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満ち引きする空間-干潟に建つサイトスペシフィックな博物館-
■背景 戦後の日本国内では電力供給や利水を目的として多数のダムが建設された。日本各地に建設されたダムは建設前後の時期はその機能ばかりに注目が集まったが、年月が経つにつれて建設の弊害が明らかになった。山や河川を切り開いてつくったダムは周囲の自然環境に多大な影響を与えただけではなく、ダムによる二次的な水害が発生した地域もある。さらに、過疎化が進む地方都市近辺におけるダムは電力供給の機能がもはや必要ではなくなる場合や、ダムがもたらす環境変化が地域の一次産業に大きな影響を与え、経済発展の妨げになっている場合が見受けられる。人口減少や産業の変化により、小規模のダムが持つデメリットは無視できないものとなっている。 2018年に熊本県球磨川上流に位置する荒瀬ダムの撤去が完了し、日本で初のコンクリートダム撤去の事例として注目が集まっている。この事例を機にダムの撤去への関心が国内で高まっている。 ■設計趣旨...