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継 往 開 来 -物流倉庫から小学校へのコンバージョン-

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1.背景 -物流倉庫の空き家化-

かつて、経済成長期の日本。都市は肥大化しその需要に応えるべく供給の拠点として都心部湾岸には埋立地が造成され物流倉庫が数多建設された。しかし今日、物流施設はオートメーション化に伴う施設の集約等、様々な理由により物資を保管する大空間という形態的特徴をのこしたまま、空き家倉庫が増加している。しかしそのような湾岸埋立地には近年住宅地に転用され、それに伴う短期間での人口流入が見受けられる為、公共サービスの不足が見られる。

2.対象地域及び敷地分析 -新興開発都市千若町-

 

本案では、そのような要因で増加している空き家物流倉庫が目立つ神奈川県千若町を対象敷地とする。この地域は2002年に都市再生特別措置法により緊急整備地区に定められた以後、短期間での過度な人口流入が目立つ。住民は一部稼働している工場と今後開発されるであろう工場跡地に囲まれながら生活している。また流入人口に若年層が多いことから同学区域内の児童は今後5年間大幅な児童の増加を見込んでいるが、民間企業により開発された地域内には公共施設が不足しており公共サービスの供給が十分とは言えない。

3.コンバージョン対象 -三井物流倉庫-

本提案のコンバージョン対象を千若町に存在する三井倉庫とする。同倉庫は6層の積層倉庫と8棟の平屋倉庫からなる空き家倉庫である。平屋倉庫に横付けするように駅が存在しており貨物専用線が延びていたが現在は、開発事業により唯一外海と接続する航路には橋が架けられ貨物線は廃線。今日、人口流入地域と工業地域の間に存在する機能を持たない空間である。

本案は、空き家倉庫のコンバージョン行い地域に不足している公共施設を提案する。具体的な設計趣旨を以下三点とする。

1) 推計に基づき今後不足するであろう児童280人14学級規模の小学校を計画する。

2) 公共施設の不足に対し教室開放と住民参加型授業を想定する。

3) 今後開発される地域と既に開発された地域の間に存在する敷地の特徴に注目し、地域住民が行き交い、住民と児童が共存する新興都市に溶け込んだ学校建築を目指す。

5. 設計提案 -白/黒とグレー空間-

平面-10のコピーHPパース-01

小学校を計画するにあたり、国内で多くの学校建築を設計し新たな小学校のモデルとして注目を集めるシーラカンスアンドアソシエイツ(以下CAt)の黒と白の概念及びフレキシブルラーニングエリア(以下FLA)の概念を手掛かりとして、住民と児童が共存する学校建築を目指す。それに際し、両者の動線を児童の防犯上の理由で明確に分離する必要があると考えられるが、既存形態を扱うことによってそのことがどのように作用するのか考え設計を行った。

具体的な方法として黒と白の間に児童と住民の一方または双方一体となって使える空間=グレーな空間を既存形態によって生み出した。その空間は小学校の教室として、時には住民の交流の場として、その時々に行動を許容する空間となる。

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