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コンセプトシェアハウスの実態と交流の仕組みに関する研究—空間構成・立地・運営に着目して—

コンセプトシェアハウスの実態と交流の仕組みに関する研究—空間構成・立地・運営に着目して—

修士2年の大滝です。修士論文の概要を掲載します。   ■研究の背景 2000年頃から増加を続けるシェアハウス(以下、SH)(図1)の多様化が進んでいる。経済性を重んじるSHの対立項として、性質の似た居住者を集め、コミュニティを活発にする「コンセプトシェアハウス」(以下、CSH)が登場した。この施設は、趣味、嗜好、性別、国籍などの共通点をもとに入居者を募り、カテゴリーの似た人間同士でシェア生活を営むものである。 コンセプトには「クリエイターが集う」ものや、「外国人と同居してコミュニケーションを図る」ものなど、多様なもの見られる。また、コンセプトが変われば、建築にも機能の付加や、空間の接続の変化などの違いが生じるように思われるが、交流を生むための空間的な工夫が見られないものが散見される。 このような現状を踏まえ、CSHの事例の交流を生むための空間的な工夫をつぶさに分析することで日本の...

Roof Top City ―メガストラクチャーがつくる空中都市―

Roof Top City ―メガストラクチャーがつくる空中都市―

1.背景 ペンシルビルが多く並ぶ場所は、土地が細分化されているため地権者がそれぞれに存在し、大規模な開発が困難になっている。そのため、そのような地域では陣取りをしていくかのように中規模な開発が行われ、残ったペンシルビルは開発から取り残されてしまう。しかし、残ったペンシルビルを取り壊して立て直すことに私は寂しさを感じる。ペンシルビルに入る店舗には昔ながらのものが多く、そこには常連客などが集う。また、土地が細分化されていて路地が生まれるため、ペンシルビルのある場所には独特の空間やコミュニティーが形成され、その場所の魅力となっているからである。 2.提案 現段階では先述した地権者の問題により、既存建物を一気に開発させるのは難しいと考えられる。そこで仮設的な開発をして利益を生み出すことを提案する。地権者から上空権を買い取り、既存建物とは干渉しない形で上空部に建築物をつくり、上空部での利益の一部は...

Shunojutaku シェルフユニットで編成する集合住宅

Shunojutaku シェルフユニットで編成する集合住宅

              01.一人暮らしにとっての「イエ」とは何か 一人暮らしの人にとって「イエ」とな何なのか。家族と団欒する場ではない。現況、他者と積極的に交流する場になっているとも言い難い。学生であったら授業やゼミ活動、バイトで自宅に帰って来るのは夜遅く、また、社会人であれば仕事の出張などで家に滞在している時間が多いとは言えない。では、ホテルではなくそれぞれがお金を払って部屋を持つ理由はどこにあるのか。私は自分の所有物を誰からも侵されることなく、安心して保持できることが最も重要なことだと考え収納=シェルフを中心に集合住宅を設計することを考えた。                 02.敷地 敷地は豊島区の池袋駅から徒歩で10分ほどの...

繊木を編む 間伐材を用いた林業×ツーリズムによる新たな産業の構築

繊木を編む 間伐材を用いた林業×ツーリズムによる新たな産業の構築

  01 背景-私たちと木材の関係性 現代において、木材は様々な形のプロダクトとして私たちの身の回りに幅広く展開されている。しかしそれらは、その形態にまで加工されてきた背景を持ちながらもその背景はなかったかのようにディスプレイされる。私たちにとって木材の加工プロセスはブラックボックスであり、私たちは長い加工プロセスの末端を享受しているだけに過ぎない。 ブラックボックス化された加工プロセスに対し、新たにそのプロセスの中に一般の人々の活動の場を埋め込みながら林業の現場を可視化させていくことで、人々と林業の新たな関係性を描き出す。   02 敷地-静岡県川根本町 この町は昔から大井川を中心とした林業によって栄えていたが、現在人口減少や高齢化による町の衰退とともに、林業も衰退の一途をたどっている。川根本町では山から切り出した木材を直接川に流し、川の流れを利用して木を運搬する「...

「団塊の世代」という言葉があるように、建物にも同じ現象が起きている。都市近郊のニュータウンなどにある団地もそうだが、1970年代~90年代に地方や山間部にリゾート建設ラッシュと同時に多数のリゾートマンションやホテルが建設された。現在は老朽化や廃墟化が問題となっているが、都市部のように再び若い世代を住まわせて活性化することはコンテクストにそぐわない。過疎地に建つ積層された箱に水耕栽培の植物工場を挿入し未来の農業の形としてコンバージョンを提案する。敷地は、かつてリゾートの象徴的存在であった苗場で、土地の自然のポテンシャルをフルに活用しながら観光農場・道の駅・住居併設し、サスティナブルな改修を行う。既存の長細いボリュームに対して縦方向の構造壁はなるべく残し、抜いた箇所を補う形で構造的な補強を施した。結果的に1つの建物、または群の中で第1次~第3次産業が共存する自給自足的な構図を描きたいと考えて...

満ち引きする空間-干潟に建つサイトスペシフィックな博物館-

満ち引きする空間-干潟に建つサイトスペシフィックな博物館-

■背景 戦後の日本国内では電力供給や利水を目的として多数のダムが建設された。日本各地に建設されたダムは建設前後の時期はその機能ばかりに注目が集まったが、年月が経つにつれて建設の弊害が明らかになった。山や河川を切り開いてつくったダムは周囲の自然環境に多大な影響を与えただけではなく、ダムによる二次的な水害が発生した地域もある。さらに、過疎化が進む地方都市近辺におけるダムは電力供給の機能がもはや必要ではなくなる場合や、ダムがもたらす環境変化が地域の一次産業に大きな影響を与え、経済発展の妨げになっている場合が見受けられる。人口減少や産業の変化により、小規模のダムが持つデメリットは無視できないものとなっている。 2018年に熊本県球磨川上流に位置する荒瀬ダムの撤去が完了し、日本で初のコンクリートダム撤去の事例として注目が集まっている。この事例を機にダムの撤去への関心が国内で高まっている。 ■設計趣旨...

B4・笹原淳平君がJIA神奈川学生卒業設計コンクール「金賞」を受賞!

B4・笹原淳平君がJIA神奈川学生卒業設計コンクール「金賞」を受賞!
2月24日(日),「神奈川卒業設計コンクール」(会場:馬車道駅コンコース)の公開審査が開催され,学部4年の笹原淳平さんが,見事「金賞」を受賞しました。同コンクールは,神奈川県内各大学の卒業設計優秀案を一同に展示し,公開審査を行い全国大会に推薦する作品を選出し表彰するものです。   <JIA神奈川学生卒業設計コンクール> 会期:2月21日~2月24日 会場:馬車道駅コンコース 審査委員長:木下康子(設計組織ADH) 審査委員 :遠藤克彦(株式会社遠藤克彦建築研究所) :仲 俊治(株式会社仲建築設計スタジオ) :原田麻魚(MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO)  

眼差しの皇居

眼差しの皇居

  01 空虚な中心の存在 東京の中心に皇居は位置している。天皇の住まいであると 同時に歴史の中で強い意味性を持った場所である。しかし ながら、禁域として立ち入ることは許されず、森、石垣、濠といった周縁のみが、我々の皇居の認識である。かつて、R・バ ルトが「表徴の帝国」で指摘したように、ただ森で囲われ たなんでもない場所、空虚な中心として存在する。   02 切断の思考 禁域であるがために中心と周縁は切断されている。皇居は近代国家成立と同時に、江戶城という形式を保ったまま、天皇という内容が与えられた。そこには、恣意的な結びつ きが存在している。近代とは、あらゆる概念の形式と内容 の「切断」と「恣意的」な結びつきによって成り立ってい る。そして皇居、天皇もまた近代的な枠組みの中に投じられた象徴として、切断と恣意的な結びつきが行われている。この切断の思考の柱によって皇居を捉えるこ...

高密度都市マカオにおける勾配をもつ路地の空間特性―路地の領域性・形態・過密性―

高密度都市マカオにおける勾配をもつ路地の空間特性―路地の領域性・形態・過密性―

修士2年の五味です。修士論文の概要を掲載します。 0.1研究の背景 ・マカオは近年、観光とカジノの街として急成長を遂げる都市として知られている。ポルトガル風の街並みと、華人の流入による中華風の文化が混在する都市であり、起伏に富み複雑な街 路形態が特徴である。近代以降、人口密度が世界一となり、世界有数の高密度都市となった。 ・マカオの最大の特徴は高密度な都市が起伏に富んだ地形の上に形成されていることであるにもかかわらず、マカオの都市空間と地形の関係は十分に語られてこなかった。 ・旧市街にはいたる所に複雑な形態を持つ路地が存在し、土地の起伏と相まって濃密な立体的都市が展開している。廟などの宗教施設が点在し、コミュニティーの場となっている。 →本研究はこうした勾配をもつ路地を対象とし、その空間特性を解明することを主題とする。 0.2研究の位置づけ マカオに関する既往研究には、是永らの①都市形成...

現代日本のアトリエ系設計組織を対象とした建築設計プロセスの記述・分析

現代日本のアトリエ系設計組織を対象とした建築設計プロセスの記述・分析

修士2年の小田です。 2018年度修士論文の概要を掲載します。 「現代日本のアトリエ系設計組織を対象とした建築設計プロセスの記述・分析」 序 0-1.研究の背景 建築設計のプロセスは他者がうかがい知ることのできないものであり、我々が目にできるものは最終的なアウトプットとしての建築物が全てである。設計者によってその設計プロセスが千差万別であることは当然のこととして了解されているが、客観的に把握したり、その差異を誰もが使える方法論として共有することは大変難しい。しかし、これまで属人的な秘技のようなものとして扱われてきた建築の設計プロセスを理論化しようとする試みがなかったわけではない。1960年代、高度経済成長を背景に生活に対する価値観の多様化,建築の機能の複雑化,大規模化,設計対象の拡大が促進し、一方では工期の短縮,生産の合理化が求められるようになったことで、設計プロセスを客観的に体系化するこ...

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