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藤森照信の建築作品における外装素材の扱い ―自然素材の変遷からみる歴史家と建築家の関係―

藤森照信の建築作品における外装素材の扱い ―自然素材の変遷からみる歴史家と建築家の関係―

B4の盛岡です。2020年度春学期に取り組んだ研究内容について掲載させていただきます。 第1章 序論 研究概要 1.1 研究の背景と目的  藤森照信は歴史家と建築家という 2 つの顔を持っている。歴史家は、過去又は現在の建築物を批評し歴史として考えを論ずる。一方で、建築家は新たな建築物を設計し生み出す。藤森にはこの対称的な2つの顔が1つの人格の中に共存している。このアンビバレントな関係の境界を藤森の建築作品から考察してゆく。歴史をバックグラウンドに藤森はどこの時代にも属さない普遍的バナキュラリズムを確立した。中でも、「科学技術を自然で包む」という手法は仕上げ素材に工業製品を使用しておらず、訪れる人々に自然の懐かしさを与えてくれる。つまり、藤森は自然素材の扱い方に深い考えを持っており、その変遷を追ってゆくことで、藤森照信の建築家としての顔が垣間見えると考える。  研...

秋葉原電気街の看板形式とテナント調査による街路特性に関する研究

秋葉原電気街の看板形式とテナント調査による街路特性に関する研究

B4後藤です。2020年春学期に取り組んだ研究内容について発表いたします。 序論 研究の背景・目的・位置付け 1-1研究の背景 建築は看板を付属することでも収入を得ている。現代の東京の都市では、取り付けられている建物と関係の無い企業や商品の広告までもが屋上や壁面に掲げられ、都市は広告イメージで溢れている。こうして建築の壁面や屋上は広告を掲げるための第2の土地として莫大な収入源となっている。これらは法規上の許可を得た上で一定期間屋外に設置する屋外広告物として扱われているが、一方では一時的に屋外に設置された法規上グレーな広告物も存在し、大量にその姿を街路に現している。これまで都市の研究において、主に壁面広告物が都市景観を形作るものとして焦点を当てられてきたが、法による拘束を受けない広告物や街路に設置されたオブジェクトによる自然発生的な都市景観の形成にも焦点を向ける必要がある...

安藤忠雄の美術館建築における「独立壁」の配置・形態・機能

安藤忠雄の美術館建築における「独立壁」の配置・形態・機能

B4安達です。2020年春学期に取り組んだ研究内容について発表いたします。 序章 研究概要       0-1 研究の背景 安藤忠雄氏の建築にはコンクリート打ちっぱなしの作品が多く、このような建築は単調で無表情なものとなってしまうことが多いにもかかわらず、彼の作品を見て多くの人がその空間に心が動かされている。その要因の一つとしては彼の建築の「壁」があると言える。二川幸夫氏によるインタビュー本「安藤忠雄 建築手法」1)における安藤氏による言葉に「西洋の組積造の壁とは異なる文脈で、日本建築にかつてない、強い壁の建築をつくりたい―――そこから、私の建築キャリアはスタートし、(中略)」とあることから壁というものが安藤氏の建築において切っても切り離せない重要な要素の一つであるといえる。彼の建築には他の建築家と比べ、建築の骨組を支える壁以外に、スケール、配置、造形という点で、建築構...

村野藤吾の後期小規模美術館における光と設計手法について-展示物配置と採光装置に着目して –

村野藤吾の後期小規模美術館における光と設計手法について-展示物配置と採光装置に着目して -

B4鈴木です。2020年度春学期に取り組んだ研究内容について発表いたします。 1.序章1-1.研究の背景と目的 村野藤吾(1891-1984)は生涯多種多様な建築を生み出し、その建築は周囲のモダニストたちとは異なる村野らしさをもつ。村野のいくつかの建築作品に曲線による自由な造形と光が作り出す幻想的な空間がみられるように、村野が重要視していたヒューマニズムは、そのような部分に表現されていたと考えられ、村野が表現手法の一つとして光を熟考していたことがうかがえる。 谷村美術館は村野が晩年に設計し竣工を見届けた最後の作品であり、村野にとって集大成の建築物といえる。そして、村野の造形と光による表現が最大限に発揮された作品である。 また、村野が生前手掛けた4つの美術館のうち谷村美術館を含む3つは個人美術館であり、どれもその土地出身の一人の作家の作品が常設されている。つまり、作品に対して空間が与...

ショッピングモールの平面形態の類型とその変遷  ー1970年以降の国内のショッピングモールを対象としてー

ショッピングモールの平面形態の類型とその変遷  ー1970年以降の国内のショッピングモールを対象としてー

B4幡谷です。2020年度春学期に取り組んだ研究内容について発表いたします。 序章 研究概要 0-1 研究の背景 アメリカを起源に持つショッピングモールは、今日に至るまで多種多様な形態に発展を遂げており、世界中で似通った建築が誕生している。レムコールハースの主張するジャンクスペースの代表例にも挙げられるショッピングモールだが、これまで建築的空間に関する研究はあまり行われていないのが現状である。 0-2 研究の目的  上記のような背景及び、問題意識から、本研究では以下の2点を研究の目的とする。 日本国内におけるショッピングモールを類型化し、その変遷を建築的に記述する。既往研究にあるアメリカのショッピングモールの変遷と比較することで社会学と統括して考察を行う。 0-3 研究の位置づけ 先行研究:斎藤徹(2017)『ショッピングモール史』彩...

テレワーク移行から思考する仮想住宅 ―二棟一対の住戸を目指してー

テレワーク移行から思考する仮想住宅 ―二棟一対の住戸を目指してー

B4の三嶽です。春学期に取り組んだ小論文について発表します。 1序論 1.1(背景)2020年世界的に流行した新型コロナウイルスの影響により日本ではソーシャルディスタンスという標語が意識されるようになった。それに伴い多くの企業がテレワークを実施した。近年の働き方改革といった傾向も後押しとなり、オフィスから解放され、本社の地方移転や地方採用という動きが見られるようになった。しかし従来型の住宅のプランはテレワークに即したものではなくそのまま使えばむしろ生活に悪影響を与える恐れがある。 1.2(目的)都会のオフィスから離れ地方での生活を取り入れようとする人を対象にプロジェクトを考える。自宅でテレワークを行うにあたって起こる変化を対比的に思考することで、具体的な課題に対する解決案を提示する。 1.3(プロジェクト概要)地方での生活を取り入れてテレワークをする元オフィス勤務...

商業施設に付設した屋外空間のサードプレイス的利用に関する研究

商業施設に付設した屋外空間のサードプレイス的利用に関する研究

B4の近藤です。2020年度春学期に取り組んだ研究内容について発表いたします。 1.序章  家庭(第1の場)でも職場(第2の場)でもない第3のとびきり居心地の良い場所として、 サードプレイス1)という言葉がある。日本ではサードプレイスを持たず、家庭と職場の2地点滞在型の人が多い中、今後サードプレイスの需要が高まると考えられる。  また、ここ最近では多くの商業施設に付設した屋外空間設計がされており、家庭でも職場でもない都市の公共空間としてサードプレイスの役割を担うようになるのではないか。  本研究は現在のサードプレイス空間の定義を再考するほか、利用者の行動実態を把握し、どのような空間づくりがなされているか明らかにすることを目的とする。 2.サードプレイスについて  日本では大きく交流型・マイプレイス型の2種類に分かれ、交流型に関しては社交的交流型、目的交...

築土構木ー環境装置としての首都高再生ー

築土構木ー環境装置としての首都高再生ー

B4の川上です。卒業設計の梗概を掲載致します。   1.背景 1-1 土木バッシング  近年の土木は人や自然に負荷を与える罪深き存在として批判の対象になっており、建築と区別し軽視され、地形をキャンセルする経済の道具として利用されている。 1-2 矛盾を抱える近代土木  批判の対象である一方で、土木は常に人々の生活に必要不可欠であるという事実が存在する。 ①都市のあらゆるインフラを支えている。 ②土木の語源に築土構木という中国の言葉がある。それは、本来土木が自然と共生する人々の生活を守る利他的行為であるということを示しており、現在区別される建築と土木を包括していたと考えられる。 1-3 土木に罪はあるか  経済に従順に対応している土木そのものには罪はないのではないか。建築を通して近代土木と人々の関係性を再構築し土木の矛盾をほどくことを考える。 2.敷地 2-1 日本橋  今回敷地と...

寄生されるシブヤの繭―身体体験で開拓する都市の道―

寄生されるシブヤの繭―身体体験で開拓する都市の道―

B4の林です。卒業設計の梗概を掲載いたします。 1背景 1-1シブヤの歴史 歴史にみる渋谷はカルチャーの中心地であり、路上では多様な異種の要素が混在し、計画性とは切り離された自然空間のような領域、路地が存在している。この都市は異質な要素の集合が全体として渋谷らしさを生み調和している街である。個々の要素、意図が集積し社会現象として現れる劇場性を帯びている。都市の形成の仕方や街の中の活動、人の自由さを吸収する性質がシブヤを草原のような自然環境に近い状態にし、街全体を遊び場と捉え集う。潜在的に人びとをつなぎとめていく性質を生んでいる。人が都市にタグ付けし接続状態であることから居場所となれるような場所が発生している。 1-2シブヤの均質化 現在、度重なる開発を経て新たな姿に更新され続けた結果、シブヤの新たな一面が姿を強めている。その強力な要素であるパッケージ化された巨大施設建築群は、どの都市にも出...

「pH」−Healing Spaceとしての宮下公園−

B4の寺島です。卒業設計の梗概を掲載いたします。 1.背景・目的 都市空間として高い潜在的な可能性をもつ、宮下公園。渋谷の谷の一番底、明治通りと山手線という東京を代表する交通インフラに挟まれた線路脇の細長い敷地に、自動車駐車場の屋根(人工地盤)が、分厚い土を載せて立派なケヤキを育み、渋谷の商業施設の真ん中にありながら、緑の谷のようになっていた。そんなかつての宮下公園は現在、100年に一度と言われる渋谷の再開発の波にのみ込まれ、2020年6月に新たに開園予定である。商業施設として同調空間化する宮下公園を、かつてのように都市の中で「裏(リトリート)」として機能し、世代の違いを超えて受け継がれ、主体の違いを超えてその場所で共有される空間へと再構築したいと考える。 2.宮下公園の歴史 *表1参照 3. 提案 渋谷の近代化を支えてきたと言える1階部分の駐車場と地下を利用して、亡くなった人々を思う祈...

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