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オタク系テナントの立地様態に関する研究

M2の長谷川です。春季研究発表の内容を投稿します。

 

序章.研究概要

1-1.研究の背景
秋葉原という街は、周知の通りオタク文化発祥の地として認識されているが、その背景には、戦後のラジオブーム、高度経済成長期の家電ブーム、90年代のPCブームのように、時代のニーズに応えるかたちで存在価値を見出してきた非常にフレキシブルな街としての実態が存在する。また、それらのブーム自体が非常に親和性の高いプログラムが関連していることや、扱うコンテンツに専門性と分化性が備わっていることから、マニアックな人種が往来する街として発展した特徴がある。
そうした背景において、オタクとは、ネット上のデータベースより紡ぎ出された2次創作物を愛好することで賑わいを見せる現代に特化した特殊な人種であり、オタクになる過程でマニアックな知識や共通言語を身につけていることを考えると、正当な秋葉原の継承者と言える。しかしながら、オタク系のコンテンツを取り扱うテナント(以下、オタク系テナント)の立地を見ていくと、旧来の商業テナントの立地論では説明のつかない進出を見せている。
通常、商業テナントにおける商業的ポテンシャルの高い立地には、テナントビルの1階や幅員の広い道路沿いなど、アクセスビリティと相関があると見なされてきた。しかしながら、オタク系テナントは、テナントビルの上層階や幅員の狭い路地沿いなどにも進んで進出しているにもかかわらず、ある一定の賑わいを生み出している実態がある。(図1.2)すなわち、必ずしもアクセスビリティの悪さがオタク系テナントのマイナス要因にはなり得ないことが分かる。

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1-2.研究の目的
以上の問題意識に基づき、本研究では、秋葉原地域におけるオタク系テナントの特殊な立地様態を明らかにすることを目的とする。その上で以下の3点を明らかにする。
①オタク系テナントが現在、どのように分布しているのか、その分布実態を明らかにする。
②オタク系テナントがどのように増殖していったのか、その経年変化を追うことで、現在に至るまでの分布変容を明ら かにする。
③オタク系テナントの進出に際し、スケルトンスペックに相関があるか否かを明らかにするため、建物単位での定量的・ 定性的な分析を行う。

1-3.研究の位置付け
当研究室の山田1)、笈川の研究2)では、秋葉原地域におけるテナントの分布様態を、テナントの寿命や交替という観点から、平面的に、または立体的に分析し、特殊な変容過程を明らかにしているが、オタク系テナントの増殖過程についての言及はなされていない。また、森川の研究3)では、オタク系テナントのような小資本の進出や集積における特殊性について言及しているが、あくまでその実態を社会学的な立場から解明したものであり、空間的な考察はなされていない。
以上より、本研究を、オタク系テナントの増殖過程や、空間レベルまで立地様態を読み込むことを通し、秋葉原地域においてオタク系テナントがどのように繁殖しているのかを明らかにするものと位置付ける。

2.調査概要

2-1.調査対象地
本研究における調査対象地を、オタク系テナントの集積がより顕著に見られる「外神田1丁目、3丁目」の41街区とする。(図3)

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2-2.調査方法
現地でフィールドワークを行い、対象エリア内の全オタク系テナントを目視にて、立地情報やその業種を確認し記録する。また、過去のテナントデータやゼンリン地図データを参照し、過去と比較した都市スケールの考察を行う。また、不動産サイトにて、テナント賃料やスケルトンスペックを記録し、建築スケールの考察を行う。

3.都市スケール

3-1.オタク系テナントの分布実態
a.平面分布
図4.5にオタク系テナントの1F・2Fにおける業種分布を示した。オタク系テナントの多くは、道路幅員の広い中央通り沿い以外にも、中央通りと並行する幅員の狭い路地沿いにも多く分布していることがわかる。また、駅に近い外神田1丁目のエリアよりも、外神田3丁目に多く分布していることから、オタク系テナントの平面分布とアクセスビリティに相関がないことが分かる。

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b.立体分布
図6にオタク系テナントの階層別業種構成比を示した。最も商業ポテンシャルの高い1Fの総テナント数を2F・3Fの総テナント数が上回っており、オタク系テナントの立体分布とアクセスビリティに相関がないことが分かる。

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c.非オタク系テナントとの立地相関

3-2.オタク系テナントの分布様態
図7に各年のオタク系テナント2F平面分布図を示した。テナント数を比較すると、51テナント(2009)-61テナント(2012)-79テナント(2015)と、増殖傾向が見て取れる。また、2009-2012の比較では、主に高架下などの駅から近いエリアで増殖しているのに対し、2012-2015では、駅から遠いエリアで増殖しているのが分かる。このことから、オタク系テナントは繁殖のエリアを拡大していると言える。

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4.建築スケール

4-1.スケルトンスペック
a.床面積
図8にオタク系テナントと非オタク系テナントの平均床面積の比較を示した。非オタク系テナントの平均床面積が約152.9㎡であるのに対し、オタク系テナントの平均床面積は128.9㎡と小さいことから、オタク系テナントは床面積の小さいスケルトンに好んで進出する傾向があると言える。

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b.築年数

c.前面道路に対する立面の仕様
上層階に多く立地するオタク系テナントには、前面道路に対する立面の仕様の工夫が多く見られる。大きな開口部に商品を展示したり(図9)、キャラクターのプリントを貼りつけたり(図10)、バルコニーを客の呼び込みに活用したりしている。(図11)このように、スケルトンの開口部の面積や、バルコニーの有無など、オタク系テナントの立地に相関があるか否かを考察する。

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4-2.テナント賃料

5.予想される結論
秋葉原地域におけるオタク系テナントの立地様態を明らかにすることで、ネットの誕生により発生したマニアック志向が故の現代的な立地論を提示することができるのではないかと予想する。

 

 

以上になります。

大河内先生からご指摘されたように、論が先走り、データの根拠となる素材が乏しい状態です。

今後は、春季の成果をベースにしつつ、研究全体の厚みを出す作業を進めていきたいと考えております。

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