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多様な集団規模の共存と異世代交流に配慮した子ども施設の研究 ―杉並区西荻窪における複合型認定こども園の設計―
背景と目的 近年、都市部では多くの待機児童の存在が問題となっており、需要の増加にともない子ども施設注)数は増加している。設置場所は従来一般的であった住宅街のなかだけでなく、駅の近くや商業施設にも認証保育所のような子ども施設ができるようになった。これにより、保護者に対しての利便性が向上した。駅の近くだけでなく、住宅街に建つ子ども施設においても他の施設と複合しているものが多く見られるようになった。 また、福祉や教育系の施設を併設した複合型子ども施設では、相互の施設利用や異年齢交流の機会を持つことができる。さらに、保育時間の延長や一時保育などのサービスを行う施設が出現し、保護者の様々なニーズに対応することもできるようになった。今後、拡充される動きにある認定こども園では、地域における子育て支援を行う機能を満たすことが施設の認定条件となっており、サービスを介して施設の一部を地域へ開放する流れにある...
自然光を用いた時間の表現に関する研究
はじめに 現代のように人工照明が発達する以前、人間は基本的に太陽の変化のリズムにそって生活していた。暗くなるとろうそくを灯すなど、行動の様々な部分に光の変化が作用していたと考えられる。 人工照明が発達した現代では昼間から夜間に至るまで調整され安定した光の中で生活をしている。そういった環境は変化に乏しく、そこで生活をする人々の時間の感覚は、時計やテレビ・ラジオなどの周期性を持つ光以外のものによって補われている部分が少なからずあると考えられる。人工照明による採光が主流になった現在では、自然光による様相の時間的変動はあってないようなものとして扱われる場合さえある。 一方で、自然光の価値や、時間的変化が見直される動きがあるのも事実である。太陽光の変動をシミュレートした人工照明が開発され、オフィス建築などに導入される例もみられる。 時間によって変化する自然光は、建築の形態や空間に大きな影響を...
竹を活用したHPシェル構造シェルターの設計-千葉県南房総市における里山プロジェクト-
1.序論 1-1.研究の背景 環境共生の意識が高まる中で、建築資材として自然素材を利用することは価値のあることとして注目されている。その中で建築資材としての竹材は特有の靭性を持ち、繊維方向が木材と同等の強度を持つため、その特性を活かすことで利用拡大の可能性をもつ循環型資材であるといえる。さらには日本全国の竹林では伐採された後に放置されたまま荒廃していくことが未だに多いのが現状で、里山では次世代の林業への担い手が減少を続け、伐採や間伐が行われず荒廃が続くという悪循環が働き、深刻な問題を抱えている。そのような里山が抱える竹林問題解決の糸口として、建築資材として竹材のもつ特性を最大限活用するモデルをつくり、竹材の地産地消を行うシステムを提案することはできないかと考えた。 1-2.研究の目的と位置付け 実際に竹材を利用し、実施設計まで行った研究として共通しているのは竹...
CFD解析シミュレーションを用いた環境共生型学校建築の設計-両義的な壁を用いた豊洲小学校新築計画
0.1研究の背景 近年、コンピューターの普及により様々な解析シミュレーションを行うことができるようになってきた。解析シミュレーションを用いることにより、風や熱や光などの複雑で予想し難い挙動を可視化し把握することができる。このことにより、実際に設計された空間が環境的に意図されたものになっているか検証し、その結果をもとに改善することによってより適切な環境を実現することができる。 学校建築は、学校形態や理念の変化などから、様々な取り組みがなされている。まず、空間の可変性、連続性、開放性を実現する形態としてオープンプラン・スクールが注目されている。オープンプラン・スクールは、教室が完全に独立したものになるのではなく、パーテーションなどで仕切り、開放的で可変性のある形態である。オープンプラン・スクールでは様々な諸室の空気が一体となっており、環境的にお互いに影響を与えやすい。つまり、通風や音、視線...
アルゴリズミック・デザインを用いた密集市街地における小規模共同住宅の設計手法の開発 -東京都墨田区地区の共同建て替えをケーススタディとして-
0.研究の背景 東京の密集市街地の多くは幅員4m以下の細街路が入り組み、公園などの公的な空地が少ない密集した住宅地である.一方、都心に近いという利便性の高さ、安定したコミュニティが存在するといった生活環境の可能性を持つ地域でもある.隙間なく建ち並ぶ住居の多くは「老朽化」、「延焼の恐れ」、「狭小」、「未接道敷地」などの問題点を抱えいる.こうした現状を踏まえ、建築的解決のひとつとして複数の地権者と一体的に共同住宅として建て替えを行う「共同建て替え」が試みられる. 共同建て替えにおける「敷地の取り方」は、賛同する地権者により様々な敷地形状が考えられる.また、その地権者数に従い「住戸数」、「容積(延床面積)の配分」などの初期条件が変動するため、共同住宅においても様々な形態が存在する.設計者がこの初期条件の変動を受けいれ、敷地の取り方と集合形態についての最適解を得るまでに...
『竹を活用した仮設建築の設計-千葉県南房総市における里山プロジェクト-』
M2齋藤和也です。 『竹を活用した仮設建築の設計-千葉県南房総市における里山プロジェクト-』 1.序論 1-1.研究の背景 環境共生の意識が高まる中で、地場産の建材を代表する竹材は特有の靭性を持ち、繊維方向が木材と同等の強度を持つため、建築材として利用拡大の可能性をもつ循環型資材であるといえる。実際に海外では竹材を利用した建築が多く存在しているが、日本では伐採された後に放置されたまま荒廃していくことが未だに多いのが現状である。また現在全国の竹林は生活用品の変化、安価な輸入タケノコの台頭、市場価格 の低下などにより、竹の使用率は低下しており、中でも里山では次世代の林業への担い手が減少を続け、伐採や間伐が行われず荒廃が続くという深刻な問題を抱えている。そこで建築資材として竹材を有効活用することが竹林問題の解決につながると考えた。 1-2.研究の目的 竹材を用いた建築事例は数が少なく...
地域差を考慮した自然光による建築空間設計手法の研究
修士2年 鈴木将平 0.はじめに 建築の設計において、考慮しなければならない事項は非常に多岐にわたっている。法規や必要とされる条件のようなはっきりと満たす/満たさないの判断が比較 的容易で、設計者が客観視することが可能な事項がある。その他に気流や照度、温度といったものも、最近ではコンピューターのシュミレーションによってある 程度の数値化・視覚化が可能になり、これも建築設計を客観的に行ううえで非常に有用である。以上のように、建築設計において人間の感覚によらない部分はあ る程度制度化し、設計者がクライアントとの間で数値を媒介としたコミュニケーションが可能になった。とくに現在では技術の発達も進み、オフィスなどでは建 築空間を電子制御により常に設定した環境に保つことが可能になっていることからも明らかである。 このような観点から考えると、現代建築はモダニズム以降地域差が少なくなっているように考え...
CFD解析シミュレーションを用いた学校建築の設計手法に関する研究-豊洲における小学校の提案-
研究の背景と目的 近年コンピューターの普及により、様々な解析シミュレーションを行うことができるようになってきた。解析シミュレーションを用いることにより、風や熱や光などの複雑で予想し難い挙動を可視化し把握することができる。このことにより、実際に設計された空間が環境的に意図されたものになっているか検証し、その結果をもとに改善することによってより適切な環境を実現することができる。 現在の建物の環境は、主に機械制御でコントロールされている。そんな中、設備に依存するのではなく建物の形状を直接的に変化させ、パッシヴな建築を形成することは設備の負荷を抑えることができ、環境的課題が多く取り上げられている今日において極めて有効である。また、環境的合理性を考慮し設計することによって、計画学的合理性を考慮し設計されたものとは違う造形が生まれる可能性がある。 近年学校建築は、学校形態や理念の変化な...
アルゴリズミックデザインを用いた密集市街地における共同住宅の設計手法に関する研究 ー東京都墨田区向島地区を対象とした共同建て替えをケーススタディとしてー
修士2年 石川北斗 アルゴリズミックデザインを用いた密集市街地における共同住宅の設計手法に関する研究 ー東京都墨田区向島地区を対象とした共同建て替えをケーススタディとしてー 0.序論 0-1.背景 密集市街地という環境は、「木造密集」「狭小」といった現代的問題を呈する特異な領域であり、住宅の老朽化や住環境の悪さに対し、共同住宅による建て替えが進められている。その建て替えという建築的解決を担う設計者に投げかけられる条件は密集市街地ゆえに実に重層的であり、それらを咀嚼し一つの形態へと収斂させていかなければならない。計画地というものは「不整形」かつ「狭小」であことから、各住戸の配置は不整形に準じるものとなり、積層形態となると予想できる。加えて「密集」する周辺環境による光環境なども形態生成に関与してくる。設計者は重層的条件を同時的に扱うとい...
幼保一体型施設における空間形態に関する研究 —都市型認定こども園の提案
1. 研究の背景と目的 近年、都市部では多くの待機児童の存在が問題となっている。需要にともない保育所数は増加している。東京都独自の制度である認証保育所は、都市部の保育所不足の対策として設置されている。アクセスの良さや開所時間へのニーズには応えられている一方、従来の認可保育所の施設基準では設置場所の確保が困難なため基準を緩和している。したがって、施設面積の縮小や設備の質が低下するといった、子どもの成育環境として疑わしいものが増加している。 認証保育所だけでなく、保育施設の運営形態は様々である。その結果、質や環境について格差が発生しており、地域や施設ごとに異なる保育環境となっている。子どもの数が減少している地域では、子ども施設(注)における集団規模が小さく、社会性の獲得について都市部とは差が生じてしまう。 このような状況において、現在、保育施設の制度が変革の時期を迎えている。すべての子どもに標...