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都市への孵化-Incubation of culture school-

□背景

東京都心部では戦後、特に高度経済成長期において業務地化が進行し、日本経済を担う多くの業務機能が集積してきた。この中で80 年代のバブル期にはオフィス床需要が急増し、多くの投機的なビル建設が行われたが、2000 年以降は相次ぐ大規模再開発とともに新規業務床供給が行なわれている。特に中小規模のオフィスビルが集積する地域においては、オフィスビルが抱える空室が大幅に増加し、地域の経済面、コミュニティ面に悪影響を与えることが懸念されている。特に内神田エリアは、オフィスビルの空室が特に目立っている。居住人口の回復や空室解消が認識されており、職住調和を担保しつつ都市機能の更新を図ることが求められている。

この虫食い状態で拡がるオフィスの空洞化は、もはや、オフィスビルの空室に新企業のオフィス的利用価値を挿入することは限界が生じているように思える。大きな空地があり、そこに新しい用途が生まれる現象ではない。一建物またワンフロアーと非常に限られた面積と形の中により柔軟に対応できる、そしてそれがどこでも可能で、神田の特色や問題の改善の直接的な解答が求められる。

□設計主旨

敷地は、東京都神田駅前にある現在空地となっている街区を利用する。神田地区の中でも内神田エリアに位置し、周辺の中で最もオフィスの空室状況が著しく増加している地域である。周辺情報として、オフィスワーカーの憩いの場所や近くの学校など学生達のふれあいの場所としての広場や公園などがない。また、住宅需要としてオフィスワーカーの単身者向けのアパートが主な割合を占めている。このように、神田の問題としてふれあいの場がなく、また単身者の週末や休日の過ごす機会を与える場所が積極的に計画されていないことがあげられる。そこで、それらを踏まえたカルチャースクールの提案をする。

□計画概要

・インキュベーションセンターの再解釈現在の起業や開発といった目的ではなく、個人や小集団の要望をターゲットとしたインキュベーションセンター。例えば「カルチャースクールを開きたい」や「アトリエを持ちたい」といった個人的要望の解答としての空間提供の下地をつくる。センター側はスペースと最低限のノウハウだけを与え、あとはセンター内のテナント同士でインキュベートし合う。

・関係促進の図形反復近くのテナント同士がwin-win になるような空間デザインとして、従来建築の基本2 方向グリッドに3本目の方向性を作りだすことによって出来上がる三角形と六角形を部屋割りの基本とする。空間の大きさと配置によるヒエラルキーが、用途を決定する。

・アクティビティの共有 [STUDIO],[CULTURE SCHOOL],[BUSINESS] の3つを併せ持つセンター内では、その組み合わせ方でさまざまなアクティビティが生まれる。

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