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アルヴァロ・シザの建築作品にみる「土地の変形」

B4関根です。遅ればせながら、2017年度春学期に取り組んだ研究内容について発表させていただきます。

1,研究の背景

アルヴァロ・シザ(以下シザ)はポルトガルを代表する国際的建築家である。また、1992年に、プリツカー賞を受賞している。

代表作として、ポルト大学建築学部(1986-93/99、ポルト、ポルトガル)やEXPO`98リスボン万博ポルトガル館(1995-98、リスボン、ポルトガル)などが挙げられる。

エキスポ リスボンポルト大学 建築学部

シザの建築は、土地に馴染みつつも、現代的な「白亜の塊」が浮いているような建築と称される。また、空間の移り変わり、つまり、シークエンスが魅力的でもある。以上のことからシザの建築は、「詩的建築」と謳われることがしばしばあり、このように謳われるシザの設計手法は、数多くの人の興味の対象となり、多くの研究がなされている。

また、シザの「建築家は何も創造しない。ただ現実を変形させるのみである。」という言葉から、シザの建築は、「土地の変形」という言葉に置き換えられる。

2,研究の目的

「現代性」と「地域性」という背反した二つの要素を違和感なく融和させる、シザの設計手法の一端を明らかにすることを目的とする。つまり、シザの作品において「土地の変形」がどのように具現化されているのかを明らかにすることを目的とする。

3,研究の位置づけ

既往研究として

・「フェルナンド・タヴォラ研究 日本建築学会 藤村将史 2015年3月」

・「アルヴァロ・シザの建築研究 著者名:矢崎弘道・南泰裕 2008」

・「アルヴァロ・シザの公共建築における空間構成 著者名:伊藤貴弘 2009」

・「空間連結によるシークエンスに関する研究―アルヴァロ・シザの住宅作品における内部空間特性― 著者名:強矢大輔 2009」

が挙げられる。

4,研究対象と分析方法

研究対象として、シザの作品の中で、敷地に傾斜のある以下の5作品を取り上げる。

  1. ボルジェス&イルマォン銀行
  2. ガリシア現代美術館
  3. マルコ・デ・カナヴェーゼスのサンタマリア教会
  4. サンティアゴ情報科学学部
  5. Wineries in Quinta do Portal

分析方法として、図面や写真を用いて、5作品を、直接的な「土地の変形」と、視覚的な「土地の変形」という2つの観点から段階的に分析する。この場合の直接的な「土地の変形」とは、切土や基壇を設けることで地形そのものを変形させていることを指し、視覚的な「土地の変形」とは、ハバキや付加要素を用いることで、地形そのものは変形させず、見せかけの「土地の変形」を行うことを指す。

5,直接的な「土地の変形」

切土や基壇を設けることで地形そのものを変形させている要素を取り上げ、作品ごとに図示し、分析する。

6,視覚的な「土地の変形」

ハバキや付加要素を設けることで、「見せかけの地形」を作り出し視覚的に変形を行っている要素を取り上げ、作品ごとに図示し、分析する。

7,総括

2つの観点による「土地の変形」の分析結果を表にすると以下のようになる。

表1 対象作品の「土地の変形」に関する分析表

表1

本研究の分析により、シザの作品は、違和感なく周辺環境に溶け込んでいるものが多いのは確かである。しかし、切土や基壇を設けることで、敷地内の土地については、積極的に変形を行っていることが理解できた。また、敷地内で、大きく変形させた地形を、ハバキや付加要素を用いることによって「見せかけの地形」を視覚させることで、周囲との調和を図っている建築要素が在り、その上にかぶさるようにして現代性のある箱モノのような建築要素が在るのではないかということが考えられる。そして、これらが、「地域性」を持ちつつ、浮遊感を纏う「現代性」を持った、シザの建築の設計手法の一端であるのではないかと考える。

8,展望

シザの建築における「土地の変形」は「建築と地形」だけでなく、「建築と周辺環境」にまで拡張される要素を持つものだといえるのではないかと思い、そこに研究の余地があると考える。また、本研究で取り上げた、ハバキにおいて、建築内部と外部とで、ハバキの位置と大きさに変化があったため、そこに着目することにも研究の余地があると考える。そして、本研究がこれら2つの補助的な役割を果たすことを期待し展望とする。

 

 

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