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町家工場集合体|都市とつながる住工調和型集合工場


1-1 背景

大田区は工場数 4,362、従業員人数 35,741 人と共に東 京都の市区町村中1位を誇り、「ものづくりのまち」と して知られている。それらの工場のほとんどが「町家工場」と呼ばれる住居が工場の上にのっているような住工 一体型の構成となっていて、主に従業員1人~9 人の小 規模な工場である。しかし、驚くべきことにロケットや 医療製品の部品などをつくる世界に誇れる技術を持っている工場が大田区には数えきれないほど存在している。このような小規模な工場が成長してきた背景には大田 区が提唱する「住工調和」が挙げられる。大田区の町工 場で働く職人たちは基本的に工場に近い、もしくは一緒 の住まいを持ち、地域コミュニティーと職場でのコミュ ニティーが同一であるために工場間の結びつきが非常に強い。そのような現れとして、地域内で「仲間まわし」 =通称「ちゃりんこネットワーク」という、自社だけで はできない製品の加工などを近くの工場へ自転車で持っていき、複数の工場を回って一つの製品や部品にまとめ あげるという独自のネットワークを形成している。このような強い結びつきの中で日々互いに技術を磨き合って いるのである。しかし、このような優れた工場も不況や 産業構造の変化などによって80 年代以降減少をつづけ、 町工場全体の存続の危機が心配されている。そこで、大田区が主導で、点在している町工場をなるべく集合させ ようという取り組みが行われ始めている。その一つとし て工場アパートというものが挙げられる。

図 1 は対象敷地としても扱っている本羽田二丁目工場 アパート ( テクノ WING) である。産業と生活が共存する 街づくりを進める「住工調和環境整備事業」の一環として大田区が建設した工場アパートであり、工場棟と職住近接のための入居者企業用住宅を併設している。都市における産業立地環境整備のモデルケースとして位置づけ られている。


1-2 設計主旨

このような現状の住む場所と働く場所の在り方をまったく異なった形式へ再編集し、なおかつ建物内で完結した非常に閉じた工場アパートの在り方に疑問を感じ、町家工場のもつ働く場所と住む場所の関係性や、周辺の町 家工場がつくり出しているネットワークを活かすようなカタチで「個」が集まって集合体がつくられるような、 そんなオルタナティブな集合体を提案したい。


1-1 敷地

東京都大田区本羽田 2-12-1 現・本羽田二丁目第二工場アパート ( テクノ WING) 敷地

 











1-4 計画概要

町家工場をそのままくっつけたような集合体をつく る。そこからさらにそれぞれの居住空間や工場空間が互いに押し合って貫入し合ったりすることで、住居と工場の関係性を密に保ちながら間にひとつながりの空間をつくりだした。ひとつながりの空間は単一の町家工場では持ち得なかった住居空間の延長「庭先」のような場であり、そこには住まう場所の風景が広がっていく。

また、地域の緑地空間不足に対し従来工場を中心に固めてその周辺の緑地を地域へ開放しているのに対し、その中心に固められた工場をほぐして緑地を取り囲むよう に配置することで閉じられていた町工場を地域に浸透さ せ、従来のネットワークで結ぶ。さらに、緑地の中心に 工場や住居同士が共同で利用できる施設を配置し、公共性を持たせることで周辺の住民に対して開いていく。

 

 

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