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2024年度 大河内研究室始動!
タカバシラ-個の暮らしが集まるスタジアム型都市拠点-
1.背景 現在一世帯あたりの人員は減少傾向にあり、世帯人員が一人の世帯が約4 割を占めている。かつて社会- 家族- 個人であった社会構造は社会- 個人へと変化した。その中で今まで家族というコミュニティで補っていた暮らしの中の相互扶助は家族の欠落により困難となった。また核家族を閉じ込めていた住宅は今度は個人を閉じ込めるようになったために、孤独死等の問題が生じている。つまり、家族を前提とした社会と家族がいない現実との間にずれが生じている。そこで家族に代わる個人の集まりによるコミュニティの編成が提言された。 2.設計主旨 シェアハウスやコレクティブハウスとは違う、ありのままの心地よい人間関係を築けるような個人が集まる集合住宅を目指し設計に取り組んだ。具体的にはコモンスペースとは強制的に関わる関係でないことや、物理的距離の近さではなく社会的距離の近さゆえ集まるこ...
現代建築作品の模型の変遷と建築思想-模型の物理的構成と表現意図に着目して-
M2の柚木宏斗です。2023年度の修士論文の内容を報告させていただきます。 序章 はじめに0-1 研究の背景 建築模型は,建築設計のスタディ段階からプレゼンテーションまで幅広く製作されており,その目的や意義は多様化し絶えず変化している。設計者は,実際の作品を発表するだけでなく模型を製作することで自身の設計意図や理念を発信しており,模型は設計者にとって重要な表現媒体である。一方で,これまで模型は設計者の意図や空間構成を3次元で伝える唯一の手段であったが,近年のVR技術の発展のように建築業界では様々な3Dの表現技術が確立されている。こうした背景から一部の大学では設計教育における模型不要論が挙がったとも言われている。また2016年に建築倉庫ミュージアムが誕生したように,模型は単なる使い捨ての媒体ではなく,作品とは独立したメディアとして保存の価値を持ち始めている。このように技術や時代が大き...
無形之感取 ~神社境内にみられる領域のヒエラルキーを用いた設計手法~
01.背景/見えないものを感じる力 神道の本質であり、かつて人々が持っていた「見えないものを感じる力」。それは人々の心に豊かさとゆとりを与えていた。しかし、都市化、文明の発展により、現代では失われかけている現状がある。ストレスや圧迫感を感じる現代都市にこそ「見えないものを感じる力」は必要であり、求められている。 02.提案/見えないものを感じる力を取り戻す かつて「見えないものとの関係性を結ぶための結節点」として用いられてきた神社を現代において、「見えないものを感じる力を取り戻す結節点」として用いる。 「目に見えないものを感じる力」を空間体験を通して、取り戻すことを目的とした建築を試験的に神社境内に実験的に6個設計した。 また、既存のシークエンスを拡張し、今までに見ること。感じることができなかった神社境内に存在するものを可視化し、感じることを誘発する...
建築と土木の融合 -神田川河口の船溜まりを対象とした船宿の保存と親水空間の提案-
修士2年の柳井です。2023年度の修士設計の内容を報告させて頂きます。 序章 研究の背景と目的0-1 研究の背景 我々日本人は,地震,津波,火災,噴火といった厳しい天災と常に向き合い,それを克服して生きてきた。災害を契機に,図1 のような住境の間近に大きい防潮堤があることや,図2 のような宅地造成のための擁壁がヒューマンスケールから乖離している実例が挙げられ,これらは,土地の場所性を無視した計画であり,人間の生活する環境を脅かす存在となっている。図1, 図2 より,建築と土木がトータルでデザインすることが欠落していると言える。つまり,建築と土木が分断しているのである。これらから建築と土木を融合することは必要だと考える。 図1 隣り合う住宅街と防潮堤 図2 宅地造成のための擁...
スイス・オーストリアの中大規模木造建築の設計手法-構造形式と外皮に着目して-
M2の早川です。2023年度の修士論文の内容を報告させて頂きます。 序章 研究の概要 0-1.研究の背景 中央ヨーロッパに位置するドイツ,スイス,オーストリアは現代木造建築の先進国である。3国は豊富な森林資源を有しており,100年以上にわたり持続可能な森林管理を行ってきたという共通点がある。また,世界中で森林が減少傾向にある中で森林面積が増加しており,森林管理によって生み出される豊富な土壌を活かして,技術力の高い木造会社,職人が多く存在し活躍している。 1990年代には,専門家らによってこの3国でほぼ同時期にCLT(Cross-Laminated Timber)が開発された1)。これと共に,木材と相性が良い省エネ環境技術が発展したことによりプレハブ技術が普及し,2000年代から現代にかけてはデジファブ技術,施工技術の向上に伴い,エンジニアリングデザイン...
土で創る 〜更新を繰り返す城ヶ島のアート体験施設〜
背景 近年実空間で過ごす意味が問い直されているが、その意義は場の小さな変化に気づく楽しさにあると考える。多くの部材や構法、情報が混在した都市空間とは対照的に、1つの素材を用いて建築と都市の間のスケールの建築群を設計することで、それぞれの場所で土という素材がどのように変化し現れるかに気づくことができる新しい回遊体験を作りだす。 2. 設計趣旨 土がどのように現れ人の目に入るかの変化を生み出すための設計方法を取る。敷地は三浦半島南端に位置する城ヶ島のある広場とし土から派生するアート体験を中心とした様々な体験ができる施設を設計することで人々が定期的に訪れる新しい観光要素となることを想定する。 まず敷地内を3つのゾーンに分け、それぞれのゾーンで使う部材、構法、仕上げ、建物と地中の土との関係を一つの視覚的な印象を与えるように統合することで、訪れた人が回遊す...
廃高架の桃農園 ~六次産業による地域再生~
図1.全体パース 1.郊外ニュータウン 少子高齢化による影響で郊外のニュータウンの多くは住民が減少傾向にある。愛知県小牧市東部に位置する桃花台ニュータウンもその一つである。桃花台ニュータウンでは住民減少の他にも課題を抱えており、一つは廃線となったモノレールの高架が残っていること、もう一つは特産物の桃を育てる農家が減っていることである。 2.無用化した高架の可能性 桃花台線は営業不振により開業から 16 年もの短い期間に役目を終え、その後高架は撤去にかかったが工事が難航し中途半端に残っているのが現状である。 図2.高架図面 3.農家の後継者不足 高齢化が進むニュータウンで後継ぎを行うことは困難である。 そのため桃花台の名物である桃農家は減少している。この課題を解決するためには若者の力が必要であり、若者が農業に参入するためには従来の...
渋谷のダイナミズムが織りなす仮囲い群の建築化
背景 東京は新陳代謝の激しい都市だ。中でも渋谷の繁華街は特に工事が多い。着工と竣工が際限なく繰り返され、都市現象として絶えずどこかに工事現場が存在している。 しかし、工事現場とその表層を構成する仮囲いは施工期間中の仮の佇まいとしてしか見なされていない。それゆえに仮囲いは、工事現場をブラックボックス化し、都市から隔絶する2次元の境界面である。 設計提案 本設計では、渋谷の都市現象としての終わらない工事、そのダイナミズムを織りなす仮囲い群の建築化を目標とし、他の現場に転用可能なプロトタイプを提案する。商業の街・渋谷で、事業性を生まない工事敷地に商業的用途を与え、3次元の厚みをもった空間として、工事現場と都市・ストリートを繋ぐ中間領域として設計する。 手法としては、クサビ式足場にとりつく既存エレメントの読み替え、エレメントを仲介する新たなエレメントを設計することで...
「集団的相互認識から自分を見つめる」~集団から個人へ還元するまど~
1-1 集団への同質化を促す装置から集団の中での自分を見直す装置へJR町田駅と小田急町田駅をつなぐペデストリアンデッキは毎日平均8万8000人が通行し、通勤・通学のラッシュ時には多くの人で溢れかえる。毎日集団の波の中に埋もれ、集団に合わせる、ちょっとした感情をなかったことにするなどの、無意識に集団の中の一部であろうとする心理が繰り返されることで、集団への帰属意識が増幅される空間体験になってしまっている可能性を問題視した。 また、ペデストリアンデッキの上部と下部の地上階はハレとケの関係になっており、町田市議会においてもJRから小田急への乗り換え行為に伴う立ち寄り行動の少なさは問題に挙げられている。 そこで、集団への同質化を促す装置となっているペデストリアンデッキを集団の中での自分を見直す装置へと改修することを提案する。 1-2 自己を認識するまど集団の中での自己を認識するうえで...