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建物と道路の境界に関する研究〜塀のデザインの可能性〜

 B4志藤です。2021年度春学期に取り組んだ研究内容について発表いたします。

1.序章

1-1 研究の背景

 近年近所付き合いの希薄化が問題となっている。そして、近所間での交流が生まれないことは様々な問題を生じると考えるそれにもかかわらず、都市化が進んだ頃に同時に生まれた核家族化やSNSの普及など様々な理由により、人々との間に距離が生まれてしまっていると言える。

 近所間での交流が生まれる場所を考えた時に、家の前が多いと感じた。そして、住宅の内部のデザインはされていても、外部のデザインにも力を入れている住宅は少ないように感じた。そこで、今回は交流が生まれる可能性の高い建物と接道の間の境界に着眼して研究を進めていく。

 今回着眼する境界とは建物の内と外の境界ではなく、建物と接道の境界空間である。(≒敷地境界線)

1-2 実情 

 実際に住宅の境界がどのようになっているのかを自宅から東久留米駅までの道のりで調査した。(計66軒)そして、境界が何でできているかを色分けした。(今回は車の出し入れ部分は除いた。)

 東久留米を調査対象とした理由として、東久留米が住宅街であること、また普段から通っている道であり、ブロック塀の多さを感じていたこと、そして、高齢者や若い世代の家族を見かけることが多いことが挙げられる。

 調査結果から、実際にほとんどの住宅が何かしらの境界を設置していることがわかった。このことから、境界の必要性を感じた。また、一部塀のみな住宅はどれも新しく建てられたものだった。大まかに分類したが、その中でも組み合わせ方や素材、高さや接道からの奥行きなどに違いがあった。デザインされている塀はほとんどなく、境界部分をデザインすることでの可能性を感じた。

1-3 研究の目的 

 塀をデザインすることで、人々の動きに変化を生むことができるのではないかと考える。昨今はコロナ禍により外出する機会が減り運動量が減ってしまっていると感じる。遠くまでお出かけすることは難しいものの、近所を散歩するなどして体を動かすことが大切だと考える。塀をデザインすることでそれらを促し人々が散歩に出かけることになれば近所間での接点を増やすことにもつながると考える。また、新たに建てられた住宅は塀が一部になっていたり、塀が存在しないものもある。オープンにするために塀をなくすのではなく、塀の役割を果たしつつオープンな空間になる塀を考える。

1-4 研究の方法

 新建築の住宅特集から、いくつか作品を抽出し、分類・分析する。その後、交流が生まれるように、塀の改修案を実際に設計する。

2.塀の定義

 今回さす塀は、境界空間に存在する建物と接道を分ける役割のあるものとする。

 一般的な塀の役割は防火、防音、防視、防破、防水、防風などがあり、様々な被害を防ぐものとなっている。

 今回考える塀は住む人たちのことを考え、交流を生むきっかけとなる塀である

 塀に対しての印象として、塀によって閉鎖感を生んでいるように感じる。また、垂直に高く塀が立っていることで道路を歩いている際、道の広がりを感じられない。また、道路と建物を分離してしまい、一体感やつながりを失ってしまっている。さらに、敷地境界線に塀が立っていることが多く、立ち話をする際は車を気にしながら道の隅ですることになる。また、塀に対する考え方は住む人によっても変わると考える。例えば、子供がいる住人は小さい子供が道路に飛び出すことのないように、塀を設置する必要がある。また、高齢者は

 塀に対しての印象として、塀によって閉鎖感を生んでいるように感じる。また、垂直に高く塀が立っていることで道路を歩いている際、道の広がりを感じられない。また、道路と建物を分離してしまい、一体感やつながりを失ってしまっている。さらに、敷地境界線に塀が立っていることが多く、立ち話をする際は車を気にしながら道の隅ですることになる。また、塀に対する考え方は住む人によっても変わると考える。例えば、子供がいる住人は小さい子供が道路に飛び出すことのないように、塀を設置する必要がある。また、高齢者は段差がないほうがいい。また、道路からある程度内部の様子が窺えるほうが、生存確認にもつながると考える。塀には形の違い、素材の違い、代替されたものなどの違いがあると考えられる。

3. 作品例の分類・分析

 新建築の住宅特集から作品を抽出し、透過性、一部変形、代替、素材、その他にグループ分けした。そこから、平面的な操作と立面的な操作、果たされている役割を考えた。平面的な操作としては、何もしない基本、⑥手前に引いたもの、⑦ずらしたもの、の三つの中で考えた。立面的な操作としては、何もしない基本、①低くする、②浮かす、③分離する、④穴を開ける、⑤高さを変化させる、の六つの中で考えた。果たされている役割としては先に述べた、防火、防音、防視、防破、防水、防風、そして今回新たな役割として考える交流を加えた七つの中で考えた。

 そして、その後平面的、立面的な操作の掛け合わせによってどのような効果が生まれるか分析した。

 これらのことから、開放的な操作をされているものは交流が生まれやすくなっていることが分かった。その反面、塀としての役割は果たしていないものが多い。平面的な操作では手前に引く、立面的な操作では低くすることでオープンな空間を生んでいる。平面的な操作ではずらす、立面的な操作では高さを変化させることで、プライベートな空間とオープンな空間を生むことが可能になる。また、素材による変化は建物全体の印象を変えるものになる。

4. 設計

 第3章で分析したことを踏まえて、実際に既存の塀を改修し、交流を生む塀を設計する。

 敷地は実情を調査した自宅から東久留米駅までの一部でありブロック塀で囲われており閉鎖的な場所にする。

 平面的な操作として、⑥手前に引くを用いて、塀をセットバックさせ散歩道を作る。また、⑦ずらすを用いて、一部をさらにセットバックさせベンチを設ける。立面的な操作として、①低くするを用いて、ベンチを設けた部分は塀を低くし視線や風が通るようにし、そのほかの部分⑤高さに変化を作るを用いて高さを保たせることで、視線が通らないようにする。これらの操作によって、プライベートな空間とオープンな空間を生む。また、塀の素材を統一させることで街の一体感を生む。敷地のそばには川が流れており川の両側には歩道があり散歩道となっている。そのような散歩道を街全体に張り巡らせることで人々が外に出て散歩をすることのきっかけを作る。オープンな空間では、通りすがりの近所の方々とベンチに座って会話をしたり、散歩途中の人が休憩することができる。これらは、偶然居合わせた人と交流を生んだり、近所の人との会話をするきっかけを生むことになる。また、ベンチの部分は塀が低く視線が通るため、一人暮らしの高齢者の生存確認をすることもできる。プライベートな空間では小さな子供を安心して庭で遊ばせることができる。

5. 結章

5-1 総括

 塀を人々の動きに変化を生むようにデザインすることで、人々が街を歩き人と接する機会を増やし、結果的に交流する機会を作ることにつなげることが可能だと考える。また、住宅一軒ではなく、広く見た時に塀に統一感があることで、街全体の一体感にもつながると考えられる。よって、まちづくりの一つとしても作用すると考える。そのことから、塀をデザインすることでの可能性を知ることができた。

5-2 展望・課題

 近年は、住宅を囲う塀がブロック塀からフェンス、そして最近では塀がない住宅も存在する。しかし、塀には様々な災害から身を守る役割を持っている。また、今回の研究により、塀をデザインすることで新たな交流を生む役割を見出すことができた。そのため、今後は、オープンな作りにするために塀をなくすという選択肢ではなく、塀を残しつつそれらを可能にする選択をしていくことが望ましいと考える。

 しかし、近年住宅に庭がない場合が多くある。そのような場合、このような設計をすることが困難になり、交流が生まれる場を作れなくなる。これらのことから、境界を考える際には塀のみではなく庭の存在も深く関係してくることが分かる。庭は自然を身近に感じられる空間であり、子供たちの遊び場ともなる。そして、今回のように道路の広がりを作ったり、人々の交流を生む場にもなる。このように、多くのメリットがある庭を今後どのように残していくことができるのかが課題であると考える。

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