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Louis I. Kahn のフーバ・シナゴーグにおける設計手法の考察

B4の新谷です。

前期ではルイス・カーンのアンビルドであるフーバ・シナゴーグの研究を行いました。シナゴーグ自体の資料が少ない中、なんとか形にはなったのではないかと思います。

 

本論では、カーンの建築における手法・思想の流れがどのようにシナゴーグに受け継がれているかを述べて行き、最終的に3Dで復元する事で実際の空間を確認しました。以下まとめです。

 

フーバ・シナゴーグはイスラエルにあるユダヤ教の礼拝所であり、戦争によって破壊された後、カーンの元に再建の依頼がきました。古代建築に並々ならぬ影響を受けていたカーンにとって、この仕事は興味深いものだったと思われます。

カーンはスタディを何度か繰り返していましたが、シナゴーグの基本的な形態は正方形の聖所、そしてそれを取り巻く16本のパイロンによって形成されています。

カーンはシナゴーグの設計を行う際、ソロモン寺院の研究を行っており、その影響はシナゴーグの平面図にも影響を与えています。ユダヤ教初期の神聖な雰囲気は、確実にカーンのインスピレーション源となっていると思われます。

 

また、シナゴーグの光の設計においては、カーンの建築の特徴である構造と光の関係性が見受けられます。構造を空間単位を構成するものとみなし、その空間単位を支持する要素がまた開口を決定しています。中空の柱を中心として表現されている事がわかります。これにより空間は簡潔に表現され、特徴的な光が室内に表れます。

 

フーバ・シナゴーグは、中央の聖所がコンクリート、周囲のパイロンは煉瓦によって作られており、この二つはフィリップ・エクセター図書館やフォートウェイン劇場など、カーンの建築に繰り返し用いられてきた材料です。現代の建築を古代の遺跡で囲うというコンセプトを材料にも反映させています。

カーンは古い材料を好んでいましたが、彼が問題としていたのは、それらによって新しい意味や方法を与えていてくれるかどうかでした。カーンは材料に対して真摯に取り組み、自身の古典的な姿勢と新しい技術を合理的に調和させています。

 

以上の調査により、光の性質、古代建築の性質、構造など、カーンの設計要素が凝縮された建築である事がよくわかりました。カーンが建築に求めた完全性・全体性・シンメトリア・輝きが達成された建築ではないかと思います。

この研究を通して、アンビルドの新たな価値が垣間見えました。まだまだ可能性は残されていると思うので、また機会があれば新たな研究方法とともに模索したいと思います。

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