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ルイス・バラガンの空間構成手法に関する研究―奥行性を持った絵画的空間の集合体としての建築―
修士2年の木村です。前期の修士論文の成果を投稿します。 私は「ルイス・バラガンの空間構成手法に関する研究」として、バラガンの建築を奥行き性をもった絵画的空間の集合体であると仮定して、研究の主題としています。 【1.序論】-------------------------------------------------------- 1-1.研究の背景 ルイス・バラガン・モルフィン(Luis Barragan Morfin/1902-1988)はメキシコ人の建築家であり、その地に数々の名作を残している。バラガンの建築は基本的に簡素で幾何学的なモダニズム建築であるが、メキシコの民家によく見られるような黄色・ピンク・赤・紫などの色を壁一面に塗るといった要素を取り入れ、メキシコ独自の地域性(地域主義)と国際的なモダニズム性の調和を図っていた。 そのためバラガンの建築は鮮やかな「壁面...
築地市場移転に伴う場外市場における整備計画 ~サスティナブルネットワークの構築を目指して~
研究の目的と背景 2011年、築地市場の豊洲移転が都市計画法に基づき決定した。これは全国的に中央卸売市場が再整備を求められていることが背景にある。(卸売市場法 第四条―第六条 )その問題点として、施設の老朽化・狭隘化が進んでいて危険であるということと、ライフスタイルの変化に伴う消費需要の低下、スーパーマーケットの大規模進出によって安定供給が主流になり、かつて物流ネットワークの中心であった中央卸売市場の価格決定権が次第になくなりつつあることがあげられる。築地場外市場では、卸売市場に寄生する形で人・物・空間・地理・機能等のネットワークが形成されているが、卸売市場が移転したときに更新は免れず、今までの関係は保てないだろう。しかし、日本文化にとっては残すべきものであり、保存のためには街のアイデンティティと新たな経済戦略が必要となってくる。本研究では、現地調査、住民へのアンケートを行い、築地が抱える...
シークエンスにおける遷移点の研究 ‐美術館建築をケーススタディとして‐
[研究編] 0.序 0-1背景・目的 映画や音楽が場面の移り変わりを連続させることで体験者に意識の変化を与えるように、建築においても空間の抑揚によって起こる場面転換を連続的に体験することによって、その建築の中に引き込まれていくことに魅力的を感じた。空間体験をする中で、その建築に引き込み、現実の世界に引き戻すまでの体験はどのような仕組みによってつくられているのだろうか。 空間体験は、感覚的で抽象的な要素によって成り立っているため、建築作品について明確な評価や比較がされることはなかった。また、建築設計において空間構成をとらえ設計することは容易ではあるが、空間内を移動することによる体験は想像力を必要とし、見過ごされやすい。こうした空間体験の設計は設計者個人の経験や勘に依存する部分が大きく、設計の過程で効果の確認が困難である。従って、空間体験の設計方法をある程度理論化し、誰もが利用できる知見として...
ガラスの透過性を考慮した街路空間の三次元的な開放性に関する研究
1.はじめに 1-1 研究の背景・目的 都市に建つ建築は都市と相互に何かしらの影響を持っていると考えることができる。建築を設計するときにその影響について把握することは非常に重要なことであると考える。街路空間の視覚的な開放性について考えたとき、そこに建つ建築のファサードが視覚的に透明なのか不透明なのかということは大きな問題であると考えられる。18世紀、ジャンパディスタ・ノリは都市を図と地(白と黒に塗り分け)で現した。この図は建築を都市空間を規定する地と捉えることで、都市空間が図として浮かび上がることを示した図であり、都市と建築が表裏一体の関係にあることがわかる。このように建築は都市の街路空間を規定する輪郭と捉えられてきた。 しかし実際の体験では、視線はガラスを透過し、街路から見ることのできる建築内部の領域も考慮すべきである。街路空間はさまざまな手法を用いて記述されてきたが、実際の視覚体験を...
近代化産業遺産の保存・改修に関する研究―新町紡績所の改修計画―
M2 黒坂貴大です。 修士研究が完了しましたので、投稿させていただきます。 背景と目的 現在、地球温暖化等の環境問題、また世界規模の経済的問題などの背景により、サステナブルやローコストといった観点から建築のコンバージョンやリノベーションが日本国内でも重要視されている。 日本には、戦後の近代化を支えた産業遺産が数多く残されており、その中には工場や倉庫といった歴史的価値のある建築物があり、地元保存会が中心となって保存活動を行っている。保存会の働きにより建築物を残すことはできているが、有効利用は出来ていないというのが現状である。また、この地域は産業化時代に工場と共に成長し、活発であったが工場の衰退と共に衰退していった歴史があり、再活性化させる必要性もある。 以上の背景から、コンバージョンすることにより衰退した地域の再活性化を図り、地元保存会の...
仮設集合体-アルゴリズミック・デザインを用いた集合体の生成手法に関する研究-
M2 松井 夏樹です。修士設計の報告をさせていただきます。 0-1研究の背景と目的 集合体建築は、集落等に見られるプリミティブな建築形態のひとつであり、現代でも多くの建築家が手掛けている。しかし、集合体建築は、単位空間の微妙な位置の変更が全体の空間の質に大きな影響を与える建築形態であり、スタディに膨大な時間と労力がかかる。また、集合体の生成ルールは、建築家のセンスや経験等に依存しているものがほとんどである。アルゴリズミック・デザイン(以下A.D)は、コンピュータの発展と共に1990年代から、建築設計においても積極的に取り入れられ、近年では、その膨大な処理能力と正確性から、建築設計者の設計ツールとして、様々な場面で用いられ、環境デザインにおける有効な設計ツールとしても大きな注目を浴びている。しかし、A.Dを用いた事例の多くが、建築の部位や構造・設備設計等に偏っており、集合体建築...
音楽のある風景 -馬車道コンサートホール-
どこにいても世界中の音楽が聴ける現代 それでもなぜ我々はホールへ足を運ぶのか コンサートホールはなぜ建てられ続けるのか コンサートホールは高い壁で覆われ中に入る機会がないとその建物の良さや様子がわからない 本来都市の中心にあり 集う 場所であったコンサートホールは 聴く 場所へと変化した その結果、コンサートホールは音の良し悪しばかりが追及されていった 音を楽しむはずのコンサートホールは音が良ければただの箱を置くだけでよいのか 日常の中の非日常的な空間 コンサートというのは特別な時間であり、コンサートホールというのはそういった非日常感を演出する必要がある。 しかし、そういった非日常感は日常に紙一重で存在するものであり、ホールという建築もまたそういった存在であるべきだ。 現在のホールは物理的に壁で外界と切り離すことにより非日常感を演出しているために...
【雲】-多文化都市をつなぐ立体格子-
■都市にかかる雲:イントロダクション 自己完結した自閉的な建物群。 自然発生的に完成した都市。 依存し合う空間、強く閉ざされた壁。 その状態を地形のように捉え、雲をかけました。 雲、という弱い境界を壁の外に新しくつくりました。 雲は生活を壁の外に拡張するきっかけです。 都市に生活があふれ、混ざり、つながっていきます。 ■多文化都市?大久保:敷地 敷地は新宿区大久保。魅力的な内部の生活とペンシルビルでできた都市。表裏の区別が存在し、密集する表同士裏同士でも隣との関わりを閉ざすような空間で窮屈な活動が行われ、この都市にはわずかな隙間しか残されていません。 ■立体格子:デザイン この隙間に雲をかけ表の商と裏の住をつなぐことで留学生を含むすべての活動が関係し合う状態をつくります。 雲とは生活の溢れ出しのきっかけとなる立体格子です。 立体格子は都市を構成する面の強さに対す...