B4の末吉です。2022年10月24日に実施しました、新建築2022年8月号の現代建築レビューを投稿致します。
柳井:8月号で気になった作品を紹介してください。
岡田:私は「COURT HOUSE 自由が丘」が気になりました。これはコーポラティブハウスであり、各々の住戸がL字型になっていて中庭に配置された緑によって集合住宅で重要である、プライバシーに配慮している点が良いと思いました。窓が市松模様になっており、これは建築家主導なのか住民主導なのかが気になりました。
石井:私は「PRISM Inn Ogu」が気になりました。都心で家族や団体で宿泊できる場所が少ないという背景もあり、これは最大9人で宿泊可能なロフト付きホテルとなっています。限られたスペースや制約のある中各々が心地よい場所を見つけることをコンセプトとし、構造躯体がむき出しになっていてそれ自体が内部のプライベートを緩やかに分節する間仕切りとして計画されていて、空間全体に陰影が出て面白いなと思いました。
櫻井:私は、「プライムメゾン浅草イースト」が気になりました。これは、49の住戸と13のタイプからなる共同住宅であり、コロナ禍によって変化する暮らし方について考えた事例となっていて興味を持ちました。ファサードデザインからも分かるように周囲の建物の居住者と視線が重ならないように配慮されている点も面白いなと感じました。
居城:私は「PRISM Inn Ogu」が気になりました。構造躯体をあえて見せることで空間を分節していることが面白いなと感じました。半一階建てをつくることで空間を断面的に差別化している点も面白いと感じました。
末吉:私は「プライムメゾン浅草イースト」が気になりました。キッチン・ダイニングの面積が贅沢に取られていてかつ吹き抜けも計画されていて、効率的な配置が定石とされる集合住宅の斬新な計画として興味深いと感じました。平面を見ると各々の居室に間仕切りが殆どなく用途に縛られない使われ方という現代的な計画にも見えて面白いと感じました。
宮川:私も「PRISM Inn Ogu」が気になりました。躯体でスペースを分割すれば効果的な距離感を作れるのではないか、ベッドの間に柱を置くというスタイディ方法が特殊で面白いと感じました。内部空間ありきで全体を計画するという姿勢に魅力を感じました。
髙田:私は「Trois-M」が気になりました。これは3棟からなるメゾネット型共同住宅で、かなり狭い敷地のなかで空間の作り方が非常に魅力的だと感じました。具体的に、隣の住戸の外壁が内部に入り込んでくる様子が狭い土地ならではの工夫となっており面白いと感じました。
金川:私は「タカオネ」が気になりました。ホテルの解体時の廃棄物として出てくるコンクリートを再利用して使い倒すといったことや外部テラスの計画において、アスファルトを故意に隙間を空けて敷き詰めることで高尾山に登った方の靴を通して高尾山の植生が外構に広がるよう計画している点が面白いなと感じました。
柳井:一番意見の多かった「PRISM Inn Ogu」について他の方はどう思いますか?
髙田:家族や団体が長期滞在すると書いていますが、現実問題として収納の問題や住む上での苦労も多いように感じました。
柳井:この案が公共施設の提案として計画されているとより魅力的なものになっていたような気がします。白井屋ホテルのように躯体の間を巡るような計画になっているとより面白いと感じました。
柳井:「西原の階段長屋」についてはどう思いますか?
金川:耐火性能についてですが、地上部分3階建てでありながら、外壁を1時間耐火構造とすることにこの計画の難しさがあったと思います。接合金物を現しにしない接合部の設計によって耐火性能が担保されています。
柳井:かなり狭小な敷地であったので耐火基準は厳しいと思われます。
金川:テラスの作り方にも工夫が見られます。住戸A上部の2Fのテラスは周囲よりも凹ませて場所をつくったり、3Fのテラスは周囲よりも凸にすることで場所をつくったりと細かい工夫が見られます。
総括
今回はコロナ禍によって変化する暮らし方について考えた事例やこれまでの固定概念を覆すようなプランニング、外構計画が多く見られました。
また、集合住宅の事例では実際の生活を見据えた議論やより良い配置や動線計画、環境計画について議論を通して考えることができました。