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建築の表層から読み取るリノベーション様態の研究-「中道通り」をケーススタディとして

B4の加島です。遅くなりましたが、春季研究発表の内容を投稿致します。

キーワード
表装 リノベーション テナント進出
中道通り テナント分析 商業エリア

0. 序章
0-1 研究の背景と目的
裏原宿や吉祥寺の中道通り周辺の住居エリアから商業エリアへと発達したエリアには一般的な商業エリアにみられる特徴とは異なる特徴が見受けられる。一般的に見受けられる商業エリアは販売を目的とするにふさわしい空間構成で形成された建物を配置し、その中にテナントを配置していくのが主流である。だが最初にあげたようなエリアではこのような現象は主流ではなく、元々居住を目的とした建築物をリノベーションしてその中に商業テナントを配置するものが多く見受けられる。裏原宿では半数近く、吉祥寺の中道通り周辺のエリアでは半数以上の割合でこの現象が見受けられる。またリノベーションの手法、度合い、リノベーション後の動線形態も建物の立地や形態の違いにより様々パターンが見受けられる。以上から本研究の目的を以下の2点とする。
① リノベーションされた建築物のリノベーション手法を表層部から分析を行い、当エリアに見られる商業系建築へのリノベーション手法を解明する。
② 「中道通り」に存在する周辺要素を分析しこれらとリノベーションの様態との関係性を解明する。
0-2. 研究の位置付け
既往研究として以下を抜粋する。
・建築条件の変遷と建築物の種類(2008年/塚本由晴、藤村龍至、他)
・東京山手における住宅地の商業過程と住居系建築物へのテナント進出の様態に関する研究-中目黒・代官山・原宿をケーススタディとして-(2014年/増井裕太)
・吉祥寺駅北口における商店街と商業地域の発展(2011年/小出真琴)
住居系エリアから商業系エリアへと変遷した区域を対象とする研究は「建築条件の変遷と建築物の種類」「テナント進出と商業化過程」「商業地域が複数の商店街とともに発展した要因」といった「変遷過程」をメインとしている。これに対し当研究では「変遷過程」は背景として捉え、このようなエリアにおける「立地様態とリノベーション手法の関係性の解明」をメインテーマとすることで既往研究との差別化を図る。
0-3 研究の方法と予想される結論
研究の方法は以下の2点を挙げる。
① 市が発行している資料や中道通り商店会が運営している公式サイトを用いて今日までのエリアにおける歴史調査を行う。ゼンリン地図を用いたテナントや敷地の調査、フィールドワークを通し建物の立地様態や、動線の配置やアプローチ手法を探る。
② リノベーションされた建築物の写真等から外郭等を線としてトレースしてそこからリノベーション手法の分析を行う。内装部の分析は外装部から判断することにする。
予想される結論としてエリアの変遷過程と今日における商業地空間の構成、リノベーションの手法と建物の立地やアプローチ手法の様態には深い関係性が存在し、その関係性がこの研究において解明されると推測する。

1. 調査対象地の概要
1-1 調査対象地
調査対象とするのは「中道通り」を中心とした「吉祥寺本町2丁目」の増・改築された75のテナントを対象とする。
1-2 歴史的背景
中道通りは当初交通を目的とした農道として利用されていた。1970年代に吉祥寺駅周辺に立地する「東急百貨店」やサンロード周辺の再開発に伴い、移転先を求めていた商店が賃料の高い駅前アーケードから当時あまり店のなかった中道通りに集まるようになった。2008年にインターロック舗装や街路灯の増強といった改修工事が行われ、これらの影響もあり近年要所要所に個性的な面白いお店が開店し、客足が奥の西公園まで伸びた。新旧織り交ぜた商店が並んだ街並みが形成されているのは以上のような歴史的変遷が背景にある。

2. 表層からの分析
2-1 ビルディングタイプの分類
2-2 リノベーションの定義
テナントが進出する際に、建築は外装も内装も既存のものを残さずに全て新しいものに変更する「新築」、既存部分を残しつつ建物の一部分に手を加える「増築、改築」、建物自体には全く手を加えずにテナントとして利用する「ソフトのみの変更」といった過程を経て進出する。本研究では「増築、改築」の行為をリノベーションと定義づける。
リノベーションの種類にも様々な種類がある。
対象敷地内のテナントにおいて
①看板付加②オーニング付加③外壁塗装④エントランス増築⑤開口部付加⑥小屋増築⑦ひさし付加といったリノベーション手法が見られた。
テナントごとにリノベーション手法は異なるが、①から⑦の手法の単体を用いたもの、同じ手法を複数用いたもの、異なる手法を組み合わせて用いたものといったいずれかの組み合わせのパターンが見受けられた。
2-3 テナント進出におけるリノベーションの分類
2-2で定義したことを基に75テナントを対象にリノベーション手法の統計を取った。どのように増・改築を行ったというのを表層部から要素ごとに読み解いていき、要素ごとに色分けして分析結果を示すというのを各テナントにおいて行った。またこれらの分析結果を統計して各通り毎に統計結果をグラフで表した。ここで導き出した統計を基に周辺要素とリノベーション様態との関係性を考察する。

3. リノベーションと周辺要素との関係分析
3-1 用途分布
3-2 立地とリノベーション手法の関係
テナントの立地もリノベーション手法に大きく影響する要因である。統計結果から最も多いリノベーションはエントランス増築であった。①道路に面して設置することにより人の集客をスムーズに行う意図。②以前表動線として使っていた玄関口等を裏動線に充てることにより新たな表動線が必要になるため。といった要因によるものであり、テナント進出に伴う動線の変化に対応していると考えられる。また、小屋増築や屋根付加のパターンも少ないながらも存在した。
・小屋増築は角地に立つテナントに見られた
→コーナー部分の空いているスペースを利用して増築
・屋根付加はセットバックしているテナントに見られた
→セットバックにより出現した空きスペースを半内部空間として利用
これらのリノベーションは建物に対して敷地が余っている場合に適応されているが、大半のテナントは建物に対し敷地に余裕がない以上から2つのリノベーション手法はあまり見られないと考えられる。
3-3 ビルディングタイプとリノベーション手法の関係

以上が現段階での報告内容でございます。周辺関係とリノベーション手法の考察部分がまだ浅い状況ですので、本発表までにはこれらの考察をより深め、半期分かけた研究にふさわしい結論、展望を提示致します。

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