研究背景 −空間体験の風景化−
近代産業は、人間性や自然を排除することで大量生産が可能になり、その波にのって建築もますます都市化され均質化し、人間性を欠いた画一的な空間が加速度的に増えていく状況にあるように感じる。それを否定するわけにではないが、そういう時代にどの様にして、人間性を回復して、建築の中に感覚的な部分を呼び戻すことができるかということを考えることは重要であると思う。
それには様々な方法があると思うが、イマジネーションが沸くということもまた建築の中の人間性を呼び戻すことに繋がるのではないだろうか。
建築の体験を風景化し、後には空間体験が印象的に残る建築というものを追い求める意義は大きいと考える。
動機 −シークエンシャルの遷移点−
シークエンシャルな空間体験は、連続的に様々なシーンを体験することができる。この連続的な空間体験は連続である以上、そこには“節目”が存在するのではないだろうか。また、その節目にこそシークエンシャルな空間体験の魅力やイマジネーションを喚起する力があるのではないだろうか。
魅力的な空間体験ほど、シークエンシャルな空間の変化は点で捉えられるように感じる。本研究では、その空間体験の変化の点を「空間体験の遷移点」と定義し、建築設計手法として提案していくものである。
目的 −人間性と空間−
本研究では、空間体験に大きく影響するであろう「空間体験の遷移点」を研究・分析することによって、イマジネーションを喚起する空間を設計する建築設計手法を確立することで建築の中に人間性を取り戻すことを目的とする。
今後ともご指導のほどよろしくお願い致します。