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建築の見え方について

都市、特に東京の様な建築が密集しているような場所の風景は建築が作り出していると言っても過言ではない。その建築は設計するときは通常経済性やプログラムといった内部の要請から形や構成、デザインが決まってくる。そうして出来上がってきた建築が風景の中にどうあるのかというのは実はあまり研究がない。建築と風景の関係について研究することが私たちが設計をするときの新しい手がかりになるのではないだろうか。

表参道は近年、再開発により多くのファッションブランドのフラッグシップショップが並び、ファサード建築と言われるような建築の表層を特異にデザインしたものが多く見られる。そんな中でもSANAA設計のDiorは周囲の建築からも浮かび上がって、風景を軽快なものにしているように感じる。

その要因について考えてみると、ファサードに現れる要素が少ないことや、内部のアクリルドレープが柔らかく質量を感じさせないこと、ガラス面が明るくみえること、スケール感を感じ無いことが考えられる。こう言ったことから改めて建築と風景が関係する要素について考えると、抽象性、ファサードの構成、スケール、素材というようなキーワードが浮かび上がってくる。

前期はこの中でも、現代建築において重要な外装材であるガラスの見え方に着目してフィールドワークや資料の収集を行った。ガラスはただ単に透明な物質として扱われがちな材料であるがその特質として、反射と透過がありその視覚的な現象は内外の関係や時間、角度によって様々に変化する。オフィス建築の場合内部を明るくするためにガラスを多用するものが多く見られるが、内部が透過された結果、外からの建築の見えは暗く重々しいものになりがちである。Diorのように内部に半透明のドレープを設置したり、あるいは電通本社ビルのようにセラミックプリントを施すことでガラスの透過性を維持しながら、明るいファサードを作ることが出来る。ガラス建築といわれるようなものでも環境に配慮していく上で遮光装置は絶対に設置されているけれど、それを既製品のロールスクリーンやブラインドにしてしまうのでなく、その建築に見合った装置の意匠的な提案をすべきであることが考えられる。

未だ論文としての道筋が見えていない状況ですが最期までお付き合い下さい。

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