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集合住宅におけるコモンスペースの研究-東雲キャナルコートを対象として-

B4石渡です。前期に取り組んだ論文のアップをしたいと思います。

東雲のキャナルコートを対象とした集合住宅におけるコモンスペースの研究をしました。

以下まとめです

まずは序章から研究背景などです

序章
0-1.研究背景
現代の集合住宅の現状として、核家族化や価値観の多様化、情報化社会の進展など様々な理由から地域における共同生活よりも個人の生活を尊重する居住者が増えている傾向があり、住民同士の良好なコミュニティが自発的に形成されることは非常に難しいとされている。そしてこの集合住宅におけるコミュニティの希薄化は地域全体のコミュニティまでもが希薄化する原因につながる。また、中でも中高層の集合住宅の多くは、防犯上の配慮により周辺地域とは閉ざされた構造になっていることが多く、また地域住民と顔を合わせる機会も少ないためどのような住民が住んでいるのかもわからないことが多い。

0-2.研究目的
キャナルコートの様々なスケールのコモンスペースを検証・比較し現代の集合住宅のコミュニティ空間の実態を把握し、これからのコミュニティ空間のあり方を導きだすことを目的とする東雲キャナルコートCODANは高層住棟に囲まれた中庭を中心とする6街区で構成され、各街区は別の有名建築家チームで設計されている。

0-3.研究対象

キャナルコートの様々なスケールのコモンスペースを検証・比較し現代の集合住宅のコミュニティ空間の実態を把握し、これからのコミュニティ空間のあり方を導きだすことを目的とする東雲キャナルコートCODANは高層住棟に囲まれた中庭を中心とする6街区で構成され、各街区は別の有名建築家チームで設計されている。

次にキャナルコートとはなにかみたいなものを説明します

第一章 キャナルコートについて
1-1.キャナルコートの概要
街の基本骨格はS字にうねるS字アヴェニュー、そこに接続する6本のリニアな広場からなっている。これらはすべてコネクタと呼ばれる回遊型広場であり、そこに各街区の中庭が相互接続することによって立体的で行き止まりのない回遊が実現するための基準線となっている。

1-2は省略します

そして第二章で全体の構成です

2-1.S字アヴェニュー

6つの街区をつなぐ中央ゾーンのシンボル。シンプルな10mの幅のS字アヴ
ェニューは広場や店舗との融合によってキャラクター性を帯びている。

2-2.街区間のコモンスペース

i)森の広場
中央ゾーンと晴海通りを結ぶリニアな広場でランダムに植えられた様々な樹種
の高木栽培によって静かな森の貨幣が感じられる空間となっている。

ii)ビスタの広場
S字アヴェニューと辰巳運河を結ぶコネクタで運河沿いの東雲水辺公園と一体
となり、運河の開放感を中央ゾーンに引き込む。

2-3.各街区のコモンスペース

i)1.2街区
楕円形の芝生広場を一体的にデザインしている
ii)3街区
1~3階に、いくつもの広場や店舗が分散され利用者は複雑に絡み合った路地空間を自由に行き来できる
iii)4街区
中庭に木と一体化するようなデザインを設置。3階に広場が連続する
iv)5街区
全街区の中で最も緑豊かな空間で6街区の芝生の斜面やビスタの広場と連続し大きな回遊性を見出している
v)6街区
S字アヴェニューに面して大きな芝生の斜面を設け、子供の遊び場や日光浴ができる伸びやかな空間を生みだす

次は第3章ー比較・分析です

第三章 分析・比較
i) 1街区

1街区では建物の6×6のヴォイドが2層吹き抜けの共用空間で居住者の誰もが身近な広場として活用できるようになっている。また3×3で開いたヴォイドはプライベートテラスとして提案されている。プライベートテラスは2つの住居に挟まれる形になっていて、コモンテラスは4つの住居に挟まれ、その4つはf-roomタイプのものとなる。また基本的に住居のエントランス部分は100%ホワイエとなっていて、それがガラス張りである。そのホワイエの質がベーシックタイプでは可動式で大きさが決められるという居住者によってパブリックとプライベートの領域を決められるものとなっている。.

ii) 2街区
2街区でも他の街区同様、中廊下形式を利用している。シースルーエントランスを持つ住戸以外は、中廊下に向かって閉じられている。2街区では他街区とは違って、他の住戸とのコモンテラスというものがなく、6m×6mのヴォイドはプライベートテラスと、メゾネットタイプにおける内部の吹き抜けという扱い方をしている。プライベート空間と割り切られているためプライベートテラスはそこの住民が積極的に使っていて魅力的な空間になっている。
そこでアネックスを利用し、そのセミパブリック的なプライベートテラスが人を引き込みそれにに面するアネックスがパブリックなものとして扱われるのではないか。さらに住居部分とアネックスはプライベートテラスにより距離が保たれているため住民のプライベートは守られるという工夫も見られる。

iii) 3街区
2棟の片廊下型の建物の間によって生まれたコミュニケーションアトリウムが住居内に光と風を与える。さらに大きなヴォイドとつながり視線が抜ける。またモザイク状になったルーフテラスが個々の生活に豊かさを与えるとともに、建物と空の境界をも曖昧にしている。また、中央にあるコミュニケーションアトリウムがヴォイドや住戸に風を通すだけでなく、視線も通している。
しかしヴォイドの用途としてコミュニティとしてはあまり捉えておらず光と風を取り入れるものとして考えている。その結果ヴォイドに面している部屋のガラス張り部分のカーテンが閉じられコミュニティ空間としてはうまく機能していないと見られる。住民同士のコミュニティというよりはいかに建物と周辺環境を曖昧にするかといういかにも隈研吾らしい集合住宅である。

iv) 5街区

他の街区と違う全体の構成として、ライトウェルといったものが取り入れられていて、5街区は垂直方向にも幅3mヴォイドを空けている。住棟の形式として1、2街区同様、中廊下形式に近いが、このライトウェル(光の井戸)が連続し共用の廊下はライトウェルと住戸の間をすり抜けるように連続する。そして5街区のもう1つの特徴として、他の街区の水平方向の最大のヴォイドは2層分であるのに対し4層分吹き抜けるエアポケットと呼ばれるヴォイドがある。そしてこのエアポケットとライトウェルが住棟に水平方向と垂直方向から光と風をもたらし、巨大な住棟にありがちで、そして実際このキャナルコートの他街区でも感じた。共用部の暗さが改善できていると考えられる。

 

v) 6街区

この6街区において特徴的なものは立体街路の提案である。立体街路は単調な片廊下とは異なり、両側に住戸が展開されるストリート形式(西棟)、ブリッジ形式(東棟)、南廊下と北廊下がS字にクランクする形式(北棟)そしてショートカットの階段、住棟に光と風を呼び込む空中広場など、都市の街路のように独自の場所性と回遊性を持つ空間となっている。また住戸は立体街路からブリッジや大きなテラスなどの中間領域を介してアプローチするなど共用部と専用部のつながり方が工夫されているため、プライバシーを守りつつ開くことができる住戸が実現されている。6×6のヴォイドは空中広場として設けられていて、立体街路に光や風を呼び込むだけでなく、居住者の広場とすることで、住棟のファサードに活気ある表情を作っている。住戸には入口付近にホームオフィスや書斎など住人が工夫して使える場所を用意することによってよりパブリックな空間が広がると捉えられる。

そして、総括・展望です

第四章 総括・展望
今回の研究では東雲のキャナルコートを通して現代の中高層の集合住宅のコモンスペースについての現状把握、分析、比較を行った。様々な街区のプラン構成、廊下構成を分析した結果コモンテラスというスペースを居住者が使うにはその前に段階を踏む必要があると今回の研究でわかった。つまりプライベートからパブリックへと一気に移るのでははなく、その間にセミパブリックに値するものが必要である 

また3・5街区は、廊下に光を取り入れ心地の良い風を引き込んでいるため廊下が気持ちのいい場所となっている居住者が少し留まりたくなる空間になりうると感じた。こういうシステムとヴォイドによって生まれるスペースをうまく組み合わせれば廊下に人が溜まり、結果的にそこでコミュニティが生まれるのではないかと考えられる。
集合住宅という建築はプライベートがより重視されるため設計者の意図と建築の利用のされ方が一致するとは限らない。コモンスペースを設置するのではなく、居住者によってそこがコモンスペースとなるような仕掛けを作ることが今後の大事な課題であり、その仕掛けによって居住者を動かし、ただのなんでもない空間をコモンスペースにすることが建築家の役目なのではないか。

 

最後に今回の研究をしたうえで新たな提案をします

第五章 提案

最後に今回の研究を行った上で、2街区の8階東棟平面を基に、よりコミュニティが発生しやすいようなプラン・廊下構成を提案したいと思う。6×6、3×3のヴォイド、中廊下形式を用いることは変えずに、住戸の形、廊下の構成、部屋の配置を少し変えてみる。

まず、住戸プランであるが、単身向けのプランに関しては2街区の基本タイプのものとほぼ同じ形になる。
夫婦・家族向けのプランにおいてホワイエを凸の部分にあて、住戸から飛び出すようなプランを提案する。そうすることによって、よりホワイエの強調が測れる。
全体の配置では6街区の西棟のストリート形式をさらに複雑にしたものを提案する。
まず各住戸同士に隙間を空け、住戸間にスペースを生む。そして住戸間のスペースが隙間となり、通路となり、空間となり、居場所となるような住宅の配置をする。その中でも凸となったホワイエが中廊下部分につき出し、人はその間をくぐり抜けるように廊下を歩く。
狭いホワイエの間をくぐり抜けると風や光が通ったヴォイド空間(テラス)に遭遇する。住戸とテラスが寄り添う部分にはリビングとホワイエであったり、寝室とリビングであったりといった、それぞれバラエティに富むように、あえてバラバラにに配置した。

 

 

 

 

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