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日々の焦点と幸せ-街をうつす駅前空間-
0 はじめに 建築というのは、コミュニケーションの媒介であると考えている。建築空間によって、場の性質が決定されると同時に人々の行動は誘発され人はコミュニケーションをとる。例えば、小学校では子供の身体や他の人とのコミュニケーションを図り、教会では神あるいは自分自身という精神的な面とのコミュニケーションを図るために建築空間が作られる。本設計において、日々の幸せを感じるために街と身体とのコミュニケーションを図り、その為に生活を比較可能にすることを目的とする。 1 設計の背景 背景として敷地に対する背景と個人的な関心である「幸福」に対する問題意識を大きな二つの背景とする。 1-1 行幸通りに関して 敷地に設定した行幸通り及びその地下通路は東京駅中央口の西方向に位置する。東京駅は新幹線の起点となっているため東京の玄関口となり、利用者を最も特定しない機関である。また、東京駅周辺の丸の内はオフィス街...
熱川温泉発電所〜洞窟空間による熱川の活性化〜
計画の動機 熱川温泉は1980年代のバブル期に急激に開発が進められ、バブル崩壊とともに観光客が減少してきた。現在では廃墟となった建物は取り壊されず残り、利用されている建物は仕上げ材が剥がれているなどの街並み全体の衰退が表面化している。 本卒業設計では衰退した熱川温泉の景観や資源に着目し、熱川温泉を再び活性化させることを趣旨と位置づける。 プログラムについて 温泉の熱源を利用し、発電する温泉発電所を計画する。熱川温泉は観光客の減少により、湧き出た100℃の温泉を利用しきれず川に流している。その捨てている温泉の熱源を電力として還元する計画とする。最も眺めの良い斜面に温泉施設は配置され、集客を主とした計画となっている。 デザインについて 温泉施設、発電所を地下に埋め、地上を公園広場として開放する。熱川のシンボルである温泉やぐらを地上に配置し、風景とする。地中の空間はエントランスか...
自然光を用いた時間の表現に関する研究
はじめに 現代のように人工照明が発達する以前、人間は基本的に太陽の変化のリズムにそって生活していた。暗くなるとろうそくを灯すなど、行動の様々な部分に光の変化が作用していたと考えられる。 人工照明が発達した現代では昼間から夜間に至るまで調整され安定した光の中で生活をしている。そういった環境は変化に乏しく、そこで生活をする人々の時間の感覚は、時計やテレビ・ラジオなどの周期性を持つ光以外のものによって補われている部分が少なからずあると考えられる。人工照明による採光が主流になった現在では、自然光による様相の時間的変動はあってないようなものとして扱われる場合さえある。 一方で、自然光の価値や、時間的変化が見直される動きがあるのも事実である。太陽光の変動をシミュレートした人工照明が開発され、オフィス建築などに導入される例もみられる。 時間によって変化する自然光は、建築の形態や空間に大きな影響を...
DISTORTED GRID -月島超高層ビルディング計画-
画一的に空間が反復される建物は合理的ではあるが空間体験としての魅力が乏しく、空間同士の関係性が希薄で退屈だと思われた。また、表層的に形態操作がなされているものは内外の不一致を誘発するように見て取れ、それは建物の規模が大きい程、顕著に現れているように感じれた。 この計画は、現在の高層ビルディングタイプの形態の新しい可能性を探ることを目的とし、全体の空間構成として多様な場面展開と関係性を持つ建物を目指すものとする。 『グリッドを歪ませる』という幾何学的な操作を出発点とし、それらを建築的なボキャブラリーに置き換える。それらを簡略化された建物のモデルとして構成し、三次元的な歪みを与え建築形態を生成する。 三次元的な複数の歪みは、計画地における都市の特徴や周辺環境の諸条件に対応させるとともに、建物内部の機能や動線等の使われ方・各方位の景観・建物の見え方といった事柄と連動させる。これらの形態操作は、...
空白から余白へ 〜都市と繋がるリサイクルスポット〜
GIS を用いた秋葉原地域におけるテナントの立地特性と変容に関する研究
序章 研究の背景と目的 0-1. 研究の目的と背景 都市の様相は建物の規模や密度といった物理的要素や都市計画等の法的な要因が重なって決まるが、その中でもテナントの業種やその構成等のソフトの面による影響も無視できない。近年の秋葉原は、日本の文化として定着しつつあるアニメやゲームの街として世界的に見てもとても興味深い街である。戦後、電気興業専門学校(現東京電機大学)に近いことから、ラジオの部品を扱う露天商が集まり、電気機器の街として知られていた。しかし日本の流通業の進展の中で、家電量販店でチェーン展開する店舗が1980 ~ 90 年代にかけて急増した。しかし、郊外に安く土地を購入し、大型の店舗を構え始めると、秋葉原まで足を運ぶ人が減少し出した。この電化製品販売の不振に取って代わるようにパソコン関連の機器や部品の売り上げが伸び始め、1994 年の秋葉原電気街の売り上げが家電関係を上回りパソコン街...
都市のマイクロ•リノベーションーガソリンスタンドの未来ー
background ガソリンスタンドは全国に約37000カ所あり1994年には60000カ所もあったが23000カ所も閉鎖されてきた。この減少の理由に過当競争の激化とEV(電気自動車)の登場であり、ガソリンスタンドはEVへの対応に追い込まれている。一方で、ガソリンスタンドはシンプルな施設構成とシンプルなカタチを持ち多様なポテンシャルを含んでいる。そのポテンシャルは『空間力』『立地力』『点在力』の3つあると考えられる。十分なオープンスペース、裏手に広がる地域社会にも開かれた施設、ガソリンスタンド特有の距離感。このポテンシャルとEV社会への流れを含めたリノベーション提案とする。 site 敷地は新宿駅周辺に建つ3カ所(都庁前、代々木、歌舞伎町)のガソリンスタンドとした。理由として新宿には様々な要素をもった場が提供されており、このような敷地に建つ3カ所のガソリンスタンドはリノベーション後...
竹を活用したHPシェル構造シェルターの設計-千葉県南房総市における里山プロジェクト-
1.序論 1-1.研究の背景 環境共生の意識が高まる中で、建築資材として自然素材を利用することは価値のあることとして注目されている。その中で建築資材としての竹材は特有の靭性を持ち、繊維方向が木材と同等の強度を持つため、その特性を活かすことで利用拡大の可能性をもつ循環型資材であるといえる。さらには日本全国の竹林では伐採された後に放置されたまま荒廃していくことが未だに多いのが現状で、里山では次世代の林業への担い手が減少を続け、伐採や間伐が行われず荒廃が続くという悪循環が働き、深刻な問題を抱えている。そのような里山が抱える竹林問題解決の糸口として、建築資材として竹材のもつ特性を最大限活用するモデルをつくり、竹材の地産地消を行うシステムを提案することはできないかと考えた。 1-2.研究の目的と位置付け 実際に竹材を利用し、実施設計まで行った研究として共通しているのは竹...
北京川底下村における住居形態の地形に対する調停メカニズムに関する研究
0 序章 0-1研究の目的と背景 川底下村は北京市西部から約90kmに位置する伝統的集落である。南西側に傾斜したひな壇状の地形に沿って、四合院の住戸群が51戸あまり配置されている。その歴史は古く明朝初期に、集落が形成され作られた。2003年に建設部と国家文物局から歴史文化名村に認定され保護の対象となり、住民は生活を営んでいる。 川底下村は、本来平野部に建つ四合院が山間部の急峻な斜面に密集して建てられている極めてまれな伝統的集落で保存状態も良好であり、歴史的価値は大きい。北京工程大学によって1999年に現地調査がなされている。現地調査を行ったところ、住居の形態、住居の所有区分等に相違点が散見される。そのため、現時点での川底下村の状況を測量し現状を把握することは、喫緊の課題である。 集落には本来は形式性の強い四合院の平面が変形している住居、住居内に微地形をもつ住居が見られ、...
CFD解析シミュレーションを用いた環境共生型学校建築の設計-両義的な壁を用いた豊洲小学校新築計画
0.1研究の背景 近年、コンピューターの普及により様々な解析シミュレーションを行うことができるようになってきた。解析シミュレーションを用いることにより、風や熱や光などの複雑で予想し難い挙動を可視化し把握することができる。このことにより、実際に設計された空間が環境的に意図されたものになっているか検証し、その結果をもとに改善することによってより適切な環境を実現することができる。 学校建築は、学校形態や理念の変化などから、様々な取り組みがなされている。まず、空間の可変性、連続性、開放性を実現する形態としてオープンプラン・スクールが注目されている。オープンプラン・スクールは、教室が完全に独立したものになるのではなく、パーテーションなどで仕切り、開放的で可変性のある形態である。オープンプラン・スクールでは様々な諸室の空気が一体となっており、環境的にお互いに影響を与えやすい。つまり、通風や音、視線...