B4の鈴木です。遅くなってしまいました。
僕が前期の論文で扱ったテーマは反重力的な建築です。
反重力的というのは、本来地球には重力が存在しているのにも関わらずそれに逆らっているかのような形態のものを指します。
こういった建築を比較したり考察することにより、建築が反重力的形態をもつ必要性はどこにあるのか、それを明らかにすることを目的としました。
装飾の時代が終わり、建築の興味がボリュームの操作や形態にシフトしてきた20世紀初頭あたりから建築は反重力的表現を用いるようになります。
特にロシア構成主義では、計画、実作に関わらず新たな形態を模索していて、そこが出発点であったと僕は考えています。
時代を追って行くと、反重力的形態が生まれたあたりでは、主に思想の反映や、何かを象徴するものとして用いられました。その後から今に至る流れでは主に空間の操作のために使われるのがほとんどでした。現代ではそれと平行してアイコンとして建築が成り立つような強烈な形態を実現するために用いられるようになりました。CCTVやリベスキンドの建築などがその最たるものだと考えられます。
この研究は、結果的に空間論なのか形態論なのか、どっち付かずのものになってしまいました。
空間論的な結論としては建築をひとまとまりの物から、空間を分節・挿入することにより建築を縦へ横へと様々な関係を生み出しているということが言えると思います。
形態論的な目線からは、建築家が作りたい形態が、技術の発達によりある程度実現が可能になっているということがあり、それにより建築家は様々な形態にチャレンジしています。こうした物を作り出したいという欲求は、熱意というかほとんどが建築家のエゴのような物を明確に映し出していて、その結果として複雑で非現実な形態が生まれていると言えると思います。
よって今後、新たな形態を持つ建築がさらに生まれることが予想されます。構造の進歩と人間の反重力的建築の欲求がある限り、今後も建築は新たな形態を獲得することが出来ると思います。