2012年8月30日から9月6日まで行われた北京ワークショップについての報告です.
ワークショップ(WS)は中国の北京大学、王(ワン)研究室の学生7名と本研究室の学生11名の計18名で行いました.
WSの課題としては、北京の南側に位置する大柵欄(Dashilar)というエリアを対象とし、その中の①「四合院」という伝統的な形式をもった住居のリノベーション、②現存する工場のリノベーションという2つのテーマを扱いました.歴史的・都市的な文脈と未来への動向を咀嚼し、2つのテーマに対して建築的な提案を実働4日間で行うというものでした.
【 大柵欄 】
(↑)大柵欄、表は商業通りとして舗装もされ、観光地としての様相を見せていますが、通りを入った裏側は四合院形式の住居が隙間なく敷き詰められその間を細い路地(胡同)が縫うように配されています.伝統的な街並みと、再開発による街並みという2つが混在したエリアというイメージです.
【四合院】
(↑)大柵欄で観察される四合院は一般的なものに対して特異な様相を呈しています.その大きさは比較的小さく、囲まれた庭ではそれを埋めるように小さな部屋が付加されていました.これは違法に増築された部分で、この地域に多く集まるようになり通りで生活するようになった移民にたいしてその受け皿として違法に増築していったという背景からこのような特異な風景が残っているそうです.
WSでこの伝統的な四合院形式を扱ったグループは、将来に対しどのような可能性を持ちうるのか、ということを考えることが大きな目的となりました.
【 工場 】
(↑)工場はもともと発電所として利用されていたもので、大部分が現存するものとして残されています.内部は躯体を残した展示空間として主に利用されていました.また、付随する建物の内部をシアターとして利用するなど、公共的な利用を意図して再利用が図られていましたが、十分に利用価値が見出されていない印象をうける工場でした.
現存の利用だけではなく、建築的な佇まいや利用法という側面から手術をすることで潜在的な利用価値を見出すことができるのではないか.WSではその点が大きな目的でした.
【 WS 1日目 】
一日目は課題の対象敷地を調査.大柵欄というエリアと四合院、工場を見学し、各自取り組みたいテーマから6グループを形成しました.
【 WS 2日目・3日目 】
2日目からグループ作業に入り、各グループが「調査」、「着眼点」、「提案」という3点にフォーカスして議論し、3日目に中間発表でこれらを発表.案の可能性と方向性を定めました.作業場所は北京大学の製図室をお借りしました.門から製図室までは少々長く、夜は電灯も少ないので薄暗く少々怖い雰囲気でした…汗
その後、ウェルカムパーティーと中間発表の打ち上げを兼ねてちょっとしたパーティーを企画していただきました.
【 WS 4日目・5日目 】
4日目、議論をする時間も残り少なく、案詰めの段階.ほとんどの人がマウスをカチカチし、時にデータが飛び、喚き、議論が大声で行われたり… 5日目は最終講評となっており、セカセカギスギスしながらスパート.(ご飯は仲良く食べました)
最終講評会.WSが建築的提案という志向であったので、図面などのプレゼンが必要になった上に短期間という条件でした.しかし、ほとんどの班が空間や素材などを含めた議論をできるほどに図面やプレゼンをまとめてました.スピードの中で発散と収束、その難しさを乗り越えられた、とても充実したトレーニングになっていたのではないかと思います.
この成果は中国の建築雑誌に掲載される予定だそうです、やってよかった!…ですね
以下提案
四合院① Liu Yu / Zhu xi / 石川北斗
四合院② Yu Wen Jing / 飯田周悟 / 井元優太郎
四合院③ Sun Ying / 新谷真由/ 櫻井貴/
四合院④ Guo Jin / 山口陽平/ 林颯生
工場① Jia Hui Si / Wang Hui / 河原瑞紀 / 菊池孝平
工場② Yu Hang / 成澤佳佑 / 丸山璃莉
最後に打ち上げを.
中国スケールのピザ
【 外伝 一日FreeDay 】
最終日は北京市内を北京大学の子と一緒に観光して回りました.
「県外SOHO / 山本理顕」
「 CCTV / OMA 」
「 三里屯 / 隈研吾,etc.」
「 北京オリンピック水泳競技場 / PTW 」
「 鳥の巣 / Herzog & De Meuron 」
「 頤和園 」
WSということで短期間でキツイ日が続きましたが、B4からM2まで刺激的な日々を過ごせました.
王先生はじめ、北京大学の学生のみなさん本当にありがとうございました.