学部4年の井元です。卒業設計の中間発表の報告を致します。
「幸せな建築をつくりたい」という一念から私は、これまでヒアリングや自分自身の経験から日常に見られる〈とあるシアワセ〉の情景を収集、分析し、共通項を見出すことによる〈とあるシアワセ〉の体系化を行いました。
以上のことから、私なりのいくつかの結論が得られました。
1、〈とあるシアワセ〉は心境、状況の変極点にある。
2、その変極点は多義性、もしくは両義性により生まれる。
3、〈とあるシアワセ〉の度合いは、加速度的に表すことができる。
これらの3点より、〈とあるシアワセ〉における「感情、心境の変化」と「幸福値」の関係性を概念的に作り出すことが出来ました。(図1)
(図1)
しかし、〈とあるシアワセ〉の体系化がなされていてもなお、幸せという概念が人それぞれであるということは認めざるを得ないことでありました。それは、わたしがヒアリングを行なった際、「あなたの幸せなときは?」という一つの質問に対し、本当に様々な返答が得られたからです。しかし、それらはどれも他人と共有できるような、幸せを想像出来るようなものでした。つまり、それぞれの人の幸せはそれぞれに独立しているが、共有されうる場合がある。という結論が導かれました。
以上のようのことが事実としてある上で、「共有されうる」ということに関しての仮説として、それぞれの人がそれぞれの変極点を持っているにもかかわらず、その変極点を認識していない、感じていないということが考えられます。
また、その「認識していない、感じていない」という事が生まれてしまう状況の理由を、社会を通して考えてみると、都市は雑多になりすぎているため均質になっている、といったことが考えられます。つまり、都市に対して「過剰なまでに均質な空間」を都市に作り出す事がその空間における「変極点」「両義性」「加速度」を限りなく無いものとし、「幸せでもなく、不幸せでもない空間」を介することで今の都市における変極点を敏感に感じ取れるようになることを期待しています。
今後の課題。
・なぜこのような状況が生まれているのか。
・全てをリセットする空間の追求。
・敷地、機能の決定。