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現代建築レビュー1月号

B4鶴田です。2023年5月23日に実施致しました、新建築2023年1月号の現代建築レビューを投稿します。

早川:一月号で気になった建築は何ですか。

新沼:私はKEEP GREEN HOUSEが気になりました。大根櫓という農業構築物をイメージして建物の全体像を形作るという方法が面白いなと思いました。また既存の地形を建物内部に取り込んでそのまま利用しているところが斬新だなと感じました。

石川:私はSTROOG社屋が気になりました。自社生産している金物を接合部に使用することで、部材の組み合わせ方を様々につくることができ木造でありながら自由な空間が実現可能という点が面白いと思いました。また柱や梁といった部材をCLT板のみで積み木のようにつくっていく方法は今後普及していくのではないかと思いました。

鶴田:私は52間の縁側が気になりました。木造の大屋根という1つの大きな架構の下に様々な壁やボリュームが入り込んでいることでそれぞれの部屋が独立しながら緩やかに関係を持っているところが面白いなと思いました。それによってそれぞれの介護サービスが関わりながら高齢者が過ごせるようになっていて面白いなと思いました。

草山:私はThe Circle at Zurich Airportが気になりました。空港出入り口やバスターミナルに面した外壁はガラスが曲面を構成したファサードになっている一方、敷地内の公園に面したファサードは建物がたくさん並んだビル街のように見え、その2つのファサードの対比が面白いなと思いました。

木村:私は本の森ちゅうおうが気になりました。外部のテラス空間と建物の外形が形態的にマッチしているなと思いました。また一階から最上階まで各階で高さ・明るさ・色彩感・照明の色温度などを変化させ、直感的に自分の居場所が分かるという構成が面白いなと思いました。

五島:私はハロウインターナショナルスクール安比ジャパンが気になりました。エントランスの軒は外壁から6200mmも出ていて大空間をつくっている一方、全体の建物群は高さが低く地形に沿いながら配置されていて周りの自然を邪魔しない配置計画が面白いなと思いました。

藤ノ木:私もハロウインターナショナルスクール安比ジャパンが気になりました。日本の学校は一般的に片廊下型の教室配置であることに対して、この建物は中廊下型で教室間の関わりを豊かにするように計画されている反面、一つ一つの教室を見ると廊下や外部との関わりが少なく閉じられている点に日本との類似性を感じました。

山田:私はArt Gallery of New South Wales Expansionが気になりました。複数のボックスをずらしながら配置していくという単純な操作でありながらそのずらし方や配置がよくスタディされているなと感じました。また高速道路やそこにかかる人工地盤がある場所にそのまま美術館が建てられているが一見すると外からはそれが分からない点が面白いなと思いました。

早川:他に気になった事例はありますか。

新沼STROOG社屋は私も気になりました。スラブのどの位置に壁を配置するかではなく、CLTの板の組み合わせ方を決めた後にスラブや間のガラスなどを配置するという、スタディの仕方が面白いなと思いました。

早川:CLT板の任意の位置に切り込みを入れると自由に部材を組み合わせられるというのは木造の長所だと思います。一方でCLTの木材がそのまま表面に出ているので腐食の問題などを考えるとこの建築の経年変化が気になります。

山田:このような空間の作り方によって内部はほとんどワンルームのようになっていると思います。そうすると空調の問題など大規模な建築には適用が難しいのかなと感じました。

藤ノ木:こんなに大きなCLT板をこの量使うとなるとコストもかかるのではないでしょうか。

早川;そうですね。コスト面や製材所の拠点数の不足などCLTの普及にはまだ課題が残っていると思います。

山田戸田建設 成田工場も気になりました。それぞれの部材に一つの型枠をつくるのではなく、型枠の形を調整可能にし色んな部材に転用できるという部材のつくり方が面白いなと思いました。

早川:今回は土木的な話をしている建築が多いなと感じました。建物の外観に土木と融合したデザインを使用したり、土木的なスケールを建築に適用するといった事例が見られました。

藤ノ木静岡理工科大学土木工学科棟・土木工学実験棟では土木と建築の融合をコンセプトにしている一方、建築学科と土木学科で建物が分かれていたり、社会的なシステムの面からもまだ実現が難しい点もあると感じました。

総括

今回取り上げた事例では、施工段階におけるCO2排出量の削減を目的にしたもの、土木と建築の融合をテーマにしたもの、建築と自然との関わり方をコンセプトにしたものなど様々な観点からこれからの建築を考えたものがあることがわかりました。

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