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共同型建築家の建築設計プロセスの記述・分析-建築の設計組織体制と設計プロセスの関係-

修士2年の福井です!修士研究の途中経過を投稿いたします!

01)研究の背景

 建築設計における案の形成プロセスは他者や利用者は伺うことができず、設計者と施主の間の暗黙知とされている。しかし現在ではプロセスの規則を一般化する「超線形プロセス論/藤村龍至」やo+hのようにHP上でWSの様子や打ち合わせ過程を公開するような試みが現れている。

 他方、設計者側の組織が複雑化し始めている。60年代以降の建築分野は巨匠の時代が続き、00年代以降にはユニット型設計事務所が現れ始めた。これは現代社会が個人の作家性だけでなく集合知の時代に少しずつ変化していることに関係しているのではないか。

 設計組織がユニット化することで組織と設計プロセスの関係に変化が起きていると考えられないだろうか。例えば、設計者のフラットな関係を維持するためには意思決定や方向性に意識的にならなければいけないことから、独自に工夫が必要だと考えられる。

社会学の分野ではブリュノ・ラトゥールによるアクターネットワーク理論によって社会の変遷を定式化するのではなく、連関の社会学として事実をそのまま記述することを提唱している。これはアクター(被験者)中心の議論であり、見解を押し付ける今までの社会学に対して、相対論的な解法を用いてアクターの立場から物事を縫い合わせている。

 この見解は建築設計において設計の案のみに焦点を当てるののみならず、設計組織や設計周辺の要素が建築の特徴を作り上げていることを証明するために応用できる考えである。

 「建築設計」という言葉の定義は多様化し、捉えにくものとなっている。複雑になった建築設計の見方として設計組織や設計方式へと展開することが必要と言える。

02)研究の位置付け

本研究は、設計と設計組織の相互関係から辿ることのできる設計プロセスのモデル構築へのアプローチという文脈の中に位置付けられる。これまで多くの設計プロセスが提案されてきたが、その組織形態と設計の相互関係に意識的な場合は少ない。

 設計プロセスに関する研究はこれまで多く提案されてきたがどれも作家性やスタディ模型そのものの変遷を追うものとなっている。

 設計組織に関する議論は、1998年から始まりいくつかのメディアでユニット派のその特殊な設計姿勢と組織に関する記事が取り上げられている。

多くはユニット派特有の作品に対する匿名性を批判的に取り扱っている。しかし、常に社会的性質をおびる建築は作家性だけでなく集合知的設計論も同様に重要であると考える。

そこで本論は、設計の組織体と設計プロセスを集合知的設計プロセスのようなモデルを構築する。組織体と設計プロセスの相互関係を研究することは、建築のモノ的価値にとらわれることのない新たな建築とコミュニティの可能性を発見できるのではないか。

03)研究の目的

本研究では複雑化している建築設計のプロセスを組織図や周辺の事物を関連づけて記述を行うことで設計のプロセス、建築家の役割を明らかにする。意見合意の要因や組織の関係をはじめとする設計の周囲で起こる情報が連なり、積み重ねられることで再発見や異なる視点からの設計手法として論じることができるのではないかと考えた。設計を非線形的なものであると捉え直し、アクターネットワーク理論を参考に建築設計の組織とデザイン生成における過程のつながりをたどり直す。

そこで本研究の目的を次の4点とする。

1.ユニット派建築設計事務所の設計組織がもつ独自性を明らかにすること

2.ユニット派建築設計事務所の合意形成の特徴や組織体制の体系化を行う

3.設計組織と設計プロセスの相互関係を記述する新たな方法論を構築すること

4.記述することを通して建築を社会に開くということを論じる

04)研究の対象・方法

本論の対象はGA JAPAN PLOT設計のプロセスで扱われているユニット派建築組織やインターネット上で設計組織について発信しているユニット派建築組織を対象とする。

 研究の方法としては雑誌に取り上げられている設計プロセスの分析・記述を行い、その特徴や工夫をまとめ、それらのデータを基に設計組織へのヒアリング調査を行う。

05)分析

05-01)設計組織に関する分析

みかんぐみ、メジロスタジオ(旧)、o+hなどの事務所の言説を元にして整理を行う。以下のようにユニット派の括り内においても設計者の関係性設計案統合方法作家性などの部分において工夫や特徴があると言える。

・リーダー中心型(設計者にヒエラルキーがある)・・・・o+h

・平等関係型(共同者の良点を統合する方法)・・・・・・みかんぐみ

・仮面作家型(PJごとに仮面をかぶり思考を高める方法)・・メジロスタジオ

05-02)GA JAPANを基にした設計プロセスの分析

チームについて

・アイデアは常に3人で話し合う(dajiba)

・二人の研究分野を生かす(Eureka)

・外部からの意見を柔軟に取り入れる特徴(o+h)

・縦割りにならない仕組みを意識している(o+h)

・模型を常にオープンにしそれぞれがいじる(シーラカンス)

GA 167号山形市 PFI事業を取り上げる

ここでの設計者の関わり方は以下のように考えられる。

代表企業は山形で木造を得意とするシェルター→構造 

八の字スロープアンが生まれる(大西)→全体

スロープに様々な工夫をつける(百田)→部分

3DソフトのCGで検討を始める(板野)→方法

05-03)記述方法のスタディ

先行研究「建築設計プロセスの記述とモデル化ー国内アトリエ系設計組織を対象としてー」「C.Sパースの探求の理論に基づく設計プロセスのモデルの構築」から記述方法を調査する。

下図のような自作の設計プロセスと設計組織の図のう部分に応用できるか検討。

06)予想される結論

•ユニット派が持つ独自の設計論は設計の仕方と設計者間の密接な関係にあることを示す

•共同設計の組織の関係図から建築家の職能が多様化していることを示す

•建築が社会的性質を帯びていることを明らかにする(集合知の時代)

•これらのプロセスのフローチャートを通して社会との関係性を開いていく。

07)課題

•具体的な事務所の対象選定

•組織体制と設計プロセス論の関係の仮説の立て方

•仮説を基にヒアリング

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