You are here: Home // NEWS // テンセグリティ構造を用いたペットボトルアート

テンセグリティ構造を用いたペットボトルアート

1研究の背景

現在、日本各地で行き場を失ったプラスチックごみが溢れ、山積みになっている。2018年1月、中国が突然プラスチックごみの輸入を禁止したためである。それまで日本は輸出するペットボトルごみの7割を中国に送っていた。急激な経済発展における資源不足の解消法として海外から資源ごみを輸入し、リサイクルする方法を選択してきた。中国はこれまで先進国が消費した膨大な量のプラスチックごみを、石油原料よりはるかに安い貴重な資源として活用していた。しかし、世界各地から分別されずに、または飲み残しがある状態で輸入される廃プラスチックをリサイクルするためには手作業で分別する必要があった。その際に発生する薬品や汚泥が環境に流出し環境汚染が深刻化したことを受けて資源ごみの輸入禁止へとつながる。飲み残し、ごみの分別といったものがその後のリサイクルの過程で環境への影響に反映されてくるのだ。さらに現在大きな問題になっていることとして海のプラスチックごみによる汚染である。日本での急激なペットボトルの消費に合わせて海や川のごみもペットボトルだけ伸び続けている。リサイクル数以上にペットボトルの消費が伸び、回収しきれていないごみが環境中に流出している。海、川へのペットボトルごみの氾濫、新たなペットボトルごみの輸出先である東南アジアでの環境汚染再発の防止のためには現状の廃プラスチックの行方や環境問題の現状を認知すること、自国でのリサイクル過程で障害となっている分別されずほかのごみと混在しているペットボトルの存在を共有することが必要である。

2研究目的

1)  ペットボトルごみに関する環境問題の現状を表現する。

2)  ペットボトルごみの分別、飲み残し、ポイ捨てへの警告を示す。

3研究の位置付け

我々が普段消費しているペットボトルが引き起こす問題をアートとして感覚的に伝え、今後のごみの分別や環境について考えるきっかけを生みだす。ペットボトルを使ったアートや建築としていくつかの事例を参照しながら、ペットボトルの特性に合った構築法を採用していく。坂茂さんのペットボトルストラクチャーはアーチ構造を採用しており外に突き出す形でペットボトルを付属させ、アーチに引張の力を加え補強している。既往研究としてロッド鋼でのタワー型のテンセグリティ構造があり人力で張力導入に関する研究がなされている。基本のユニットをつくり順々に組み合わせ構成している。本提案ではあふれるペットボトルの危機感を表現するため、リニアに配列し構築するような方法ではなくテンセグリティの複雑な形態を伴う構築方法を採用する。ペットボトルを使ったテンセグリティ構造の事例は存在せず、特性を踏まえながら制作していく。

4研究の調査対象・方法

計画対象地を明治大学中央館前の芝生に設定しペットボトルアートを提案する。一部モックアップ制作により構造の確認をする。テンセグリティの張力の導入方法として人力による方法を採る。ひとまとまりのユニットをつくり派生させていく考えで構築する。

5テンセグリティ構造

xyzそれぞれの方向に圧縮材となるペットボトルを配置し引張合うようにし成立させる。圧縮材として用いる際にペットボトル単体では長さの関係から他のペットボトルに圧縮をかける事ができずテンセグリティ構造が成立しないことがわかった。ペットボトルを二本底でつなぎ合わせることで長さを確保した。二本のペットボトルをつなぎ合わせる方法として、アート完成後に再び解体、再構築可能にするためラップで巻く方法を採った。縦軸方向のみに力がかかる事よりペットボトルがズレない程度の接合で成立する。また、ラップによる接合は各々のペットボトルの規格の違いを許容できる方法だった。張力の導入方法として最初の段階から張力がかかった状態で組み立てることは不可能であることから、仮組み立て後に張力を順々に加えることができる仕組みが必要である。張力材としては麻紐を用いる。これは組み立てにも参加しやすいアートとなるよう結び方の工夫で張力導入をする際に結び目が滑りにくく丈夫な特徴を持つためである。張力材はペットボトルの口から口へと力がそれぞれの縦軸方向にかかるように結ぶ。テンションを順々にかけ、起こしていく。結び方は後から張力を導入できるよう一端を口に引っ掛け固定するもやい結び、もう一端を紐の長さを自由に調節できる自在結びとした。

6展開方法

一つのテンセグリティ構造によって成り立っているユニットを上に積み上げていく考えで展開していく。上に積むユニットの下面の三点を下のユニットの三点につなぎ構成する。その後、上下のペットボトル同士をつなぎタワーの剛性を強めると同時にバランスを保つ。

7総括と展望

ペットボトルを構造体として様々な構成方法を模索した。構築方法や使用するペットボトルの選別条件によって可能になる建築やインスタレーションの形態が変わってくる。テンセグリティ構造を用いることで微小の規格の違いを許容することが可能になり材料の収集を高効率化することができた。テンセグリティの組み立て自体を一人でも可能な方法によってモックアップ制作することができた。ペットボトルの軽量さが自重による構造の破綻を防いでいる。

Copyright © 2019 OKOLAB.net. All rights reserved.