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テレワーク移行から思考する仮想住宅 ―二棟一対の住戸を目指してー

B4の三嶽です。春学期に取り組んだ小論文について発表します。

1序論

1.1(背景)2020年世界的に流行した新型コロナウイルスの影響により日本ではソーシャルディスタンスという標語が意識されるようになった。それに伴い多くの企業がテレワークを実施した。近年の働き方改革といった傾向も後押しとなり、オフィスから解放され、本社の地方移転や地方採用という動きが見られるようになった。しかし従来型の住宅のプランはテレワークに即したものではなくそのまま使えばむしろ生活に悪影響を与える恐れがある。

1.2(目的)都会のオフィスから離れ地方での生活を取り入れようとする人を対象にプロジェクトを考える。自宅でテレワークを行うにあたって起こる変化を対比的に思考することで、具体的な課題に対する解決案を提示する。

1.3(プロジェクト概要)地方での生活を取り入れてテレワークをする元オフィス勤務の人を対象として住宅を提案する。生活の変化によって起こる諸問題を予測し対応する提案を行う。本提案は未来的な展望を含む概念的な仮想プロジェクトとする。

2テレワーク移行の実態

2.1(通勤の有無)オフィス通いからテレワークに変化するということは空間時間において多くの差異が存在する。まずオフィス勤務の対象者を仮定する。早朝自宅にいると仮定し家族がいる場合は家族と空間を共有する時間が経過する。その後通勤を始める。電車通勤の場合まず一人で自宅の近隣から最寄りの駅まで歩くことになる。続いて電車に乗ると不特定多数の集団と時間と空間を共有することになる。そして再び一人で歩き、出社するのである。このように整理し直すと自宅からオフィスにたどり着くまでに時間とともに空間が変化することは明らかである。東京圏においては片道平均で50分もの時間が通勤にかかっておりその間に仕事に集中するための精神的な切り替えが起こっていると予測できる。

2.2(生活の変化)テレワークになることで自宅に滞在する時間多くなり家族と長く過ごすことになる。これは会話の増加などにより家族間の仲が良くなるといった利点があるのに対して、仕事に対する集中力の低下および、ずっと同じ空間で顔を突き合わせていることにより逆に家庭内不和が生まれる可能性があり、社会学者の久保田氏は家族の時間を実質的に最小限にすることで摩擦を軽減していた側面もあるとしており、テレワークに移行するにあたっては多様な居場所の展開と社会とのつながりを考える必要がある。

3地方生活の課題

3.1(地方移住)コロナ渦の中地方に移住しようと考える人が増えており不動産会社への問い合わせが増加しているという。このような流れは都心のオフィスに通う必要性がなくなり、土地や家賃の安い地方に移住したい、もしくは今までの住宅ではテレワークを行うには狭おけすぎるという問題から起こったものであると言える。しかし都会から遠く離れた地方ではなく依然として、都会近郊の衛星都市に人気が集まっている。地方の物のなさや、娯楽の少なさ、コミュニティーの閉塞感といった課題が地方移住のハードルをあげている。

3.22(拠点居住)3.1とは異なり地方と都会に二つの住戸を持ち二つを行き来しながら生活を行う2拠点居住という暮らし方にも注目が集まっている。メリットとは3.1に上げた課題を解決するようなものがあり、都会と地方という二つのコミュニティー空間を行き来することで、多様な視点を持つことができるようになる。一方で依然として課題も存在する。2点間を行き来することによる移動の大変さである。

都心から離れるほどに移動は困難になりいつの間にか一方にしかいなくなるということもあるという、しかしこの問題は仕事がテレワークに以降し必要になる移動の回数が減ることにより改善されるのではないだろうか。もう一つ問題になるのは家族の分断である。4人家族が2拠点居住を行う時4人中1人だけが都会に用があり平日のみ都会に行くとすると、家族の生活は二つに分断されてしまうという問題がある。

4 2棟一対住戸

前述した課題点と可能性を整理し、通信技術の発達を建築的に取り込むことで二つの拠点を自由に行き来することで互いの利点を結び欠点を補う住戸のデザインを行えるのではないかと考えた。通信技術をはじめとした発達を続けるテクノロジーを建築とデザインすることにより、離れた場所で生活する二組をつなげることができるのではないだろうか。そうすることにより、地方に移住するということはより容易になりまた都合により離れた場所で暮らす家族を距離的な問題を超えて、豊かなつながりを持たせることができる。ここで生活を繋げるとは具体的にどのような操作をすれば良いのか。まず一般的に通信技術で空間を繋げるとなると出てくるのはテレビ電話といったものである。しかしこれは生活をつないでいるとは言えない。なぜなら通話する時間というのは生活する中でのほんの一時でありまた連絡をかけて応答を待ち会話をするという行程がある。生活という行為は日常の何気無い瞬間の連続であるのではないだろうか。

下記の図は地方住戸に投影される都心住宅の配置を示したものである。基本的に室の機能が対応するように配置されており、体験者の行動と互いの空間が連動するようにしている。

5展望

今回の仮想プロジェクトでは先に2地点の大枠を決めてから連結させる配置を考えたが、その逆や住戸ないぶのみならず外部空間などの因子を取り組むためのデザインなども試して行きたい。

参考

Discreet city 原広司

新建築2016年7月号

明治安田生命調査

国民生活調査2016

ビズヒッツ株式会社調査資料

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