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現代の建築模型表現の変遷から見る模型の意義の解明と建築理念との関係-模型の物理的構成と意味性に着目して-

現代の建築模型表現の変遷から見る模型の意義の解明と建築理念との関係-模型の物理的構成と意味性に着目して-

修士2年の柚木です。修士研究の途中経過を報告します。 1.研究の背景1-1-1.建築模型の意義建築模型は設計のスタディからプレゼンまで広く利用されており、その使用目的としても多岐にわたっている。 近年の VR 技術の発展やコロナウイルスによるオンライン化への以降など技術的にも多くの変化が起きている現在において模型の意義を明らかにする必要がある。また建築模型は本来実際の建物を模しているものであり、かつては建築雑誌のようなメディアに取り上げられることも少なかった。しかし1980年代から建築雑誌に模型写真が掲載されることが増えており、日本においては2016年に建築倉庫が模型の保存と鑑賞の場を誕生させたように模型は単にスタディやプレゼンテーションのツールとしてだけではない模型の意義があると捉えることできる。1-1-2.設計意図と多様な模型表現かつて単一の素材を用いた白模型が主流であった模型...

団地のコンバージョンにおける障害と問題点の考察–国内と欧州の団地コンバージョン事例の分析を通じて-

団地のコンバージョンにおける障害と問題点の考察--国内と欧州の団地コンバージョン事例の分析を通じて-

B4の石川です。2023年春学期に取り組んだ研究内容について報告いたします。   0.序章 0-1研究の背景 戦後のマスハウジングにより建設された団地は、建物の老朽化や住民の高齢化、近年では空き家率の増加が問題となっている。当初の団地再生では主に建て替えによるものが多く、これは日本の法体系が新築を前提に考えられていたことや建物の老朽化を一新するのが要因とされている。しかし建て替えとなると環境への負荷や解体での費用が生じることから、リノベーションによる団地再生へと移行している。 0-2研究の目的 近年団地の空き家率が増加傾向にあること、また社会的にも少子高齢化による住宅ストックの増加が見込まれるため、団地コンバージョンでのストック活用に着目する。 UR都市機構では団地ストックの有効活用するため実験的に「ルネサンス計画」を推進している。この計画では団...

JR渋谷駅改良工事中のコンコースにおける空間体験の変化に関する研究

JR渋谷駅改良工事中のコンコースにおける空間体験の変化に関する研究

B4の新沼です。2023年春学期に取り組んだ研究内容について報告いたします。 1.序章 1-1.研究の背景 JR渋谷駅改良工事は、渋谷再開発計画における事業の一つで、2015年9月から全体工事が始まり、2027年に完了が予定されている⻑期にわたる大規模な工事だ。 工事内容は大まかに、線路切替工事(埼京線ホームの移設および山手線ホームの1面2線化)・駅コンコースの拡充・バリアフリー設備の整備・東西自由通路の整備という大きく4つの工事が計画されている。インフラとしての機能を保ちなから工事が進行するため、特に線路切替工事に関しては段階的に行われる。発表当初は4ステップ、現在は追加で5ステップ目が新たに加わり計画されている。工事期間中それぞれの工事とその間のそれぞれの期間において、利用者の通行を妨げないように仮囲いが工事現場を覆い、進行に応じて一般利用者の体験する空間も変...

路上ライブにおける劇場空間としての見立てに関する研究

路上ライブにおける劇場空間としての見立てに関する研究

B4の木村です。春学期に取り組んだ研究内容について報告します。 序章 研究概要 1-1研究の背景 路上ライブはパフォーマーにとって、気軽にまちの人々へ演奏を届けられる場所である。そして、ライブハウスなどの決まったステージでパフォーマンスを行うのではなく、パフォーマー自身が都市の中で場所を見つけてパフォーマンスを行なっていることが、路上ライブの大きな特徴である。ライブ場所では、一過性(テンポラリー)の劇場空間が生まれている。本来ライブ場所として作られたわけではない都市空間を、ライブパフォーマーは劇場空間として見立てて、パフォーマンスを行なっているのではないか。ライブパフォーマーはどのような空間の見立てを行なっているのだろうか。 1-2 研究の目的 路上ライブの行われている場所について調査し、客観的な分析とパフォーマーへのヒアリング調査から、都市の中で...

鎌倉峯山エリアにおける小規模林業の可能性とその検討―森林資源を生かした地産地消建築の創造に向けて―

鎌倉峯山エリアにおける小規模林業の可能性とその検討―森林資源を生かした地産地消建築の創造に向けて―

B4の五島です。2023年春学期に取り組んだ研究内容について報告いたします。 1. 研究の概要 1-1. 研究の背景 鎌倉は豊かな自然や都会へのアクセスの良さなどから住宅地としての人気が高く、昭和35年頃から行われた宅地造成によって多くの緑が失われた。風致・歴史・植物学などの視点から見ても価値のある鎌倉の緑を守ろうとたくさんの人が反対運動を起こし、古都保存法など様々な法律や条例が定められて現在まで多くの緑が守られてきた。しかしその緑は現在手つかずの状態で荒廃し、倒木や土砂崩れなどのリスクが高くなっている。森は適度に人の手が加わり循環することで健全な状態を維持することができる。林業の持続可能な在り方を考え、日本に存在する貴重な資源である木材を有効に使い森林を循環させる必要がある。日本はかつて里山を多様に活用しながら共存してきたがその文化は薄れ、多くの人が里山と切り離された...

熱可塑性を持つ素材の分析と建築への採用可能性

熱可塑性を持つ素材の分析と建築への採用可能性

学部4年の鶴田です。春学期の小論文の成果について報告します。   はじめに0-1. 研究の背景 現代ではSNSやVR等のデジタル技術の発展により擬似的な空間体験が可能になっている。また建築は基本的に強固で動かないものと考えられていることから、建物の形態が変化することの可能性を模索しながら、実空間で人が過ごすことの意味を再度考える必要があるように思う。0-2. 研究の目的 人が建築の形に影響を与えるとどうなるのかという疑問から物質が変形する性質の中でも、熱によって物質が柔らかくなり冷えると固まる熱可塑性に着目する。人の体温による変形によって触った形跡が形として残ることや、気温といった外部環境によって素材の形状に変化が出ることがどのような可能性を持っているのかを考察する。 0-3. 研究の位置付け 先行事例として建築の一部または全体が動く可動機構や、柔らかい素材を使った建築事例を...

「小田原・報徳二宮神社の境界の歴史的変遷と領域の多様性に関する考察」

「小田原・報徳二宮神社の境界の歴史的変遷と領域の多様性に関する考察」

B4の草山です。2023年春学期に取り組んだ研究内容について報告いたします。 序章 0-1 研究の背景  私の実家は神社である。神社とは一般的に神聖な空間とされるが、私の実家の神社には、カフェ、会館(結婚式などを行う施設)、レストランなどの神聖なものとは元来異なる領域が存在する。 一般的にそれらは神聖性を持たないとされる。しかしながら、私は普段生活していて、それらが神聖性を帯びていると感じることが多々あった。私の体験談として、神社とは無関係な普通のカフェは何度も訪れたことがあるが、それらと神社内に存在するカフェでは建築内部で感じるものが全く異なる。一般的なカフェに比べ、神社内のカフェでは、より落ち着きを感じ、特別感を感じた。それは私だけではなく、訪れる参拝客も同様である。ではなぜこのように人々は認識するのだろうかという疑問が生じた。私の考えではそれらの事象は神社内...

中庭型の集合住宅の空間配列に関する研究―コモンスペース・境界の分析を通して―

中庭型の集合住宅の空間配列に関する研究―コモンスペース・境界の分析を通して―

B4藤ノ木です。2023年度春学期に取り組んだ研究内容について発表いたします。 第1 章 研究の概要1-1. 研究の背景、目的 熊本県営保田窪第一団地(図1)は山本理顕によって設計された公営団地である。この集合住宅の特徴の一つに図2 のようなパブリックスペース―住戸―コモンスペースの順番で構成された空間配列がある。これは中庭型の集合住宅が敷地の外に対してコモンスペースよりも先に住戸が配置されていることによって成立している。また、この空間配列にすることによりコモンスペースがよりプライバシー性の高い空間となることと、コモンスペースに出なくとも外に出ることができるため、コモンスペースに関わるのか選択性が生まれる。 以上のように中庭型の集合住宅にはその特徴的な空間配列の構成によって、コモンスペースに対して今まで以上にオープンな関係性を築ける可能性があると同時に、選択性のある共...

土木と建築の融合 -神田川に現存する船宿と堤防を対象として-

土木と建築の融合 -神田川に現存する船宿と堤防を対象として-

修士2年の柳井です。修士研究の途中経過を報告致します。 1研究の背景 1-1災害対策で非人間的な土木に埋め尽くされる懸念 近年災害は日常的に起こっている。 1995年   阪神・淡路大震災 2004年   新潟県中越地震 2011年   東日本大震災 2016年   熊本地震 など、地震・津波などの大災害は記憶に新しい。今後もこのような災害に見舞われるであろう。その背景から今後作られる建築は災害対策を施すために土木的な役割が増すことが予想できる。都市的な視点から考えれば防潮堤、ミクロな視点では図1のような擁壁である。このような土木ばかりを重視して都市が埋もれていくと、そこに人の居場所や安らぎの場はなくなってしまう。 1-2土木と建築の分断 都市や地域・地区を社会システムというトータルで広域的な観点から捉え、基盤的な空間・...

研究室創設20周年記念パーティー

研究室創設20周年記念パーティー

2023年3月11日(土)、大河内研究室の創設20周年を記念して、パーティーが開催されました。 20周年記念の集合写真 大河内研究室(建築空間論研究室)は、2002年に誕生し、これまで約180名の修了生・卒業生を送り出してきました。 研究テーマの範囲や卒業生の進路も幅広く、今回の会場にも多方面でご活躍されている様々な方にお集まりいただきました。 SIBAURA HOUSE(妹島和世 設計) 会場は、妹島和世さん設計のSHIBAURA HOUSE! 周辺地域に開かれた空間やガラス張りの独特な佇まいが特徴的でした。 素敵な料理とお酒を手に、世代の垣根を超えて楽しく語らいました。 スクリーンに写真を投影して、研究室の歴史を振り返る 過去の懐かしい写真や、OB・OGの方々のアーカイブを眺めながら、研究室の歴史を振り返りました...

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