死者は森へ還る」というスウェーデンの死生観を直感的に理解させるようなランドスケープになっている。葬式に訪れる人に、自らの死と対峙させるようなランドスケープを意識してアスプルンドはこの森の墓地の設計を時間をかけて行ったのではないだろうか。

5-2 展望
今回十字架の道のみに焦点を当て研究を進めてきたが、十字架の道だけでなく実際に参列する人の火葬場の建物の中に入り出てくるところまでの動線、シークエンスの変化、道だけでなく火葬場や礼拝堂の設計意図の変遷過程も合わせてみていきたい。

 

まだ3Dモデルからの定量的分析とデータ作成ができていない状況なので、これからしっかりとやっていきたいと考えています。また、それぞれのビジュアルから気づきを増やして考察を深めたいです。

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