B4の林です。卒業設計の梗概を掲載いたします。
1背景
1-1シブヤの歴史
歴史にみる渋谷はカルチャーの中心地であり、路上では多様な異種の要素が混在し、計画性とは切り離された自然空間のような領域、路地が存在している。この都市は異質な要素の集合が全体として渋谷らしさを生み調和している街である。個々の要素、意図が集積し社会現象として現れる劇場性を帯びている。都市の形成の仕方や街の中の活動、人の自由さを吸収する性質がシブヤを草原のような自然環境に近い状態にし、街全体を遊び場と捉え集う。潜在的に人びとをつなぎとめていく性質を生んでいる。人が都市にタグ付けし接続状態であることから居場所となれるような場所が発生している。
1-2シブヤの均質化
現在、度重なる開発を経て新たな姿に更新され続けた結果、シブヤの新たな一面が姿を強めている。その強力な要素であるパッケージ化された巨大施設建築群は、どの都市にも出現し得るスタンダードな都市像に向かっている。都市の新たな動線としてそれらを便利に効率的につなぐ道は都市空間を検索空間のような様相に変え、ストリートが施設化されているようである。それは人の認識は合理的な施設建築に吸い込まれハコに詰められた「使い方」を使いに訪れるだけのものになっている。
2,繭の生成
シブヤが潜在的にもつ人をつなぎとめていく性質は、都市に目的もなく訪れて居座るような人を呼び込んでいる。
路地の段差、隙間のような空間を身体と結び付けてシブヤに寄生している。
ここでは「建築と都市に寄生している状態」を共有していることで間接的なコミュニケーションが生まれているように思える。
シブヤであり続けるためにはこの性質を帯びる公共性が、変動し続ける都市の中に一枚のレイヤーとして存在し続けなければならないと考える。そこで人と人の関係をひも解く緩衝材として、スポンジのようなシブヤの繭の生成を試みる。繭は都市の中で変動する要素と共にその公共性を帯び続け、街を彷徨う。シブヤは変動しながらもシブヤであり続ける。
3,敷地
都市ではゲリラ的に工事中というヴォイドが生まれているが、この一時的な空間資源は未開拓のままである。仮設足場は都市に点在しシブヤの街の風景の一部を担っている。(11月調べ)
本提案はケーススタディとして、開発計画の実行のため現在空虚なヴォイドとなっている桜ヶ丘開発計画地を選定した。
4,多様な要素を寄生させる
都市の一時的な隙間に寄生を許容するシブヤの繭を生成し、都市を3次元的に周遊する身体体験で開拓する。繭の骨格となる折りたたみ式のユニットは、異種の要素の寄生を許し都市と人を結び付ける。都市の力の象徴である広告を個人の身近なものにし、繭が個人のメディアとして利用できるものとなる。既存の仮設足場の表面積からは生まれない、メディアとみどりと人が寄生した景色が生成される。
シブヤの変動するポイントで繭が生成と消失を繰り返すことで、流動する都市の中でも繭の性質が存在し続けシブヤの風景の一部となる。
1,背景
1-1シブヤの性質
歴史にみる渋谷はカルチャーの中心地であり、路上では多様な異種の要素が混在し、計画性とは切り離された自然空間のような領域、路地が存在している。この都市は異質な要素の集合が全体として渋谷らしさを生み調和している街である。個々の要素、意図が集積し社会現象として現れる劇場性を帯びている。