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近代化産業遺産の保存・改修に関する研究―新町紡績所の改修計画―
M2 黒坂貴大です。 修士研究が完了しましたので、投稿させていただきます。 背景と目的 現在、地球温暖化等の環境問題、また世界規模の経済的問題などの背景により、サステナブルやローコストといった観点から建築のコンバージョンやリノベーションが日本国内でも重要視されている。 日本には、戦後の近代化を支えた産業遺産が数多く残されており、その中には工場や倉庫といった歴史的価値のある建築物があり、地元保存会が中心となって保存活動を行っている。保存会の働きにより建築物を残すことはできているが、有効利用は出来ていないというのが現状である。また、この地域は産業化時代に工場と共に成長し、活発であったが工場の衰退と共に衰退していった歴史があり、再活性化させる必要性もある。 以上の背景から、コンバージョンすることにより衰退した地域の再活性化を図り、地元保存会の...
仮設集合体-アルゴリズミック・デザインを用いた集合体の生成手法に関する研究-
M2 松井 夏樹です。修士設計の報告をさせていただきます。 0-1研究の背景と目的 集合体建築は、集落等に見られるプリミティブな建築形態のひとつであり、現代でも多くの建築家が手掛けている。しかし、集合体建築は、単位空間の微妙な位置の変更が全体の空間の質に大きな影響を与える建築形態であり、スタディに膨大な時間と労力がかかる。また、集合体の生成ルールは、建築家のセンスや経験等に依存しているものがほとんどである。アルゴリズミック・デザイン(以下A.D)は、コンピュータの発展と共に1990年代から、建築設計においても積極的に取り入れられ、近年では、その膨大な処理能力と正確性から、建築設計者の設計ツールとして、様々な場面で用いられ、環境デザインにおける有効な設計ツールとしても大きな注目を浴びている。しかし、A.Dを用いた事例の多くが、建築の部位や構造・設備設計等に偏っており、集合体建築...
音楽のある風景 -馬車道コンサートホール-
どこにいても世界中の音楽が聴ける現代 それでもなぜ我々はホールへ足を運ぶのか コンサートホールはなぜ建てられ続けるのか コンサートホールは高い壁で覆われ中に入る機会がないとその建物の良さや様子がわからない 本来都市の中心にあり 集う 場所であったコンサートホールは 聴く 場所へと変化した その結果、コンサートホールは音の良し悪しばかりが追及されていった 音を楽しむはずのコンサートホールは音が良ければただの箱を置くだけでよいのか 日常の中の非日常的な空間 コンサートというのは特別な時間であり、コンサートホールというのはそういった非日常感を演出する必要がある。 しかし、そういった非日常感は日常に紙一重で存在するものであり、ホールという建築もまたそういった存在であるべきだ。 現在のホールは物理的に壁で外界と切り離すことにより非日常感を演出しているために...
【雲】-多文化都市をつなぐ立体格子-
■都市にかかる雲:イントロダクション 自己完結した自閉的な建物群。 自然発生的に完成した都市。 依存し合う空間、強く閉ざされた壁。 その状態を地形のように捉え、雲をかけました。 雲、という弱い境界を壁の外に新しくつくりました。 雲は生活を壁の外に拡張するきっかけです。 都市に生活があふれ、混ざり、つながっていきます。 ■多文化都市?大久保:敷地 敷地は新宿区大久保。魅力的な内部の生活とペンシルビルでできた都市。表裏の区別が存在し、密集する表同士裏同士でも隣との関わりを閉ざすような空間で窮屈な活動が行われ、この都市にはわずかな隙間しか残されていません。 ■立体格子:デザイン この隙間に雲をかけ表の商と裏の住をつなぐことで留学生を含むすべての活動が関係し合う状態をつくります。 雲とは生活の溢れ出しのきっかけとなる立体格子です。 立体格子は都市を構成する面の強さに対す...
都市への孵化-Incubation of culture school-
□背景 東京都心部では戦後、特に高度経済成長期において業務地化が進行し、日本経済を担う多くの業務機能が集積してきた。この中で80 年代のバブル期にはオフィス床需要が急増し、多くの投機的なビル建設が行われたが、2000 年以降は相次ぐ大規模再開発とともに新規業務床供給が行なわれている。特に中小規模のオフィスビルが集積する地域においては、オフィスビルが抱える空室が大幅に増加し、地域の経済面、コミュニティ面に悪影響を与えることが懸念されている。特に内神田エリアは、オフィスビルの空室が特に目立っている。居住人口の回復や空室解消が認識されており、職住調和を担保しつつ都市機能の更新を図ることが求められている。 この虫食い状態で拡がるオフィスの空洞化は、もはや、オフィスビルの空室に新企業のオフィス的利用価値を挿入することは限界が生じているように思える。大きな空地があり、そこに新しい用途が生まれる現象では...
町家工場集合体|都市とつながる住工調和型集合工場
1-1 背景 大田区は工場数 4,362、従業員人数 35,741 人と共に東 京都の市区町村中1位を誇り、「ものづくりのまち」と して知られている。それらの工場のほとんどが「町家工場」と呼ばれる住居が工場の上にのっているような住工 一体型の構成となっていて、主に従業員1人~9 人の小 規模な工場である。しかし、驚くべきことにロケットや 医療製品の部品などをつくる世界に誇れる技術を持っている工場が大田区には数えきれないほど存在している。このような小規模な工場が成長してきた背景には大田 区が提唱する「住工調和」が挙げられる。大田区の町工 場で働く職人たちは基本的に工場に近い、もしくは一緒 の住まいを持ち、地域コミュニティーと職場でのコミュ ニティーが同一であるために工場間の結びつきが非常に強い。そのような現れとして、地域内で「仲間まわし」 =通称「ちゃりんこネットワーク」という、自社...