-銀座を対象として-
B4の吉村です。春学期に行った研究について掲載させていただきます。
第一章.序章
1-1.研究の背景・目的
快適性、利便性を追い求め、都心部には高層ビルが隙間なく建ち並んでいる。このような人間の利己的な都市の発達は様々な問題を抱えている。密集したビル群は人々から外部空間を奪い、地面のコンクリート化はヒートアイランド現象や自然の減少、洪水などを引き起こしている。
その中でビルの屋上は道路や動線に縛られない独立性の高い新たな都市の敷地とまで感じる。これまで機械室としての機能しか持たなかったが、最近では環境対策としての緑化など屋上の新たな可能性が模索されている。
都市に残された外部空間である屋上の在り方、関係性、分布、設計手法を明らかにすると共に、屋上を媒体として都市を見る。
第二章.研究の方法
2-1.研究の対象
銀座:高級商業地として発展し常に最先端にたち、新たな文化、商品を発信し続ける銀座。
碁盤の目状に計画されており、景観維持のため最大建築高さ制限が昔から設けられている(現在は56ⅿ)
銀座街づくり会議や銀座デザイン協議会で定める銀座ルールによって、個性的なデザインの建物が建ち並ぶだけでなく、統一性が生まれているのである。
そんな銀座は近年、屋上緑化や屋上菜園だけでなく、屋上で養蜂を行う銀座ミツバチプロジェクトや屋上でお米を栽培するなど、屋上の新たな使われ方が模索され続けている。
調査の対象範囲としては、並木通りと中央通りが交わる銀座3丁目交差点を中心として600ⅿ×600ⅿ内とする
2-2.研究の調査法とまとめ方
・屋上の使用法の調査法
1,Google Earthで明らかに屋上が機械室および電波の基地局となっているものを調べる
2,ネットによって公表されているものをピッキング
3,ネットでは判断できないものは現地で調査
・銀座の屋上の使用法をマップピングし分析
・対象の屋上に隣接するビルとの関係や他階との関係性の分析
・屋上の空間構成の分析
第三章.分析
3-1.屋上の用途と分布
黄緑…緑化、緑…菜園、赤…ビーガーデン、黄色…飲食、茶色…展望台、水色…スポーツ、オレンジ…神社、紫…看板、青…養蜂場、黒…機械、白…未調査
3-2.銀座の都市像
ⅰ)銀座の一次産業
銀座の屋上には緑化や庭園、ビーガーデン、養蜂場など農業のネットワークが広がっている。
ⅱ)銀座の神社
銀座の屋上の大きな特徴は6つもの神社である。銀座八丁巡りという巡礼イベントもあるほどである。土地の少ない都内ならではの屋上の利用法である。
3-3.銀座の地階と屋上の関係
屋上利用の分布は看板利用を除き、地階の計画に影響されないことが分かった。看板の設置は視認性の高い大通り沿いに分布しており、地階の都市計画に縛られていると言える。反対に他の用途に関しては都市計画に縛られることなく屋上独自の分布が見られた。
3-4.屋上の形態
屋上といってもその形態は様々であり、主に機械室と看板の有無と周辺のビルによって決定されている。
具体的には、片側型・くの字(屋上部分と機械部分)・中庭型・外周型・看板裏型
3-5.屋上の高さと用途
用途によって高さに偏りがあることが分かった(図は屋上の高さを用途ごとに平均化したもの、₍₎は中央値)
第四章.結章
4-1.結論
この研究で屋上の用途や特性、分布、都市像を明らかにできた。屋上は地階の都市計画や敷地関係とは切り離され独立した敷地性があることがわかった。
4-2.展望
今回は銀座について屋上という視点で研究を行ったが、違う都市だとどのような差異が出てくるのか調査したいと思う。
屋上利用はまだまだ始まったばかりである。銀座には使用できる余地があるにも関わらず使用されていない屋上がある。それらについて今回明らかにしたことをもとに現在あるポテンシャルを最大限活かしたときの都市像を探る。