B4 矢田です。前期論文の成果物をアップロードします。
1.序論
1-1研究の背景
近年コンピューターの技術が格段に上がり今まででは実現することが困難であった3次元空間が徐々に世界でつくられ始めている。大きさや用途、規模などによりさまざまではあるがパヴィリオンをはじめとし建築の分野にまでよく見られる。その中でも特に『木材』をよく用いている事例が多く、それは加工しやすく構造的にもある程度の強度を持っていることが一因としてみることが出来る。
木材はコンクリートなどの流動的な物質とは異なり、1)小部材2)それらを集積させ3)組み立てる、という点で他の材料とは異な
る使われ方である。
1-2既往研究について
木材を用いて作られる3D空間やそのデザインについて
の既往研究は少なく、確認できるものでも構造や構法などの
技術的な側面についての研究が多数を占めている。
1-3研究の目的
今研究では意匠的視点に立ちこれらの作品を整理し統計を取り分析を加えるとこで、木造空間の分野の研究の幅を広げ、今まさにつくられている空間の新たな設計手法とそれが持つ意味を明らかにすることを目的としこれからの木造建築の可能性についてこうさつする
2.研究方法
2-1調査対象
調査対象範囲は木材を用いて作られているパヴィリオンに限定し、その中でも文献やインターネットに載っている物を対象とする。
2-2研究方法
研究方法としては現在確認できるパヴィリオンの事例を集め、それぞれにカテゴリーに分け、それらの統計と分析結果からわかることを考察する。
3.分類分け
3-1分類方法について
分類方法はその3D空間を理解しとらえるために行い、分け方としては「構造形式」「空間組成」「接合部」「使用材料」の四種類に分ける方法を取る。またそれらを表にするときに見やすく理解しやすいように頭からそれぞれABC…と分ける。
3-2構造形式の分類
構造形式は「アーチ」「ドーム」「シェル」「その他」に分ける。
3-3空間組成の分類
空間構成はその造形が面を分割されているか(「分割」)、線のような単位の「集合」であるか。
3-4接合部の分類
接合部の分類は「積む」「エッジで結合」「噛ませる」「はさむ」「相互依存」「ワッフル」「XYZ軸」。
3-5使用材料の分類
使用材料は主に「合板」「LVL」「合板」「Plywood」「その他」に分ける。
4.分析と考察
4-1分析方法について
(3)でABCと分類分けしたものを表にすると少なからず共通のものが現れたりする。たとえば空間は全く別のものであっても 「空間組成」「接合部」「使用材料」が同じものなど。できるだけ最初は重なることがないように分類分けし、そこから徐々に制限 を外して共通項が増えるようにする。そうすることで生まれる発見が増えることは明らかである。
4-2分析からわかること
形をつくるということは個人により異なるものでありデザインの原点をどこに求めるかによって可能性は大きく異なる。
集積のさせ方や使う材料によって空間の形は似ていても、質、印象は大きく異なることがあり、形をつくるうえでどの集積のさせ
方を採用するかによってこれからの木造集合体の可能性は大いに見つけることが出来る。
しかしその中でも用いられる材料やその集合のさせ方に
はある種の適切な組み合わせというものが確認できるため狭い範囲で考えてしまえば可能性はあまり多くはない。
以上の点により分析の結果としては、木造部材を用いて作られる新しい空間は飛躍的に発展することは難しいように思われるが、形
態や見た目だけのレベルではそれは作者自身の感性によるものが大きい。
以上になります。