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F・L・ライトのフローイングスペースを生む 設計手法の分析と CFD 解析による環境評価 -ロビー邸をケーススタディとして-

B4佐坂です。2019年度春学期に取り組んだ研究内容について発表させていただきます。
0.序章
0-1.研究背景 日本にとどまらず世界中でのエネルギー消費が産 業革命以来問題となっている実際、日本でも ZEB や ZEH など推進の政策を国を挙げて初めている。そこ で建築家には環境配慮の建築計画が求められている ことがよくわかる。  ここで巨匠フランク・ロイド・ライト(以下ライ ト)は近代建築にフローイングスペースと呼ばれる という設計手法の持ち主として大きな影響を与えた 人物で主に知られている。一方で、ライトが手がけ た住宅作品にはオーガニックハウスといわれる自然 との調和を図った建築構成になっていて、ライト自 身も自らの作品を有機的建築と呼んでいる。さらに は、産業革命に伴い発達した環境設備機器をもいち 早く導入しているのである。ここからライトには意 匠的な空間構成にとどまらず、環境的建築への関心 があったことがうかがえる。したがって、ライト特 有の流動性のある建築空間と有機性にはある環境的 な意図もった関係性にあるのではないだろうか。

0-1.研究目的

(1)建築設計において環境的側面からも考慮される ことの重要性をはかる。
(2)フローイングスペースを構成するにあたって有 機的建築の先駆者であるライトの建築哲学に基づく 設計手法の認識をする。
(3)プレーリーハウスの到達点であるロビー邸をケ ーススタディとして自然通風の可視化をする。

0-2.研究の位置づけ 建築の環境面を副次的に考えて設計が行われている 現代において建築のハードの面から環境に対峙しう る計画をすること、従って、建築の環境的側面から の設計手法の再認識の必要性を説く。  また、水上優1)2)の研究では書籍や平面図などの資 料から得られる情報から推測されるライトの空間構 成の時系列的研究や生成論的研究に関する記述は見
られるが、通風など自然との関係性に基づいたフロ ーイングスペースの構成に関するライトの施した設 計手法についての記述は見られない。 従って、本研究ではライトが設計において留意した 開口の位置や空間配置などから通風への配慮を数値 流体力学解析(以下 CFD 解析)を用いて客観的なデ ータを用いてその適合性をはかる。

0-3.研究調査対象・方法 Ⅰ調査対象  ・ウィンズロー邸 ・ウィリッツ邸 ・ハートレー邸 ・マーチン邸 ・ロビー邸  Ⅱ調査方法  ・プレーリーハウスにおけるその他事例 3)のライト の設計意図を探る。 ・文献や図面集 4)5)からライトの意図したロビー邸 のプラン構成を調査する。 ・CFD 解析によるプレーリーハウスを代表するロビ ー邸の空間の通風や空気循環を分析する。

1.第 1 章 ライト独自の空間構成について

1-1.フランク・ロイド・ライトの設計意図と思想 ライトは設計するにあたって、どのように有機的建 築(オーガニックハウス)を実現させるかが建築思 想の根本に存在する。 では、その有機的建築をどのような空間であると考 えて計画していたのか。 “有機的建築において、第三次元、つまり奥行は建物に とって本来的なものとして存在する。 ” その奥行が支配する第三次元は “建築における『第三次元』の応訴は、芸術作品が流動 的な全体として形成されたプラスティックなものとされ るとき、より強固なものとなる。 ” 単一的な奥行空間ではなく、不定形な形態で流れる ような空間にすべきとしている。 “部屋、つまり『箱』の組み合わせではなく、動きのある空間のつながりで住まいをつくる。 ” 建築の造形的な連続性を意識し人々が暮らす場所に 空間の面白さを内包させようとしているのが分かる。 以上から流動的で連続性の持る造形的な建築を介し て、人間―建築―自然が一体化したものを目指して いたことが分かる。
1-2 フローイングスペースの定義 ライトは空間を形成するにあたり、物理的なことよりア ンメジャラブルな空間の奥行を意識して設計していたこ とが分かる。 その奥行は人間の精神的な解放感や伸びやかさ、自然の 光の明るさや風通しなどを目的とした構成になっている のではないかと思われる。 従って、本研究でのフローイングスペースとは、「ある手 法によって機能の持った単位空間同士が風、視線、動線 から連続または分節された境界の空間」として定義づけ る。
2.第 2 章 フローイングスペースの分析
2-1 作品分析
 2-1-1 ウィンズロー邸 1894 年にライトが独立して初めて設計したプレーリーハ ウスの初期作。
 2-1-2 ウィリッツ邸 1901 年にライトが設計した軸線のあるプランニングに着 手し始めた頃の作品
 2-1-3 ハートレー邸 1902 年に主要室が 2 階に配置されるようになっていった 頃の作品。
 2-1-4 マーチン邸 1904 年に設計された最大規模の住宅作品。
 2-1-5 ロビー邸 1906 年に設計され、今や世界遺産にも登録ほど公的にも 認められた影響力のある住宅作品

2-2 フローイングスペースのダイアグラム化による抽出 ここで、フローイングスペースを生む設計手法とし て挙げられたものを平面ダイアグラムまたは断面ダ イアグラム化し整理する。

2-3 人的側面から機能の分類とダイアグラム化

 2-3-1 視線の抜け 視覚的に奥行を感じることで人間の流動性を生んでいる と考えられる。
 2-3-2 視線の遮断 空間境界に一部分視線の隔たりを設けることで異なる空 間が複数接続されていることを知覚させ、奥行を形成し ていることを訴えている。
2-3-3 動線の滞留 暖炉の中心性やアルコーブの心地よいスケール感と採光 は人々が集まる空間になっている。

3.第 3 章 環境的側面から機能の分類と評価

3-1 環境的側面から機能の分類とダイアグラム化
 3-1-1 増幅 風が広いところから狭いところに流れると、時に強め合 いが起きる。これは袖壁や垂れ壁がこれを促すことが予 想される。
 3-1-2 減衰 風は進行方向と垂直に障害物にぶつかると、時に弱め合 いが起こる。これは柵や段差がこれを促すことが予想さ れる
 3-1-3 拡散 風は狭いところから広いところへ出ると、時に分散を起 こす。これはアルコーブや折り上げ天井がこれを促すこ とが予測される

3-2 環境的側面からの評価

 3-2-1 解析対象 プレーリーハウスの中でロビー邸をケーススタディとし て解析を行う。
 3-2-2 解析条件
 3-2-3 解析の結果と考察

4.第 4 章 結章

4-1 総括
流動性のある空間を生むにあたって、その裏では人々が滞留してしまいそうな空間もあった。ライトは光や風、視線、動線などあらゆる要素を取り入れ設計していたため、折り上げ天井で空間自体を他空間より拡大し広く感じるようにしステイしてしまうようになっていたり、暖炉という配置的にも強い中心性の持つ空間周辺も同様である。 むしろ、そういった空間と適度に相互干渉しているためにより、人々はライトの住宅作品において“流動性”を感じるのかもしれない。
注記
1) 水上優:プレイリー・ハウスの生成システム フランク・ロイ ド・ライトの思索と制作、日本建築学会大会学術講演梗概集 2015.9
2) 水上優:プレイリー・ハウスの構成システムの区分について フ ランク・ロイド・ライトの住宅作品における生成論的研究 2、日本建 築学会中国支部研究報告集 2009.3
3) ウィンズロー邸、ウィリップ邸、トーマス邸、ハートレー邸を対 象とする。
4) William Allin Stirrer(岸田省吾監訳) 「フランク・ロイド・ライ ト 全作品集」丸善株式会社, 2000 5 ) Frank Lloyd Wright: MONOGRAPH 1887-1901, A.D.A. EDITA

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