B4の五島です。2023年9月21日に実施しました、新建築2023年4月号の現代建築レビューを投稿します。
新沼:4月号で気になった建築は何ですか。
木村:私は浦河フレンド森のようちえんが気になりました。立体トラスが子供の自由な居場所探しの手助けになるとともに、この形によって遊戯ホールと保育室を緩やかに接続していて魅力的だと思いました。
五島:私は星野神社本殿・覆殿が気になりました。使用した木材すべてを神社の敷地から伐採している点がとてもいいと思いました。伝統技術の継承のための研修の場としても役割も神社のとても重要な役割だと思いました。
鶴田:私は郭巨山会所が気になりました。既存の会所家と土蔵を繋ぐかたちで増築しており、過去にあった建築を、写真などで残すのではなく、建物を残して増築しています。以前からあったものが空間に良い、新しい価値をもたらしている点や、増築しているが全体としては一つのコンセプトでまとまっている点が魅力的だと感じました。
山田:私はd&i大黒屋新社屋が気になりました。曲面的な大屋根と壁の接合部が気になりました。図ではガラスをジグザグに切っているように見えるが、写真を見ると金属で接合しているようにも見える。実際はどうなっているのか気になります。
藤ノ木:私はawaもくよんプロジェクト 新浜町団地県営住宅2号棟が気になりました。「間の間」という使い方を定義していない空間が特徴的だが、建築家は実際に具体的な使い方を想像できていないのではないか。今まで経験していない空間の使い方は難しいため、設計者側がこの空間ならではの使い方を提案するべきではないかと思いました。
新沼:私は長崎市庁舎が気になりました。RCが免震の役割、CLTは耐力壁となっており、炭素貯蔵にも貢献しています。耐震や免震を考えなくてはいけない日本で大きな公共建築を長く使うには木造では立ち行かない部分があるが、RC造の中でも木を使うことで環境問題にも着手しており、それが外皮に現れています。これは日本の公共建築の典型的な例になっていくのではと思いました。
草山:私は鉄と木の積層オフィス――Sreed EBISU+tが気になりました。鉄骨造の柱梁の内側にある木造の架構が、意匠的な要素だけではなく、免震性能を向上させている点が面白いと思いました。ここに照明をつけたり、設備の配線を目立たなくさせたりできる点や、外部から木の架構が見える点も良いと思いました。
新沼:他に気になった事例はありますか。
山田:郭巨山は昔の屋根が内部から見えるなど、中にいるだけで歴史を感じられるのは、レスタウロを感じました。
新沼:もともとはただの屋根だったが、中で対面して見られるようになったことで鑑賞物としての屋根に、屋根のもつ意味が変わっています。
藤ノ木:既存の建築を活かすということで見ると、神山も中学校をリフォームして高専にしている。もともと棚田だったところに校舎をつくり、棚田の石垣を残している。その風景と木造は合う。その土地で採れた木材を使っているものが多いが、これは地方にチャンスがある。地方こそ廃校がある。木造と廃校など地方ならではの問題を組み合わせるのは一つの良い回答だと思いました。
新沼:地方だと里山との関わり、都市は自然をどう取り入れるか、地方と都市で同じ木造でも着目することが変わっています。
総括
大規模建築の木造化が図られているが、木造はRCに比べて耐用年数が短い。今回の事例は建てる際の技術などに重点が置かれており、その後の耐久性やメンテナンスに関する話はなかった。炭素固定化の面からも長く使うべきであり、メンテナンスに関しても考える必要があるのではないか。