Your are here: Home // Archives for 3月 31st, 2020
余白が彩られ“まち”となる-小売事業化と異種用途誘致による問屋街の活性化-
1,背景 従来の製造メーカー→卸売り問屋→小売業者→消費者の形にとらわれず小売業者自身がプライベートブランドを所有し製造から販売までを行なう仕組みが主流となりつつある。利用の減少に伴い、将来への不安を抱える問屋は少なくない。また、当日仕入れられるというメリットを持つ現金問屋は、物流の発達によって当日配送が可能となったため来訪者の減少が著しい。 2,敷地 日本最大級の現金問屋街である東京都中央区の横山町馬喰町新道通りを敷地とした。この通りの周辺には3つの駅があり、交通の弁がよく住宅としての需要も高い。地下道の発達により乗り換えの際にこの道を利用する人はほとんどおらず、物流の変化によって買い付けに来る小売商が減少。9割以上の店舗が小売を行なっていないこともあり、かつての活気は感じられない。上階は倉庫としてしか用いられておらず、敷地内の空きテナント率は約10%となっている。 3,マスタープランの...
首都圏の市街地における都市空間のゆがみに関する研究-時間地図による分析-
M2の氏家です。修士論文の概要を掲載いたします。 序.研究の概要 0.1研究の背景 街を歩いていると、近くなのに遠い場所、近くに見えるのになかなかたどり着けない場所に遭遇することはないだろうか。例えば道路の向こう側に渡りたいが横断歩道が近くになく、遠回りせざるを得ない経験は誰しもあるだろう。こうした距離感の錯誤や遠回りは、都市生活者に対し、空間のゆがみを感じさせる。遠回りさせられることは不便ではあるが、ここに都市のパラドックスのような面白さがある。一方で、本来は遠回りさせられるはずの場所に近道が存在していることで、近く感じる経験をしたことはないだろうか。例えば、赤坂駅から三分坂周辺に向かうには、TBS本社側に迂回するか、赤坂五丁目交番側に迂回するかの2つの経路がある。しかし、一ツ木公園の中の階段を使えば、ショートカットできるのである。このような場所は都市に無数に存在し、都市空間の認知をゆが...
解、のちに現 -分解された空き家における新たなふるまいの観察-
B4の建入です。卒業設計の梗概を掲載いたします。 1.背景 1-1分解世界 普段私たちは、料理を「作る」、年齢を「重ねる」、といったように生活の中で常に生産し、作り上げるといった足し算や掛け算の世界を生きていると思わされている。しかし、種が殻を割って発芽するように微生物が落ち葉を細かく砕くように、実は私たちは破裂や分解の世界も同時に生きている。 1-2反新品社会 新品に溢れた煌びやかで華やかな社会。そこには傷やシミなどなく、綺麗な物しかないがどこか居心地が悪いように感じる。例えば、一枚の戸板が修繕されたときに得ることのできる「改められた新しさ」というのは新品社会には存在しない。戸板はそこに存在していた時間的連続から一度切り取られ、周囲との関係性が一度消去される。それを再配置されることにより時間軸や関係性が、更新されるといった点でこの試み はある種新しい。 1-3新品社会に取り...