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里山から生まれる建築ー材料先行型建築で創る持続的な森林環境と地域交流の拠点ー

1. 背景

日本には多くの木々が生えているにも関わらず放置されて山は荒廃が進んでいるが、一方で多くの木材を輸入している。地域内で木材の生産から消費までを行うとともに人と山をつなげる場所をつくることで地域の木材の活用を促進するとともに、人と山が互いに助け合うかつての里山のような関係性を現在に適した形で再構築することを考え、鎌倉にある峯山に製材などを行う工場棟とボランティアやハイキングの人々などの交流の拠点となる交流棟を設計した。

2.設計趣旨

近年、林業が儲からないことの解決策として木材生産の場で加工や製品化することで付加価値化をはかる取り組みが行われている例がある。それを参考に本計画では山に工場棟をつくり地域の木材の活用を促し付加価値化をはかるとともに交流棟をつくることで人と山の距離を縮めることを考えた。鎌倉は山の谷に住宅街が入り込み、両者の距離がとても近いがその境界は断絶され関わりはほとんどない。そこで山に人々の活動の拠点をつくることで人々は山へ立ち入るようになる。地域住民が主体となって山づくりを行うエリアもつくることで様々な経験を通してまちと山の境界が薄れていくことを目指す。

2. 設計手順

樹木調査をもとに規模や架構形式を決定するという手順で設計を行った。材料特性をもとに圧縮材、引張材、断熱材に分類し、樹種ごとに多様な特性を活かした設計とした。伐採量は山の面積と植生分布から算定することで山は成長の範囲内で適度に循環する。曲がりや直径、材料特性などを踏まえて設計を行うことで、効率化された大量生産ではなく小規模林業だからこそできる木材の付加価値化を行うことで、儲からない日本の小規模林業を変えることができるのではないだろうか。

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