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現代建築における被覆 / 表層の研究

現代建築における被覆 / 表層の研究

修士2年の寺島です。修士研究の途中経過を報告いたします。 1 . 研究の背景 【ゼンパーによる被覆論とその後の動向】  ゴットフリート・ゼムパー(1803-1879)は19世紀に象徴的意味を帯びた装飾形態を集めた表面(すなわち被覆)での形態言語の発生・伝播・統合を扱う被覆論を構築・展開した。19世紀末から20世紀への転換期にはオットー・ヴァーグナーとアドルフ・ロースが全く異なる手法を採用しながら、ともにゼムパーの被覆論を実践に移し、近代建築の新様式を創生する。20世紀初頭にはインターナショナル・スタイルという新様式が展開され、ヴォリュームのサーフェス全体を、連続する一つの面に仕上げ、様式を現象させるために素材をどう扱うべきかが議論された。そして20世紀から21世紀へ、建築の被覆は多様で豊かに展開されている。今日、現代建築の被覆/表層は建築の本体から自立し、意味を表層する独自の...

「pH」−Healing Spaceとしての宮下公園−

B4の寺島です。卒業設計の梗概を掲載いたします。 1.背景・目的 都市空間として高い潜在的な可能性をもつ、宮下公園。渋谷の谷の一番底、明治通りと山手線という東京を代表する交通インフラに挟まれた線路脇の細長い敷地に、自動車駐車場の屋根(人工地盤)が、分厚い土を載せて立派なケヤキを育み、渋谷の商業施設の真ん中にありながら、緑の谷のようになっていた。そんなかつての宮下公園は現在、100年に一度と言われる渋谷の再開発の波にのみ込まれ、2020年6月に新たに開園予定である。商業施設として同調空間化する宮下公園を、かつてのように都市の中で「裏(リトリート)」として機能し、世代の違いを超えて受け継がれ、主体の違いを超えてその場所で共有される空間へと再構築したいと考える。 2.宮下公園の歴史 *表1参照 3. 提案 渋谷の近代化を支えてきたと言える1階部分の駐車場と地下を利用して、亡くなった人々を思う祈...

近現代における建築と衣服の変遷から見るパビリオン建築

B4寺島です。2019年度春学期に取り組んだ研究内容について発表させていただきます。 近現代における建築と衣服の変遷から見るパビリオン建築 序章 研究概要 0-1研究の背景 建築と衣服は、古くから、人間の身体を守るシェルターとしての本質を共有し、建築とは“固定されたシェルター”、衣服とは“移動するシェルター”という視点を持つことができる。また、両者は社会的・個人的あるいは文化的なアイデンティティの表出としての役割を担ってきた。両者は時代と共にイデオロギーや技術革新によりボーダーレスな概念をまといながら、結果として様式的に創作動機を共にしつつ、新しい形態や質感をもった作品を生み出し進化させてきた。特にコンピュータをはじめとする様々な技術の革新が、建築や衣服の自由な造形を可能とし、それぞれの表面と構造の関係に変化をもたらしている。 近年、都市から都市へと巡回する移動式パビリオン建築が話題と...

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