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ミヤシタパークの店舗とパブリックスペースにおける行動調査

B4の藤井です。春学期に行った研究について掲載させていただきます。

1.研究背景・目的

市街地中心部等では、ヒートアイランド現象の緩和、地震災害時の避難場所の確保、人々の憩いの場の確保等の観点から、都市公園の整備を緊急的に必要としているが、一方でこうした地域では、公園以外の土地利用を図ることも必要である。そこで 、2004 年の都市公園法改正に基づき「立体都市公園制度」が創設された。本研究では、公園を空中に持ち上げ、商業施設やホテルと一体利用を図る建物として注目されているミヤシタパークに着目する。ミヤシタパークは、渋谷区と三井不動産株式会社がパートナーとなり推進するPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)事業であり、「立体都市公園制度」を渋谷区内で初めて活用した事業である。さらに、30年の事業用定期借地権の区有地で、「税金を使わず、できれば税収を得る」ことも目的の一つとされていることから、空間構成に工夫がなされているのではないかと考える。

これらを踏まえ、以下のことを本研究の目的とする。

・何を目的とし、ミヤシタパークに訪れているのか

・お金が発生しない公園を目的として訪れた人をお金が発生する店舗にどう誘導しているのか

・ミヤシタパーク内をどのように移動し、何をするのか

これらを調査し、商業施設においてパブリックスペースを上手く活用する方法を研究する。

2.研究の位置付け

 原田昌幸らによる研究でオフィス街に立地する街区公園における利用者行動や川嶋汐里らによる研究で滞在型複合図書館が利用行動に与える効果に関する研究などはされているが、公園と商業施設とホテルが一体化した複合施設の行動調査は研究されていない。

3.研究対象・方法

 ミヤシタパークを研究の対象とする。渋谷駅と原宿(明治神宮前)駅の間にあり、明治通りに面している。公園・店舗・ホテルがある複合施設である。「立体都市公園制度」を渋谷区で初めて活用し、渋谷区と三井不動産株式会社がパートナーとなり推進するPPP事業である。

ミヤシタパークの入り口を渋谷方面にある階段(エスカレーター)、原宿方面にある階段(エスカレーター)、エレベーターとする。対象者は、天気(晴れ・雨)、曜日(平日・土日)、時間帯(17時前・17時以降)、性別(男性・女性・男女)、年代(10代・20代・30代)に当てはまる方とする。ミヤシタパークに訪れた人がどこに行き、何をしているかを調査する。平面図にどう移動したかを記入し、公園・階段・通路などが店舗にどう影響を与えているかを分析する。10代・20代・30代を選定した理由はミヤシタパークのメインターゲットが20代・30代であることと、ミヤシタパークを訪れた際、20代・30代に次いで10代の利用が多いように感じたことである。

4.分析

 以下のような方法で39組の調査対象者を分析した。

6月12日 天気:晴れ 曜日:土日 

時間帯:17時前 年代:10代 性別:女性2人 

滞在時間:1時間30分

14時50分 渋谷方面にあるエスカレーターからミヤシタパークに入って行った

14時55分 公園で写真を撮っていた

15時       3階の通路の端にある段差に座って話していた

15時45分 立ち上がり近くの柱にもたれかかりながら話していた

16時20分 帰って行った

お金がかからず、さらに時間を気にすることなく長時間過ごせる場所なのでミヤシタパークを訪れたと考えられる。

ミヤシタパークに訪れた際、滞在した場所はどこかについての分析は以下の通りである。晴れの時の10代はパブリックスペースが52%、店舗が16%、両方が16%、なしが16%である。雨の時の10代はパブリックスペースが34%、店舗が33%、両方が33%、なしが0%である。晴れの時の20代は店舗が43%、両方が36%、パブリックスペースが14%、なしが7%である。雨の時の20代は店舗が46%、なしが27%、パブリックスペースが18%、両方が9%である。晴れの時の30代は店舗が34%、両方が33%、なしが33%、パブリックスペースが0%である。雨の時の30代はパブリックスペースが34%、店舗が33%、両方が33%、なしが0%である。

平均滞在時間の分析は以下の通りである。

10代は晴れが55分間、雨が83分間である。20代は晴れが48分間、雨が35分間である。30代は晴れが63分間、雨が43分間である。

5.結論

行動の分析から分かることは、縦の繋がりが弱いということである。他の階に目的がある場合は縦の移動があり、様々なお店を見ているが、目的はなくミヤシタパークを訪れた場合、同じ階での移動のみで帰って行ってしまうことが分かる。

10代・30代の雨の日のデータから分かるのは、雨の日は何かしら目的があり、ミヤシタパークを訪れていることが分かる。しかし、20代の雨の日のデータにある通り、何もせず帰った人が2番目に多いのである。このことから、20代は傘を差さずに通れる道としてミヤシタパークを利用しているのではないかと考えられる。そして、30代の晴れのデータにある通り、30代は日の当たらない道としてミヤシタパークを利用しているのではないかと考えられる。

20代・30代は雨の日の方が晴れの日より平均滞在時間が短いが、10代は雨の日の方が晴れの日より滞在時間が長い。さらに全てのデータを比べても、10代の雨の日が最も平均滞在時間が長い。このことから、10代は雨の日ほど長時間滞在できる場所を必要としているのではないかと考えられる。

6.展望

通路を直線ではなく、折れ曲がった通路にすることで縦動線に誘導しやすくなっているが、実際に誘導されているのは元から他の階に目的があった人なのではないだろうか。このことから、縦動線に工夫が必要であると考える。そうすることによって、何もせず帰る人が減るのではないかと考える。

日差しや雨から逃れられる道として利用している人は2階の通路を通り抜けている。このことから、2階のパブリックスペースや店舗に動きを止められるような工夫をすると道としてミヤシタパークを利用していた人が道ではなく商業施設として利用するのではないかと考える。

晴れの日と雨の日のデータ数に差があるため、雨の日のデータを引き続き調査していきたいと考えている。

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