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現代建築レビュー9月号

B4宮川です。2022年11月21日に実施致しました、新建築2022年9月号の現代建築レビューを投稿します。

櫻井:9月号で気になった作品を紹介してください。

髙田:私は「KIND Center」が気になりました。ここでは、螺旋状でつくられた内部の空間構成が魅力的な特徴です。螺旋形状は地形ではなく、工場やオフィス空間のあるべき形を突き詰めた結果から決まっている点が興味深いと思いました。偶発的なイベントを生み出す過剰な動線から、構造が決まり、面白いと思いました。

山崎:私は「santo」が気になりました。これは、金物を制作する工場内に、ショップや体験の空間を備えた施設です。格子の木製天井に対して柱は鉄製で、上に行くほど細くなっている対比が面白いと思いました。また、天井が浮いている様に見える点も興味深いです。

末吉:私は「名古屋造形大学」が気になりました。街のような空間を目指し、少しずらされた平面配置や、断面的な繋がりを持たせることで、地域との繋がりを密接の持たせた建築空間を実現していると思います。環境シミュレーションの解析を通して天井のトップライトの開け方が決まり、合理的かつ魅力的な良い事例だと思いました。

岡田:私は「屋島山交流拠点施設」が気になりました。これは、国立公園の一部でもある屋島山に建ち、3つの広場を連続的な遊歩道により分節しながら、アクセスできる計画です。諸室に行くに連れ、曲線を膨らませることで、室面積を確保している点に面白さを感じました。

櫻井:私は「陸前高田市ピーカンナッツ産業復興施設」が気になりました。これはピーカンナッツの加工工場や販売店舗やキッチン、多目的スペースが集約された建物です。廊下がなく部屋がぎっちり詰まった平面計画で、どのような動線計画で製造しているのか分かりにくいと思いました。平面図で分かるように、清潔のレベルで空間を分けていることが、動線の関係に繋がっていると思いました。

石井:私は「OTOBU CORAL ROOF」が気になりました。沖縄の旅客ターミナルに隣接した、貨物の保管やフェリー客の待機場所として使われる施設です。遠くからはコンクリートの重々しいかたまりに見えますが、屋根の下に行くと屋根に孔が開き、サンゴ礁のような軽く、ふわふわ浮いているような表現がされ、その空間体験の変化が面白いと思いました。また、屋根の孔は地元の小学生のワークショップによって塗られ、海に近い地域にとって良い活動だと思いました。

宮川:私は「千葉ウシノヒロバ」が気になりました。市が運営していた牧場を民営化して、観光拠点としてリニューアルする際の、改修・新築計画です。牛と人が共生した空間を作るために、神社や神殿のような構えを目指した部分に疑問をいだきました。調べると、この建築家は100年も1000年も残る建築を作りたいという思いがあり、そのような建築は宗教的な要素が関係する事例が多いため、このような構えを考えたことが分かり、面白さ感じました。

居城:私は「あそこ」が気になりました。空き家をレンタルスペースとして改修する計画で、工務店ならではの家具や間接照明に計画が魅力的で、改修する際の、家具や照明まで意識する重要性を改めて感じました。立地は駅前にあったため、元の社宅が建築的にどのような問題があったのか気になりました。

櫻井:今月号の作品において共通している部分はなんだと思いますか?

髙田:リノベーションや地域に開く事例が多いと思いました。その中でも「神田錦町オフィスビル再生計画」は、古さではなく、違法部分を取り除いて、新しいものが合わさる点が面白いと思いました。

石井:地域に開く事例では、図書館等複合施設「まちやま」がありますが、コンセプトの半屋外広場「通りドマ」は、単なる半屋外空間に見えて、ドマの表現に違和感があります。

髙田:建物に孔を開けたと説明があるますが、二つの建物を大屋根で繋いでいる印象があります。

末吉:屋根の作り方は重要で、一つの大屋根で覆うと良くも悪くも場所性が強くなると思います。「名古屋造形大学」は同じ大屋根ですが、天井のトップライトの開け方により、GLに光が落ちて人が集まるイメージできます。

総括
今回は文化や産業といったその地域のコンテクストを重視するリノベーションや地域に開く事例が多かったと思います。似たような目的であっても、時間に対するアプローチの方法や屋根の形状などに違いが見られ、歴史や文化やその地域のコンテクストを考えて建築を設計する上で、新たな手法や知見を得ることができたと思います。

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