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高密度都市マカオにおける勾配をもつ路地の空間特性―路地の領域性・形態・過密性―
修士2年の五味です。修士論文の概要を掲載します。 0.1研究の背景 ・マカオは近年、観光とカジノの街として急成長を遂げる都市として知られている。ポルトガル風の街並みと、華人の流入による中華風の文化が混在する都市であり、起伏に富み複雑な街 路形態が特徴である。近代以降、人口密度が世界一となり、世界有数の高密度都市となった。 ・マカオの最大の特徴は高密度な都市が起伏に富んだ地形の上に形成されていることであるにもかかわらず、マカオの都市空間と地形の関係は十分に語られてこなかった。 ・旧市街にはいたる所に複雑な形態を持つ路地が存在し、土地の起伏と相まって濃密な立体的都市が展開している。廟などの宗教施設が点在し、コミュニティーの場となっている。 →本研究はこうした勾配をもつ路地を対象とし、その空間特性を解明することを主題とする。 0.2研究の位置づけ マカオに関する既往研究には、是永らの①都市形成...
御柱転生
1.背景 御柱の街 諏訪 長野県中部・諏訪地域には御柱(おんばしら)と呼ばれる独自の文化がある。御柱とは神社の四隅に立てられたモミの巨木のことで、ご神木としての役割を持っている。御柱は6年に1度開催される御柱祭という祭りを経てご神木となり、御柱は古いものから新しいものへ更新される。御柱祭とは御柱となる樹齢150年以上のモミの木を八ヶ岳山麓から切り出し、人力で神社の境内に運ぶ諏訪大社の神事である。御柱は諏訪大社をはじめ、諏訪地域の神社や街中の小さな祠に至るまで様々な場所に見られる。 2.問題提起 御柱は御柱祭が開催されるたびに古い御柱が発生している。現在、諏訪大社の古い御柱はお守り・輪切りのオブジェクト・広場のモニュメントに加工されている。しかし諏訪地域全体で見れば御柱の有効利用はまだ進んでいない。役目を終えた御柱の新しい利用法があるのではないかと考える。 3.提案 上記の問題より御柱...
建築空間における柱の機能と意味 篠原一男の住宅作品を対象として
B4の五味です。春期の研究内容を発表させていただきます。 キーワード:篠原一男 柱 機能 意味 序章 1-1研究の動機と背景 近年の建築技術の発展に伴い、建築の空間や部材の表現は飛躍的に増加している。柱を例とすると、本来は構造材として用いられていたが、今日では装飾としてや構造材とは感じさせない表現など多岐にわたる。戦後以降の住宅作品において、柱を空間の要として設計を行った建築家として篠原一男が挙げられる。篠原の建築は4つの様式に分類され、それに伴って柱の形状が変化することが知られている。篠原は生前に多くの空間言説を発表し、様式の既往研究も広く行われている。一方で柱の形状や配置による「間」の作り方や、柱に込められた意味の研究は行われていない。篠原の柱を研究することは、現代の多様化する柱空間を改めて考察する上で大きな意味を持つと考えられる。 1-2研究の目的 本研究では前述した4つの様式に...