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木造密集市街地における屋外空間の利用実態とコミュニティ形成に関する研究 -東京都荒川区荒川6丁目を対象とした共同建て替えをケーススタディとして-

修士二年の益田です。前期の研究成果を投稿致します。

1. 序論
1−1. 研究の背景
現在の東京都は、戦中戦後の混乱期と都市形成期が重なったこと等を要因として、主に山手線外周部に木造密集市街地が数多く残っている。こうした木造密集市街地は、 「狭小」や 「密集」といった特異な要素が複雑に重なり合うことで生まれる都市形態の一つである。しかし、路地が持つ界隈性や屋外空間を利用したコミュニティ を持つことが木造密集市街地に住まうことの魅力であるが、同時に建物の老朽化や住環境の悪さといった問題点を抱えている。
東京都に現存する木造密集市街地が抱える問題点に対し、複数の土地を合理的に結合させ、共同建て替えを行う手法が今日増加している。しかし、こうした共同建て替えは、建物の老朽化や採光面等の問題を解決することには適しているが、建て替え以前にその地域が保持していたコミュニティを形成する余白が敷地内、建築内共に減少していることからコミュニティの希薄化が問題視されている中で、路地が持つ特性を活かした共同建て替えを提案することで屋外空間におけるコミュニティの促進に繋がると考えた。

1−2. 研究の目的
木造密集市街地を対象とした研究は多数あるが、2011年の東日本大震災以後における地域毎の繋がりの重要性が再認識された上で行われた研究は数少ない。本研究では、地域内に様々な景観をを持つ地区を対象に、震災以後におけるコミュニティに対する考え方や路地ごとの屋外空間の利用実態を調査し、木造密集市街地の路地特性を設計手法に用いた共同建て替え案を示すことを目的とする。

1−3. 研究の位置づけ
木造密集市街地のコミュニティを対象にした研究として、田中らによる「大阪市空堀地区における路地単位特性とコミュニティの実態」や、岩佐らによる「都市再開発事業地区におけるコミュニティの状況に関する研究」等がある。しかし、こうした研究の多くはこの度の震災以前の研究であること、路地特性を開発に組み込むことを課題としていることから、本研究では、共同建て替え案の設計手法を明らかにすることを目的とした調査・分析を行い、自己の考察を付加することを試みる。

2. 研究概要
2−1. 調査対象
本研究は、住民等による様々な種類の屋外空間の利用実態とコミュニティ形成の調査を行うため、条件が適合する地区として、住・工・商が混在密集しており、さらに東京都が指定している東京都木造住宅密集地域整備事業対象エリアの中で危険度ランク4の東京都荒川区荒川6丁目を調査対象とする。

2−2. 調査方法
屋外活動を生み出す路地空間の構成要素を調査するために、現地でのフィールドワークを行う。路地空間の写真撮影や実測を主とし、道路情報や地域の成り立ちを調査した上で、地区内での特徴的な路地単位 を選定していく。
選定した路地単位における街路状況の種類やテクスチャの変化や切り替え、設置物・しつらえの有無等の物的環境と、居住者や利用者の年代や業種等を合わせて調査し、項目別に分類していく。
次に、各路地単位での屋外活動の調査を、フィールドワーク・ヒアリングを併せて行うことで、路地単位で行われている現在と過去の日常的活動や非日常的活動等の利用実態の調査を行っていく。

2−3. 調査結果
路地単位ごとの特性や屋外活動の利用実態を合わせて調査した結果をまとめ、路地単位番号ごとにデータシートを作成していく。

3. 路地単位と屋外活動の関係性
3−1.特徴的路地単位における屋外空間の利用実態
前章での調査結果を踏まえ、特徴的な路地単位を形成する構成要素と、そこで行われる屋外活動を図面や写真から見られる特徴、ヒアリングや観察をもとにした記述を用いて総合的に分析していく。

3−2. コミュニティ形成を促す路地が持つ要素の抽出
前節での分析を踏まえ、木造密集市街地が持つ魅力の一つである境界の曖昧さや界隈性が促す下町独自の人間関係を生み出す要素を抽出していく。

【設計編】
4. 設計提案
4−1. 計画敷地
計画敷地には、東京都荒川区荒川6丁目地区を選定する(仮)。

4−2. プログラム
木密地域の魅力である界隈性や内部拡張等を設計手法に反映させた住居の共同建て替えを計画することで、既存の建て替え計画のような画一的な住空間の提案ではなく、路地性を持ち、コミュニティ形成を促す余白を保持した共同住宅を地区内に段階的に提案する。

5. 予想される結論
木造密集市街地全体を一括りとした画一的な建て替え案に対する代替案が求められている中で、地域性を加味した設計手法を提示することで、現在建て替えが進んでいない地域の住民に対する提案になる。また路地性を保持することで建て替え以前のような下町独自のコミュニティ形成を促せる。image

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