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新宿区大久保地域における多文化混在の分布状況とその秩序に関する研究

B4山口陽平です。

前期は新宿区大久保地域における多文化混在の分布状況とその秩序に関する研究を行いました。

他文化都市と呼ばれカオスと形容される大久保の深層に潜む秩序を記述する試みです。

発表での指摘を受けましてタイトルの変更とまとめに分布図を追加しました。

以下概要です。

背景

新宿区は外国人登録者数が最も多い地域であり、なかでも百人町、新大久保地域は外国人居住者、特に韓国、中国、フィリピン、タイなどアジア系の居住者が多いことが知られ、マルチエスニックタウンとも呼ばれている。

このようにいくつかの異なる文化を持つ人種が共生する都市を多文化都市と定義する。

単一の文化がある地域で発展するケースは、横浜・長崎やサンフランシスコの中華街、大阪市生野区やロサンゼルスのコリアタウンなど、世界各地に存在するが、大久保地域のように同一地域内に異なる文化を背景とする店舗が混在するケースはきわめて稀である。

実際に大久保地域を歩いてみると、異なる国籍を有する店舗が隣立していたり、一つのビルに異なる国籍を有するテナントが上下階、あるいは同一階に二つ以上入居していたりと、ほかの地域ではみられない空間利用の例が随所で見られる。

このような無秩序な店舗配置の連続ににより街の表情が生まれ、それがアジアの文化圏特有の雑多な雰囲気と相まってある種の魅力にまで昇華されている。

だが、大久保地域のみならずこのような独特の個性を発する日本の都市は“混沌”と形容され、それ以上に一歩踏み込んだ理解がなされないのが現状である。

目的

大久保地域においても一見、店舗配置に明確な秩序は存在しないように思われる。しかし、店舗の配置が近隣関係を考慮せずになされるとは考えにくく、例え局所的であれ、既存店舗の影響と新設店舗の発生というプロセスの連続でこの街が形成されているのであれば、その混沌の深層には秩序が潜んでいるようにも思われる。

そこで本研究では、大久保地域における店舗の配置を立体的に記述し、国籍別、業種別に分析することで、混沌と形容されがちな本地域に秩序を見出すことを目的とする。

調査対象

調査対象地は、外国籍を背景とした商業施設の立地が目立つJR山手線新大久保駅を中心とし、北を大久保通り南を職安通り、東を明治通り西を中央線をそれぞれ境界とする地域とする。

住居表示としては、新宿区大久保1丁目、2丁目、百人町1丁目、2丁目である。

調査方法

大久保地域の多国籍混在の状況に秩序を見出す方法として、本論では地図による観察を行う。具体的には以下の手順で行う。

①対象地域でフィールドワークを行  い、各階ごとの用途を調査、記録し データシートを作成する。

②その結果を国籍ごと、業種ごとにそ れぞれ色分けし、地図上に可視化す る。

③作成した地図を観察し、そこから法 則性や傾向を見出す。

国籍別の立地傾向

各階の国籍別の分布図を作成してみると、本調査地域内でも店舗の集積の様子が異なり、国ごとに棲み分けの傾向が異なることがわかる。特にGLに近い階はその傾向が顕著に現れる。

まず、大きく分けてJR山手線より西側はマルチエスニックタウンの名にふさわしく中国、韓国、タイをはじめ

とし、様々な国籍を有する店舗が分散しているのがわかる。B1は韓国系店舗が3、中国が4、タイが1店舗。1Fは韓国が18、中国が16、タイが6、2Fは韓国が10、中国が11、タイが3、3Fは韓国が4、中国が8、タイが3店舗と、1Fの接道階以外は韓国系店舗より中国系店舗の方が数の上で上回る。

対象的にJR山手線より東側は韓国街化していることが一目で分かる。

要因としては大久保地域の骨格形成期である1945年の終戦直後に山手・総武中央線のガード下が日雇い労働者たちなどによって不法占拠され、バラック街・ドヤ街を形成していたことや、1950年に韓国の企業であるロッテの新宿工場が山手線東側に操業し、雇用を期待した韓国系移民が流入したことなどが考える。

ここでは、本地域における歴史的要因や地理的要因に起因する棲み分けの傾向が確認できた。

また、国籍ごとの店舗数をグラフに起こし、立体的に見てみると、韓国や中国系の店舗は商業的ポテンシャルの最も高い1階から階をあがるに従って順に対数関数的に減少していくのに対し、マイノリティな国籍を有する店舗は、そのような減少関数で捉えることはできないことに気づく。

街を歩いていると一見、韓国系の店舗が目立つようにおもえるが多文化都市は垂直方向にも展開されていたことがわかる。

業種別の立地傾向

大久保地域は終戦後、住宅営団により百人町越冬住宅が建設され、宅地化された土地で、それ以降、不法占拠やバラック街化を経て骨格が形成された。

1980年になると韓国で海外旅行が自由化されたことをうけ、ニューカマーと呼ばれる韓国住人が増加した。 さらに1990年代に入ると国際化、グローバル化に伴い韓国、中国、フィリピン、タイなどアジアの店舗、留学生向けのアパート日本学校などが増加した。この頃から生活者の街から外国人の来街者のまちへと変貌を遂げた。 現在のように日本人観光客が増加したのは、2000年になってから韓流ブームの影響を受けてからである。

業種別の分布図を作成し、まず飲食店と雑貨屋の多さが目につく。居住者向けの店舗である日用品やサービス店のの数と比較して、外来者向けの店舗が圧倒的に多いことがわかる。

この地域が来街者のまちとして成熟していることが確認できる。

これら来街者向けの店舗は、居住者向けの店舗がまばらに分散しているのに対し、集積する傾向があることが見て取れる。理由としては、大通りや駅周辺などの立地条件が経営上重要であることはいうまでもないが、これらの店舗は看板など広告を全面に押し出すため、集積による賑わいの創出などの相乗効果が期待できるためと考えられる。こうした集積傾向が大久保の独特の様相に及ぼす影響はすくなくない。

国籍別に見ると、異なる国籍を有する店舗の隣接や同居は異様に思えるが、こうした商業的合理性から見ると様々な国籍の人々が共生する大久保でこのような状況が起こるのは当然のことのように思われる。

こうして見ると、韓国と中国を除くマイノリティな国籍の店舗が単独で立地することは少なく、他の店舗と隣接、または同居するケースが多いことに気づく。しかし、“多文化都市・大久保”のなかではこれらマイノリティな国籍の店舗は決して、競争力の低い、相乗効果によって成り立っている“弱い”店舗ではなく、むしろオルタナティブとしての強い魅力を放っている。

一方で、日用品やサービス店舗は人通りの多い大通り沿いではなく路地沿いに立地することが多い。このことから大通りの外来者を顧客対象としなくても成り立つだけの周辺居住者が存在していることがわかる。

特定の国籍を有する日用品やサービス店は同一地域に多数の需要はないため、異なる国籍の日用品店が大久保地域には分散、点在することとなる。

また、多くの外来者向けの店舗数は大通りから遠ざかるにつれ、また接道階から離れるにつれ減少していくのに対し、リラクゼーション系の店舗は増加する。このような明確な分布を示すのは利用客のプライバシーに対する配慮とテナント料の観点からと考えられるが、この地域の用途地域による用途制限や斜線制限により高度利用できる地域は限られているためだと考えられる。出店できるエリアが限られるため、多数の国籍の店舗が自然と集合することとなる。この業種の店舗に韓国国籍のものは少なく、タイや中国籍のものが多いため、この業種が大久保地域の国籍別の分布図に与える影響は大きく、これらの国が上層階にも少なくない一番の要因といえる。

またJR山手線より東の地域に特徴的なものとして韓国の雑貨屋があげられる。これらの店舗で販売されている主な商品は“韓流アイドル”や“K-POP”といったいわゆる“韓流ブーム”のグッズである。

この業種は接道階に入居する必要性が高いため、通りには韓国の雑貨屋が軒を連ねることとなる。

また、この“韓流ブーム”が日本で流行したのが2000年代初めであるから、この地域は比較的新しく形成された、あるいはテナントの交換の頻度が高い、まだ発展著しい地域であることが伺える。

また、JR山手線西側の商業地域にたくさんの国の集中を招いたのとは反対に、韓流ブーム以降にできた店舗は、住居地域へ侵入し韓国店舗の集積をまねいたのではないだろうか。

総括

大久保地域を国籍別に見ると、JR山手線より東は流行を受け入れた韓国街、西側はアジア圏の国籍を持つ店舗が無秩序に並ぶとらえどころのない雑多な街に思える。

しかし、業種別にみると店舗配置はそれぞれの業種の商業的合理性や、道幅などの都市構造上の条件によって集中・分散が決定、棲み分けがなされていることが顕著にわかる。

その外国人居住者が多いことから多文化都市とよばれ、その国籍の配置分布を追ってしまいがちだが、国籍ごとに主要な業種もことなるため、店舗の国籍は業種に追順する2次的なものであり、業種ごとの集中・分散の状態が幾層にも重なってその混沌とした状況が形成されているといえるのではないだろうか。

ここでは4-2で行った分析をまとめる。

国ごとで見ると「同国集中」「異国集中」「異国分散」という3つの型がみられ、その型を生み出す条件が8つみつかった。これまでの記述では読み取りにくいパターン1,2,4に関して国籍別と業種別の分布図を重ね合わせた地図を作製する。これらの地図は3章で作成した業種別店舗分布図の対象とする業種のみをの様に強調表示しその上に同じ階の国籍別店舗分布図を重ねたものである。

この地図では飲食店に焦点を当てた。強調表示により飲食店の集積している場所がわかるが、そこに集まる店舗は単体のマジョリティ国籍のもの(パターン1)といくつかのマイノリティ国籍のもの(パターン2)のものがあることが分かる。

この地図では居住者、(日用品・サービス業)に焦点をあてる。対象地域内にまんべんなく分散しているのが見て取れる。そしてその国も多種にわたる。

以上です。

初めての論文で至らぬ点ばかりですが勉強になりました。

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