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スイス・オーストリアの中大規模木造建築の設計手法-構造形式と外皮に着目して-

スイス・オーストリアの中大規模木造建築の設計手法-構造形式と外皮に着目して-

M2の早川です。2023年度の修士論文の内容を報告させて頂きます。 序章 研究の概要 0-1.研究の背景  中央ヨーロッパに位置するドイツ,スイス,オーストリアは現代木造建築の先進国である。3国は豊富な森林資源を有しており,100年以上にわたり持続可能な森林管理を行ってきたという共通点がある。また,世界中で森林が減少傾向にある中で森林面積が増加しており,森林管理によって生み出される豊富な土壌を活かして,技術力の高い木造会社,職人が多く存在し活躍している。  1990年代には,専門家らによってこの3国でほぼ同時期にCLT(Cross-Laminated Timber)が開発された1)。これと共に,木材と相性が良い省エネ環境技術が発展したことによりプレハブ技術が普及し,2000年代から現代にかけてはデジファブ技術,施工技術の向上に伴い,エンジニアリングデザイン...

首都圏の市街地における都市空間のゆがみに関する研究-時間地図による分析-

首都圏の市街地における都市空間のゆがみに関する研究-時間地図による分析-

M2の氏家です。修士論文の概要を掲載いたします。 序.研究の概要 0.1研究の背景 街を歩いていると、近くなのに遠い場所、近くに見えるのになかなかたどり着けない場所に遭遇することはないだろうか。例えば道路の向こう側に渡りたいが横断歩道が近くになく、遠回りせざるを得ない経験は誰しもあるだろう。こうした距離感の錯誤や遠回りは、都市生活者に対し、空間のゆがみを感じさせる。遠回りさせられることは不便ではあるが、ここに都市のパラドックスのような面白さがある。一方で、本来は遠回りさせられるはずの場所に近道が存在していることで、近く感じる経験をしたことはないだろうか。例えば、赤坂駅から三分坂周辺に向かうには、TBS本社側に迂回するか、赤坂五丁目交番側に迂回するかの2つの経路がある。しかし、一ツ木公園の中の階段を使えば、ショートカットできるのである。このような場所は都市に無数に存在し、都市空間の認知をゆが...

オフィスビルから宿泊施設への用途変更に関する研究

オフィスビルから宿泊施設への用途変更に関する研究

修士2年の島田です。研究の途中経過を投稿致します。 序章 研究の概要 0.1研究の背景 大都市圏を中心に、ホテルの開発計画が相次いで浮上している。その背景には訪日外国人数の増加があり、日本政府観光局の目標値によると2020年の訪日外客数4,000万人に達する。その影響により、東京のホテルのマーケットでは2016年時点の既存ストックの31%である約3万室の客室が供給されても3,500室程度不足すると推計される。2017年から2020年までに供給される客室数は既存ストックに対し38%、都市別では、東京は31%、大阪は42%、京都は 最も多い57%に相当する供給が見込まれている   最近では、オフィスビルを都市型ホテルに転換する事例が、都心部を中心に急増している。しかし、森トラストの発表によると、東京23区におけるʼ18年の大規模オフィスビル供給量は147万m2となり、過去20年間で4...

ショッピングモールにおける形態の変遷に関する研究-1950年から2018年までの世界各地のショッピングモールを対象として-

修士2年の日野原です。研究の途中経過を投稿いたします。 序章 研究概要 0.1 研究の背景 近年、ショッピングモールは衰退していると言われることが多いが、アジアや中東、ヨーロッパなどでは発展し続けている。アメリカ合衆国で発祥したショッピングモールと現在のショッピングモールを比較すると、ショッピングモールは多様な「形態・装飾・用途」に発展している。また、レム・コールハースらは、建築空間としてショッピングモールに焦点を当て、ショッピングモールの発展プロセスに関する研究を行っている。レム・コールハースはショッピングモールを均一な空間であると言い、ジャンクスペースの一例であると言う。しかし、現在のショッピングモールは複雑で多様な空間が広がる。内部と外部と切り離されたテーマパークのような空間が広がる点やモール空間は迷路のような空間が広がる点を挙げる。一方、ショッピングモールは建築空間の研究対象として...

梅田吸気塔再生計画

梅田吸気塔再生計画

  ■背景 梅田駅周辺にはたくさんの建物が建っている。また、地下には日本有数の大きさを持つ大阪・梅田の地下街が存在する。地上部分と地下街は分かれて存在しており、双方の関わりはあまりない。 本計画では、地上と地下をつなぎ、地上部分と地下街との関わりを生み、ただ通り歩くところに滞在できるようになるなどの新しいアクティビティを誘発する。大阪・梅田の都市を再編することを目指す。 ■敷地 計画敷地は大阪府大阪市北区曾根崎2丁目16。この場所には、三つの幹線道路に囲まれた三角地帯がある。ここには横断歩道や歩道橋がないため、一般の人は立ち入ることができない。都市から独立した空間である。 この場所には、その下にある「ホワイティうめだ」という地下街に空気を送る吸気塔が建っている。この吸気塔は、ステンレス版で囲まれた不思議なオブジェのようなものであり、これは、昭和38年(1963年)に建築家・村野...

コンセプトシェアハウスの実態と交流の仕組みに関する研究—空間構成・立地・運営に着目して—

コンセプトシェアハウスの実態と交流の仕組みに関する研究—空間構成・立地・運営に着目して—

修士2年の大滝です。修士論文の概要を掲載します。   ■研究の背景 2000年頃から増加を続けるシェアハウス(以下、SH)(図1)の多様化が進んでいる。経済性を重んじるSHの対立項として、性質の似た居住者を集め、コミュニティを活発にする「コンセプトシェアハウス」(以下、CSH)が登場した。この施設は、趣味、嗜好、性別、国籍などの共通点をもとに入居者を募り、カテゴリーの似た人間同士でシェア生活を営むものである。 コンセプトには「クリエイターが集う」ものや、「外国人と同居してコミュニケーションを図る」ものなど、多様なもの見られる。また、コンセプトが変われば、建築にも機能の付加や、空間の接続の変化などの違いが生じるように思われるが、交流を生むための空間的な工夫が見られないものが散見される。 このような現状を踏まえ、CSHの事例の交流を生むための空間的な工夫をつぶさに分析することで日本の...

Roof Top City ―メガストラクチャーがつくる空中都市―

Roof Top City ―メガストラクチャーがつくる空中都市―

1.背景 ペンシルビルが多く並ぶ場所は、土地が細分化されているため地権者がそれぞれに存在し、大規模な開発が困難になっている。そのため、そのような地域では陣取りをしていくかのように中規模な開発が行われ、残ったペンシルビルは開発から取り残されてしまう。しかし、残ったペンシルビルを取り壊して立て直すことに私は寂しさを感じる。ペンシルビルに入る店舗には昔ながらのものが多く、そこには常連客などが集う。また、土地が細分化されていて路地が生まれるため、ペンシルビルのある場所には独特の空間やコミュニティーが形成され、その場所の魅力となっているからである。 2.提案 現段階では先述した地権者の問題により、既存建物を一気に開発させるのは難しいと考えられる。そこで仮設的な開発をして利益を生み出すことを提案する。地権者から上空権を買い取り、既存建物とは干渉しない形で上空部に建築物をつくり、上空部での利益の一部は...

Shunojutaku シェルフユニットで編成する集合住宅

Shunojutaku シェルフユニットで編成する集合住宅

              01.一人暮らしにとっての「イエ」とは何か 一人暮らしの人にとって「イエ」とな何なのか。家族と団欒する場ではない。現況、他者と積極的に交流する場になっているとも言い難い。学生であったら授業やゼミ活動、バイトで自宅に帰って来るのは夜遅く、また、社会人であれば仕事の出張などで家に滞在している時間が多いとは言えない。では、ホテルではなくそれぞれがお金を払って部屋を持つ理由はどこにあるのか。私は自分の所有物を誰からも侵されることなく、安心して保持できることが最も重要なことだと考え収納=シェルフを中心に集合住宅を設計することを考えた。                 02.敷地 敷地は豊島区の池袋駅から徒歩で10分ほどの...

繊木を編む 間伐材を用いた林業×ツーリズムによる新たな産業の構築

繊木を編む 間伐材を用いた林業×ツーリズムによる新たな産業の構築

  01 背景-私たちと木材の関係性 現代において、木材は様々な形のプロダクトとして私たちの身の回りに幅広く展開されている。しかしそれらは、その形態にまで加工されてきた背景を持ちながらもその背景はなかったかのようにディスプレイされる。私たちにとって木材の加工プロセスはブラックボックスであり、私たちは長い加工プロセスの末端を享受しているだけに過ぎない。 ブラックボックス化された加工プロセスに対し、新たにそのプロセスの中に一般の人々の活動の場を埋め込みながら林業の現場を可視化させていくことで、人々と林業の新たな関係性を描き出す。   02 敷地-静岡県川根本町 この町は昔から大井川を中心とした林業によって栄えていたが、現在人口減少や高齢化による町の衰退とともに、林業も衰退の一途をたどっている。川根本町では山から切り出した木材を直接川に流し、川の流れを利用して木を運搬する「...

「団塊の世代」という言葉があるように、建物にも同じ現象が起きている。都市近郊のニュータウンなどにある団地もそうだが、1970年代~90年代に地方や山間部にリゾート建設ラッシュと同時に多数のリゾートマンションやホテルが建設された。現在は老朽化や廃墟化が問題となっているが、都市部のように再び若い世代を住まわせて活性化することはコンテクストにそぐわない。過疎地に建つ積層された箱に水耕栽培の植物工場を挿入し未来の農業の形としてコンバージョンを提案する。敷地は、かつてリゾートの象徴的存在であった苗場で、土地の自然のポテンシャルをフルに活用しながら観光農場・道の駅・住居併設し、サスティナブルな改修を行う。既存の長細いボリュームに対して縦方向の構造壁はなるべく残し、抜いた箇所を補う形で構造的な補強を施した。結果的に1つの建物、または群の中で第1次~第3次産業が共存する自給自足的な構図を描きたいと考えて...

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