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DIPLOMA2011中間発表

B4山口陽平です。

 

新宿、新大久保

外国人登録者数が最多の街でその歴史の中で様々な障壁を乗り越え多様性を許容してきた。はじめは否定的だったが今では区をあげて多民族都市を目指している。多民族都市の始まりは繁華街歌舞伎町との近接により働く場所が多かったことに起因し今でも住職近接の濃度の濃い生活が営まれている。それに言語学校や専門学校といった学びの要素も加わり、それら生活の中心となるものが“歩いていける範囲”に散在することが大久保に外国人が集まる最大の要因である。

今では住人の国籍もプログラムも在住者も来街者もどこまでもまじりあって“カオス”の様相を呈している。

飽和した新大久保

国籍のボーダーも住人や利用者といった枠も「相互理解のための格闘」を戦後から続けてきたこの街で建築は未だ確固として“誰か”の領域を死守、或は誇示している。

どこまでもエネルギッシュなこの街の生活を「建築」(とそれを規定する法規)が押さえつける。「生活」を豊かにするためのものなはずのこれらは、「生活」が空間を作り出すこの街では一番不自由なものになってしまったのかもしれない。「ガワ・アンコ」「私有地・公道」これらの対立概念を浮かび上がらせる。

“国際様式”とよばれるペンシルビルは生活で埋め尽くされ街は飽和した。

領域が溶け合って中身同士が混じったらどんなに濃密な体験になるだろうか。

その打開策として対極の都市、九龍城。

1940年代に城壁が取り壊されて以降1993年に取り壊されるまで法が届かない故にバラックが作られ増改築を繰り返した唯一無二の立体スラム街。建物は互いに支え合うような構造で階段は共用、インフラは無尽蔵に引かれる。

不法地帯で犯罪が蔓延し恐れられたがこの独特の空間に魅力を感じる人も少なくない。

個人が個人の生活を豊かにするために改造を重ね全体として立ち上がった夢の摩天楼。

その本質は生活側の欲求の強さと弱い建築ではないだろうか。規定が無ければ「生活」はコンクリートの「建築」を打ち破る。建築と建築、領域の融和。

問題はインフラの整備不足と犯罪を誘導する暗さ

目指すべき将来像

日本の中心に最も近く、最大のエスニックタウンであり、多くのアジア人にとって日本の玄関口的存在である新大久保。平成の開国を直前に、多様性を許容する本当の国際都市の形態はどうあるべきか。これからも何でも許容し続ける入れ物はどんな建築か。

周辺ではタワー型マンション、道幅拡張事業などこれまで通りの近代化が図られている。このままでは大久保を中心としたスプロールが広がり“歩いていける生活の密度”が失われてしまう

提案

全体を意識せずに個人の生活が作り上げた結果“炎上”してしまった九龍城と、“炎上”しないように整備され法規で生活が押さえ込まれ飽和されてしまった街大久保。

個人の生活の欲求を満たしつつ全体像も描ける建築でインフラの整備された光の届く領域の融和した現代日本版の九龍城をデザインする。

法規の様な完璧なものでも個人による完全な自由でもないもの

ゆるい建築デザインで個から都市を考える

敷地の取り方

 

レビュー

以上のように選定した敷地に領域を混ぜ合わせる直接的な操作を行った建築を都市に寄生するような提案を行いました。

ご指摘いただいた点として

・結局なにがしたいのかわからない

・敷地が大きすぎる

・敷地の取り方が暴力的

・ひとりの設計者によるエゴな造形の提案になっている

などがあります。

それを受けまして、ストーリーの整理、敷地を主に隙間にし、より寄生するようなデザインに、カタチではなくシステムに重心を置くこと。

などを検討しております。

今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。

 

 

 

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